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イラスト映画劇場

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大学生の頃は、授業にも行かないで、情報雑誌「ぴあ」を片手に、関東一円の名画座を巡っていました。 サラリーマンになってから30年は、映画からは遠ざかっていましたが、定年退職後は、そ… もっと読む
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記事一覧

映画「怪獣王ゴジラ」1956年アメリカ

映画「怪獣王ゴジラ」1956年アメリカ

Amazonプライムで「ゴジラ-1.0」が見放題になったタイミングで、ゴジラが登場するすべての作品も同時に見放題になっていました。
個人的には、1971年の「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」までのゴジラ・シリーズは、怪獣少年現役の頃に、おおかた鑑賞しているのですが、この作品だけは、見たい好奇心はあっても、今まで見る機会がありませんでした。

1954年のオリジナル「ゴジラ」を、アメリカ人

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映画「屍人荘の殺人」2019年

映画「屍人荘の殺人」2019年

本格ミステリー好きとしては、設定がブッ飛びすぎていて、ちょっと辛かったですが、いまや出尽くした感のあるクローズド・サークルもので、新機軸を打ち出そうと思えば、これくらいのサプライズはやむなしかもしれません。

本作は、ゾンビ・ホラーと謎解きミステリーのハイブリッド作品です。

原作小説も売れたようですが、映像化する方としても、ホラー・ファンもミステリー・ファンも確保できる、こんな美味しい原作をよく

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映画「非常宣言」2023年韓国

映画「非常宣言」2023年韓国

久しぶりに韓国映画を鑑賞いたしました。
去年公開したばかりの最新作が、Amazon プライムにラインナップされていました。
最近の韓国映画は、ハズレがないのですが、本作もなかなかの迫力。
韓国映画は、いまや特撮の技術もハリウッド・レベルなので、CGも相当使っていそうですが、航空パニック・シーンはとてもリアルで、説得力がありました。

主演は、ここのところ世界的にも評価されており、有名どころの韓国映

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映画「ある閉ざされた雪の山荘で」2024年

映画「ある閉ざされた雪の山荘で」2024年

今年の1月に封切りされたばかりの最新作が、Amazon Primeに早くもアップされていたので、鑑賞いたしました。
東野圭吾原作のミステリーです。

設定がなかなか凝っています。
シチュエーションは、雪が降っていない山荘を、雪に閉ざされた山荘と見立てて、新作舞台の主役を決めるためのオーディションを行うというもの。
仮想の「吹雪の山荘」という、かなりトリッキーなクローズドサークルが形成され、演出家の

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映画「座頭市地獄旅」1965年大映

映画「座頭市地獄旅」1965年大映

安藤広重の江戸風景画を見ていたら、江戸時代のイラストを描いてみたくなりました。
描くなら、やはり映画からでしょう。
さて何の時代劇がいいかなと思って、DVDの在庫から引っ張り出してきたのが本作です。
大映の座頭市シリーズの第12作目。
WOWOWでまとめて録画したものがありました。
主演はご存知勝新太郎、監督は三隅研次です。

さて、イラストを描く立場から一言。

時代劇のセットと言うと、例えばN

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映画「銀座カンカン娘」1949年新東宝

映画「銀座カンカン娘」1949年新東宝

高峰秀子は大好きな女優です。
今のところ日本の映画界ではマイ・ベスト・アクトレスです。
この先も映画は見ていくつもりですが、そろそろこの順位は終生ひっくり返りそうにないなと思い始めています。
それくらいこの人は女優としても、人としても魅力的ですね。(文筆家としても)
そんなわけで、彼女の出演作品で鑑賞可能なものは、死ぬまでに是非全作見ておきたいと思っております。

本作は、Amazonプライムで見

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映画「レイクサイドマーダーケース」2005年東宝

映画「レイクサイドマーダーケース」2005年東宝

少々クラシック映画寄りの映画鑑賞になっていたので、比較的新し目のミステリーが観たくなりました。
そこで、Amazon プライムのラインナップから選んだのが本作です。
最近とは言っても、もう19年前の作品ですから、若い人から見れば、すでにクラシックかもしれません。
ちなみに、ここ30年くらいの現代モノ作品で、時代が古いか新しいかを見分ける方法があります。
それは携帯電話ですね。
登場人物が使う携帯電

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映画「丹下左膳余話 百万両の壺」1935年日活

映画「丹下左膳余話 百万両の壺」1935年日活

本作は、1935年に公開されたトーキー初期の日本の時代劇映画です。
日活京都撮影所が山中貞雄監督のもとで製作し、丹下左膳役には、これを当たり役としていた大河内傳次郎。
百万両の隠し場所が塗り込められた「こけ猿の壺」を巡る争奪戦を描いています。
丹下左膳と言えば悲壮な剣豪のイメージですが、本作においては、居候をしている矢場の女主人櫛巻きお藤と孤児ちょび安とのエピソードと絡めて、ホームコメディ風に路線

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映画「オリエント急行殺人事件」1974年イギリス

映画「オリエント急行殺人事件」1974年イギリス

今回は、このイラストを描きたくなって、この映画を選びました。

場面は、映画の大円団。
オリエント急行の客車に集められた事件の容疑者、12人がズラリというシーンです。
これがなかなかすごい顔ぶれ。

アンソニー・パーキンス
ヴァネッサ・レッドグレイヴ
ショーン・コネリー
イングリッドバーグマン
ローレン・バコール
ジャクリーン・ビセット
マイケル・ヨーク

さらに、このシーンにはいませんが、ナイフ

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映画「めし」1951年東宝

映画「めし」1951年東宝

本作の原作は、林芙美子による未完の長編小説で、1951年に朝日新聞で連載されました。
物語は大阪を舞台に、ごく平凡なサラリーマン夫婦の日常を描いています。
しかし、林芙美子の急死により、連載は97回で終了。
150回を予定していたとのことですので、結果3分の2が書き上げられた段階で、未完の絶筆となってしまいました。
そして、本作はその年に、映画オリジナルのラストを追加して、成瀬巳喜男監督によって、

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映画「宇宙大怪獣ドゴラ」1964年東宝

映画「宇宙大怪獣ドゴラ」1964年東宝

実は、この映画のポスターが、我が家のポスター・ギャラリーに、ずっと長いこと貼ってあります。
個人的には、すでに鑑賞しているつもりで貼っているのですが、記憶が、かなり怪しいんですね。
ポスターにある、巨大クラゲが空中を浮遊するシーンは、ビジュアルとしては、かなり強烈ですので、見たような気がするわけです。
しかし、他の作品のように、それ以外のストーリーがまるで思い出せません。

そんなわけで、今回その

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映画「大怪獣バラン」1958年東宝

映画「大怪獣バラン」1958年東宝

本題に入る前に、怪獣特撮シリーズに対する、自分の立ち位置を確認しておこうと思います。
僕は、昭和34年3月生まれ。今年で65歳になります。
まず、はっきりしているのは、僕は第一次怪獣ブームのど真ん中世代であるということですね。
このブームの火付け役になったのは、TBSテレビが放映した「ウルトラQ」です。
この番組の放送開始が、1966年の1月2日。
製作したのは、言わずと知れた特撮の神様円谷英二率

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映画「夜の大捜査線」1967年アメリカ

映画「夜の大捜査線」1967年アメリカ

映画監督のノーマン・ジュイソンが、1月20日亡くなりました。
94歳といいますから、大往生ですね。
僕が映画を見始めた頃には、よく名前を聞いた映画監督でした。
この監督の作品だから見たというよりも、面白い映画を見て、監督が誰だろうと思ったら、この人だったということがよくありました。

スティーブ・マッククイーンの「華麗なる賭け」は、都会的で、スマートで、おしゃれな映画でした。
ミッシェル・ルグラン

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映画「ミュンヘン」2005年アメリカ

映画「ミュンヘン」2005年アメリカ

映画「ミュンヘン」は、「事実に基づいた物語」と紹介されています。
史実に基づくということであれば、決して無駄にはならないと思いますので、ユダヤ人とアラブ人の歴史について、おおまかな流れだけはお勉強してみました。

まず白状しておきます。

去年の10月7日に、ハマスによるイスラエルへの一方的武力攻撃がニュース報道された時、「こんなの先に手を出した方が悪い決まってるじゃん」と決め打ちして、イスラエル

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