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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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#短歌

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます

今日は共通テストの初日でした。
朝は試験会場前で生徒の見送りをしてきました。毎年、手近にあるもので励ましのメッセージを作っています。

「がんばるみかん」とか。

「がんばるバナナ」とか。

今年は、台所にあったジャガイモで「がんばるおじゃが」を。

この「くだらなさ」が、結構、生徒のリラックスを誘うと、自分では考えているのですが・・。

午後からは「どんど焼き」。

この地域では「さいと焼き」と

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母


「あんたは誰?」と母が言うので「ああ僕はあなたの子だ」と言ってはみたが

母の痴呆は進んでいる。

僕は実家を離れていて一番上の兄に母のことは任せっきりになってしまっているが、家に帰るたびに兄からは愚痴がこぼれる。

「店に行って勝手にパンを食べてしまう」とか
「庭でいろんなものに火をつけてしまう」などなど。
以前には、階段を頭から落ち救急車で運ばれたと突然電話がかかってきたこともあった。幸い頭

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ぽつんと一軒家

日曜の夜は「ぽつんと一軒家」を観る。カミさんは「イッテQ」を観たそうなので、何となくたまに観る。大河ドラマは録画して置いて別の日に観ることになっている。

多くの同じ世代の人が結構「ぽつんと一軒家」に嵌っていると聞くのだが、確かにいい。あんな暮らしがしてみたいと思ってみたりする。何だか、ただただ忙しく毎日が過ぎていくと、やむにやまれず、ああ自然の中で原点に帰りたいと思うのかもしれない。

紫陽花が

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ガキと主夫生活

ガキと主夫生活

「ゴツモンがモノクロモンに変化した」子は叫びつつ風呂に入り来る

小学校3年のガキである息子と2人暮らしをした時期があった。別にカミさんに逃げられた訳ではないので、結婚を申し込みたいと思う方がいるかもしれないが、ご遠慮願いたい。お気持ちだけはありがたく受け取らせていただくことにする。本当は“お気持ち”だけでは勿体ないのだが、やむを得ない。

実はカミさんのお母さんが肺ガンと診断され(実は手術後の説

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雨の匂ひ

雨の匂ひ

雨のにほひ かすかに風の運ぶ夜を 焼酎に梅落として憩ふ

金田一春彦氏の小文に

国文学者に栗花落裕さんという方がある。「栗花落」が苗字で、これはツユリさんと読む。毎年梅雨の候になるとクリの花が散る。このことから「栗花落」と書いてツユイリと読むので、ツユリはその転だ。

とあります。

今年も栗が花を付ける頃になって、今週にも梅雨入りしそうな気配です。

梅雨は、古典では?「五月雨」。よく生徒には

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ひま

ひま

 

高校時分、テスト監督をしている先生が羨ましくてならなかった。不勉強を悔いながら出来の悪い頭を必死に働かせて問題を解いているのに、いかにも暇そうに窓の外を眺めたり、椅子に腰掛けてぼんやりしていたり、中には野球の投球フォームをしてバランスを崩してひっくり返ったりする先生もいたが、いずれにしても、どの先生ものんびりと心地よく自由時間を楽しんでいるように見えた。
あんなご身分になってみたいと夢のよ

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第7話:生と死について考えてみたこと

第7話:生と死について考えてみたこと

■我が家の猫

猫が陽の当たる居間で昼寝をしている。わが家の猫はサビ猫という種類で決して美しくはない。家の中で見るとそうでもないが、外で見るとコンクリート色の薄汚い貧相な猫に見える。
そう言うとカミさんは「かわいそうに」と猫をかばうのだが、そのカミさんの愛情によって結構いいキャットフードを食べているせいか、毛並みはいい。ふかふかつやつやしている。
それを撫でていると、「猫は毛物(ケモノ)なんだなあ

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船員

船員

パチンコに、時々出掛ける。しかし勝つことは稀で、大概は負けて帰る。今のパチンコはそれこそ万単位の金の動きをする台ばかりなので、貧乏な僕には危険。だが、暇があって、しかもその暇ゆえに生ずる諸々の何かを忘却したいときには、パチンコは良い。誰にも気を使わずに金を払って集団の中の孤独を楽しみたい時もある。

清水にいる時分のことだった。その日も例によって持ち金を使い果たして帰ろうとすると、突然ある男に後

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卒業式

卒業式

今日は卒業式でした。
笑顔が溢れ、いい一日でした。

不穏な日が続いていますが、本当にこの子たちが戦争に巻き込まれないことを祈りたい気持ちです。
こんな情勢の中では・・まさか考え過ぎとは思いますが、18歳成人ということが有事に対する徴兵の布石であったりしないことを願うばかりです。

僕は御殿場の一番南に住んでいますが、北を向いて立てば正面に富士山が見えます。
先週の土曜日、東富士演習場で「野焼き」

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17万円入った財布を拾った①

17万円入った財布を拾った①

上をむいて歩こうという坂本九の歌があったが、人間は基本的に上を向いては歩けない。上を向いて歩けば、きっと側溝にでも嵌って大怪我をするに違いない。同じように、右を向いても、左を向いても、後ろを向いても人間は歩けないわけで、必然的に人間が歩くときの視線は「前」か「下」になる。

前を向いて歩くのと下を向いて歩くでは、ずいぶん雰囲気が違っていて、前者は優秀な人間がイメージされるのに対し、後者は落ちこぼれ

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どっちでもいい・考

どっちでもいい・考

コスモスにコスモス揺らす風が吹き どうだっていいことが たくさん

世の中は、どうでもいいことに満ち溢れている、と言ったら叱られるだろうか。
ちなみに次の空欄を漢字で埋めてみたい。
( )肉( )食
就職職試験で、ある女子大生が焼肉定食と答えたという有名な笑い話がある。しかし、あなたもひょっとしたら一瞬、焼肉定食という答を思い浮かべ、今ちょっと恥ずかしさにこっそりと顔を赤らめたりしたかもしれない。

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第205話:トイレの闇

第205話:トイレの闇

職場に安全衛生委員会というのがあって、それは職員の健康衛生上の問題を話し合う会なのだが、ある時そこに「職員トイレを1台でいいからシャワートイレにしてほしい」という要望が出されて議論になった。

一般の方がこの議論をどう思われるのか窺ってみたいのだが、このご時世、企業の人たちからは失笑を買うような議論なのであろうか?
企業だけでなく内閣府HPによると、シャワートイレの普及率は、H24で73.5%、令

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怠ける亭主の哲学

怠ける亭主の哲学

(すみませんが、だらだら長い文章になってしまいました)

結婚したばかりの頃、僕はダイハツのミラという軽自動車に乗っていた。しかし、ラジオもカセットもCDもついていなかったので、カミさんに「ちょっと寂しいんだが」と訴えたところ、3000円の中古のラジオをつけてくれたのであって、以来、ラジオを通勤の友としていた。カセットやCDで気に入った音楽を何回も楽しむのもいいが、ラジオは新しい笑いや新鮮な情報を

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人が山に登る理由

人が山に登る理由

僕がまだ学生の時、友人と飲んだくれて、終電もなくなり、近くの後輩の下宿に転がり込もうとした夜のことだった。

近くといっても歩いて1時間以上もあったのだが、酔っ払っているから距離は気にならない。深夜、いい気持ちで歩いていると、道端に大売り出しの大きな赤いノボリバタが立てかけてあった。見渡すが、近くに商店もない。「こいつはいい」と僕はその赤いハタを担ぎながら、時々は振り回したりなどして気分良く歩いて

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