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【人間賛歌】愛着不全のこころの底には、人間らしい豊かな物語が眠っている

愛着不全の人は親への愛憎がたっぷりあるので、語り出すまでには時間がかかりますが、いったん語り出すと、豊かな物語になっていく可能性があります。
その点、愛着障害の人は、親とのストーリーは貧弱です。親というか「養育者」ですね。ただ、養育者以外の大人との交流はあります。豊かとは言えないかもしれませんが。

愛着不全の人が、親への怒りや不満を語ることは想像できるのですが、愛着障害の人は、親をマイ ナスにしろプラスにしろ、豊かに語るイメージがありません。語れることがあまりないということ自体が、愛着が無かったことの自己理解に繋がるのでしょうか。それとも愛着障害の人も、不全の人よりはずっと遠い心理的距離ながら、親との間にあった悲喜こもごもを語られるでしょうか?

高間しのぶの質問箱より

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■愛着障害と愛着不全の親への怒りの違い

愛着障害の人が、親を「豊かに」語ることはありません。おっしゃるように愛着がなかったことを静かに語るだけです。怒りの大爆発が起きることもなく、しかし静かな青い超高温の怒りが、短期間ですが、しんしんと続く場面があります…そして、いつか燃料(怒り)が切れて、火が消える。断末魔の怒りの揺らぎのあと火が消える。こうやって「あきらめ」が訪れます。

一方、愛着不全の人は親をめぐる愛の葛藤が豊かに存在します。最後にはポンペイ火山の大爆発ごとく(*)、都市が一瞬の廃墟と化してしまいます。そして、その後何十年も火山灰は降り積もっていく。こうやって「あきらめ」が訪れます。

どちらも、そうやって物語は終わります。第一幕 「fin」 ですね。終わり方は違いますが、そうやって死の物語が収束していきます。

物語は収束しているので、カウンセリングは終結するでしょう。彼らは、彼らの日常生活の中に、楽な気持ちを持って帰っていきます。そこから舞台は反転して、彼らは新たな時代を刻み始めます。第二幕、生(せい)の物語ですね。

どちらも、そうやって、死と再生が語られていきます。

(*)フロイトはユングとの書簡の中で、「グラディーヴァ あるポンペイの幻想小説」を知り、「W.イェンゼンの《グラディーヴァ》における妄想と夢」の論文を書き上げます。この小説「グラディーヴァ」に、ポンペイのベスビオス火山の大噴火とポンペイの街の消失が描かれています。(小説のあとにフロイトの論文が書かれているのですが、小説は面白かったですが、論文の内容は何だったか、すっかり忘れています笑。)

ポンペイの火山とフロイトの関係

■愛着不全の豊かさ

こんな感想もいただきました。▼

愛着不全は怒りの火山大爆発のあと、何十年も 火山灰が降り積もっていく ... って何かすさまじいというか....愛着のエネルギーの甚大さを感じます。すごく人間らしくて趣き深くって...いい情景だなと思いました。(2022.6.1質問箱の感想)

高間しのぶの質問箱より

【お返事】愛着不全は「人間らしい」人々という感想を持っていただき、愛着の伝道師(笑)としては嬉しい限りです。

愛着不全の人はやっかいですが、彼らは回復途上で、人間らしい部分を開花させていきます。ここまで変化するには、富士登山100回しないといけませんが、その道がないわけではないということですね。▼

■愛着不全の方への催眠メソッド

最近、私は、愛着不全の方々に適応できる催眠メソッドを、プロトコルを含めて開発中です。愛着不全治療に役立つものになれば、いつか公開したいと思います。すでにカウンセリングでは使い始めています。カウンセリングの中にそっと忍び込ませて使っているので、相談者の方は気づいていないでしょう(笑)。

この「気づかれないで使う」というのがミソなんですね。何気に使っているのが、一番効果があります。

かつて60年代アメリカで、ドラマの途中に分からないくらいの一瞬でコカ・コーラの静止画をはさみこんで、売り上げを上げる手法がありました。これをサブリミナル効果といいますが、それと同じでしょうか。効果があります。

ちなみに、このサブリミナル、効果の信ぴょう性を疑われてはいますが、日本でも80年代、90年代に使われていました。現在は禁止されています。

■まとめ

  • 愛着不全の人は、人間らしい愛着の深さを表現できる

  • 愛着障害の人は、一瞬の閃光のような怒りを表現する

  • 愛着不全用の催眠メソッドを開発中

◇瞑想と催眠の密接な関係

今日のラジオおやすみカフェのテーマです。次のような話をしています。詳細はラジオをお聴きください。

  • 瞑想と催眠は、ほぼ同じ

  • ハコミセラピー、EMDR、ボディアプローチ、ゲシュタルト療法など、現代の心理療法は、(現代)催眠の一つとも捉えられる。

  • 例えば、EMDRの眼球運動は古典催眠そのもの。

  • カウンセリングの中に活かす催眠は、さりげなく使うこと

  • 覚醒下で使うエリクソン催眠(セックスレス夫婦への登山の推奨など)をもっとさりげなく使うと良い。

■他の助けを求めるのもいいでしょう

あなたが愛着の問題を抱えている場合は、自分の物語を十分に話せる臨床心理士などの専門家に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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