農家の独り言

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僕の写真の現在地

- 生命の本質 - 生命とは何か。その問いに対する答えは意図する文脈によって様々です。 科学という枠組みの中でも、その答えは変わってくるでしょう。 そう踏まえた上で物…

農家の独り言
4か月前
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タブーと倫理と固定観念

タブーは何処にあるのかと考えれば、それはおそらく共同体の中にあるだろうと。破れば共同体から追放される危険があるからタブー。例えば会社の中でタブーとされているもの…

農家の独り言
3か月前

春の収穫事情

先日、ビニールハウスに寒冷紗を掛けました。寒冷紗とは日光を遮る黒いシートのことで、ハウス内の気温を下げる目的で使われています。毎年、4月に入ると寒冷紗の出番がや…

農家の独り言
3か月前

写真と比率と美しさ

投資を経験した過去があります。20代の頃、2ヶ月分くらいの資金を元手に株式投資。四季報を読んで、毎日は日本経済新聞を閲読しました。当時は株式分割バブルの真っただ中…

農家の独り言
3か月前

僕と椎茸の関係性

十勝は夜空もきれいです。自宅でも満天の星を眺めることができ、車で5分も離れれば天の川も。夜は外出する機会も少ない方ですが、星空に気付くと、すこしのあいだ足を止め…

農家の独り言
3か月前
1

知識からの贈りもの

春は原木しいたけ栽培にとって難しい季節です。露地栽培による春と秋の年2回の収穫を期待する栽培方法なら問題ないのですが、季節を問わずに365日の収穫を期待する栽培方法…

農家の独り言
3か月前
1

ステートメントを考える

『君なら大丈夫かもしれないね』。そんなニュアンスの言葉を複数人の方達から頂いてスタートした新規就農。ありがたいと思う一方で、その言葉を紐解けば、この町を歩んだ産…

農家の独り言
3か月前
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2024.03.30

『かわいいですね』 これも皆さんからよく頂く言葉です。SNSではもちろんのこと、イベント時も展示した椎茸を見てそう口にするお客さんは多かったです。軸のことを足と呼…

農家の独り言
4か月前
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2024.03.12

※これは公式サイトに載せる文書の下書きです。 『形が悪くても味は変わりませんか?』 これもお客さんからよく頂く質問です。結論から言うと『味は変わりません』。ただ…

農家の独り言
4か月前

2024.03.08

僕が地域おこし協力隊員になる前、現場では前任の方が活動されていたのですが、その前任の方と僕の間にも、協力隊員を希望されてる方はいらっしゃったそうです。聞いた話に…

農家の独り言
4か月前

2024.03.02

椎茸は美しいキノコです。より良い食材にこそ、その美しさは宿るもの。必要な手間を、必要な時間を、必要な想いを、掛けた分だけ旨味は増し、美しさにも磨きがかかります。…

農家の独り言
5か月前

2024.02.29

※これは公式サイトに載せる文章の下書きです。 就農したての頃、とあるプロジェクトの発足を数人で話し合いました。町の原木しいたけ栽培文化の再興計画。このままでは廃…

農家の独り言
5か月前

2024.02.16

※これは公式サイトに載せる文章の下書きです。 直売所を閉めてから随分時間が経ちました。それでも当時のお客さんからは稀に今でも連絡が入り、椎茸を買ってくれてます。…

農家の独り言
5か月前

2024.02.12

「転がる石のように」という言葉は好きだけれども、ロックバンドの文脈で語られるそれにはすこしの違和感もあって。常に動き回り、苔のむさない姿は、固定観念にとらわれず…

農家の独り言
5か月前
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2024.02.07

※これは公式サイトに載せる文書の下書きです。 『本当は目標の10倍くらい欲しいのでは?』 その質問は、実施したクラウドファンディングを取材して頂いたときのもの。さ…

農家の独り言
5か月前

2024.01.30

先日、町のスキー場へ行ってきました。僕を誘ったのは、今年からスノボをはじめる予定の長男。学校の授業で滑る機会があるらしく、その前に上手くなっておきたいからとの理…

農家の独り言
6か月前
僕の写真の現在地

僕の写真の現在地

- 生命の本質 -

生命とは何か。その問いに対する答えは意図する文脈によって様々です。 科学という枠組みの中でも、その答えは変わってくるでしょう。 そう踏まえた上で物理学の観点から紐解けば、生命とは『永続性能を有した自律システム』と言い表せます。 つまり、生命とは生物の一個体ではなく、生物圏を創ることで維持されているセントラルドグマそのものと考えられます。 そのセントラルドグマの永続性は、徹底し

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タブーと倫理と固定観念

タブーと倫理と固定観念

タブーは何処にあるのかと考えれば、それはおそらく共同体の中にあるだろうと。破れば共同体から追放される危険があるからタブー。例えば会社の中でタブーとされているものがあるとして、それを話題にしたり追及したり、はたまた批判したりした結果、その行為が会社にとってマイナスになるのであれば、タブーを守ることは会社内では正義であり、タブーを破った者を会社から追放することもまた正義なのかなと。そう考えれば、タブー

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春の収穫事情

春の収穫事情

先日、ビニールハウスに寒冷紗を掛けました。寒冷紗とは日光を遮る黒いシートのことで、ハウス内の気温を下げる目的で使われています。毎年、4月に入ると寒冷紗の出番がやってきます。外の気温が20℃前後まで上がると、ハウス内の気温は40℃に達することも珍しくありません。椎茸栽培における最適気温は25℃前後なので、気温を下げる必要があるというわけです。

以前は5月連休頃に掛けていたそうです。けれども現在は4

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写真と比率と美しさ

写真と比率と美しさ

投資を経験した過去があります。20代の頃、2ヶ月分くらいの資金を元手に株式投資。四季報を読んで、毎日は日本経済新聞を閲読しました。当時は株式分割バブルの真っただ中。軍資金は少なかったのですが、半年で5倍ほどの含み益を。そのときに利確しとけばよかったのですが、徐々に利益は減っていって、気が付けば元金割れ。僕は投資に向いていないことが分かりました。

それでも良い経験をできたと思っています。若いうちに

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僕と椎茸の関係性

僕と椎茸の関係性

十勝は夜空もきれいです。自宅でも満天の星を眺めることができ、車で5分も離れれば天の川も。夜は外出する機会も少ない方ですが、星空に気付くと、すこしのあいだ足を止めて魅入ってしまいます。子供の頃、親がプラネタリウムによく連れて行ってくれたおかげか、星座や惑星にも興味があって、ついつい夜空で確認作業を。オリオン座の三ツ星からベテルギウスを確認して、そこからシリウスを目印に冬の大三角を経て北斗七星を。そこ

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知識からの贈りもの

知識からの贈りもの

春は原木しいたけ栽培にとって難しい季節です。露地栽培による春と秋の年2回の収穫を期待する栽培方法なら問題ないのですが、季節を問わずに365日の収穫を期待する栽培方法ですと、春が一番に厳しい季節となってしまいます。というのも、発生可能な榾木の在庫が無くなう恐れがあるからです。森で休ませている榾木はあるのですが、発生可能になるのは十勝だと5月の中旬ごろ。栽培スケジュールを組んでいても、上手くいかないの

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ステートメントを考える

ステートメントを考える

『君なら大丈夫かもしれないね』。そんなニュアンスの言葉を複数人の方達から頂いてスタートした新規就農。ありがたいと思う一方で、その言葉を紐解けば、この町を歩んだ産業のストーリーも朧気に垣間みれます。それに加えて僕の特異な部分を指しての言葉なのだろうとも感じ取ってしまいました。単純作業の繰り返し。農業には欠かせない作業スタイルも、度を過ぎると異質に見えたのかも知れません。僕は前職でもその作業は経験して

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2024.03.30

2024.03.30

『かわいいですね』

これも皆さんからよく頂く言葉です。SNSではもちろんのこと、イベント時も展示した椎茸を見てそう口にするお客さんは多かったです。軸のことを足と呼ぶように、きのこには人の姿を想像させる節があると思います。古くから妖精と紐付けて語られることも多かったきのこ。『菌輪(きんりん)』と呼ばれる輪状に発生する現象も、『フェアリーリング』という名前が付けられています。それらも「かわいい」と思

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2024.03.12

2024.03.12

※これは公式サイトに載せる文書の下書きです。

『形が悪くても味は変わりませんか?』

これもお客さんからよく頂く質問です。結論から言うと『味は変わりません』。ただ、劣化が早かったり、一度の収穫で変形の量が多かったときは味が落ちることもあるので、一概に『変わらない』とは言い切れなかったりもします。

そもそも、なぜ変形した椎茸が生まれるかと言いますと、理由は大きく分けて2つあります。ひとつは発生環

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2024.03.08

2024.03.08

僕が地域おこし協力隊員になる前、現場では前任の方が活動されていたのですが、その前任の方と僕の間にも、協力隊員を希望されてる方はいらっしゃったそうです。聞いた話によると面接時に辞退されたとか。

理由は「絵を描きたい」という要望が通らなかったから。ミスマッチの多い制度の中、事前に不具合が露呈した事例ということで、肯定的に評価された一方で、すこし勿体ないと思ってしまったのが僕の感想。もしかしたら、絵を

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2024.03.02

2024.03.02

椎茸は美しいキノコです。より良い食材にこそ、その美しさは宿るもの。必要な手間を、必要な時間を、必要な想いを、掛けた分だけ旨味は増し、美しさにも磨きがかかります。

ところで、その美しさとは何か。疑問は残ります。「生命の神秘」や「自然の造形」などでは間違いではないと思いつつも、いささか抽象的で言葉足らずな感覚も覚えてしまいます。一体僕はキノコに何を見せられているのでしょうか。

「生命の神秘」も丁寧

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2024.02.29

2024.02.29

※これは公式サイトに載せる文章の下書きです。

就農したての頃、とあるプロジェクトの発足を数人で話し合いました。町の原木しいたけ栽培文化の再興計画。このままでは廃退の一途は確実という考えの元で再興戦略案を出し合っていました。

結果から言うと計画は白紙に。そもそも矢面に立てる人が不在でした。僕も矢面に立てなかった内のひとり。やはりプランを出せる人は多くても、プレイヤーになれる人はいなかったというわ

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2024.02.16

2024.02.16

※これは公式サイトに載せる文章の下書きです。

直売所を閉めてから随分時間が経ちました。それでも当時のお客さんからは稀に今でも連絡が入り、椎茸を買ってくれてます。そんな注文が立て込む時期は5月連休、お盆休み、年末年始。長期の休みになると離れたご家族も戻ってくるようで、そのときのもてなしに当農園の椎茸を必要としてくれてます。「おいしかった」と言われることは嬉しいのですが、「喜んでくれた」はもっと嬉し

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2024.02.12

2024.02.12

「転がる石のように」という言葉は好きだけれども、ロックバンドの文脈で語られるそれにはすこしの違和感もあって。常に動き回り、苔のむさない姿は、固定観念にとらわれず、思った通りに生きて行く自由の象徴。それを否定はしないけれども、僕の想う「転がる石のように」は、ただただ不安定から安定へ流れる存在の意。たしかに他とは違って動き続ける姿には自由の象徴を感じさせるけれども、その動力の源は転がろうとする内力では

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2024.02.07

2024.02.07

※これは公式サイトに載せる文書の下書きです。

『本当は目標の10倍くらい欲しいのでは?』

その質問は、実施したクラウドファンディングを取材して頂いたときのもの。さすが記者さんと思いつつも、本音は100倍くらいあっても困らないものでした。商売をするうえで、広告はとても大切なもの。それは農業でも変わりません。けれども巨額な広告費まで賄える売り上げをつくることは難しく。帰するところ、農業組合に販売の

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2024.01.30

2024.01.30

先日、町のスキー場へ行ってきました。僕を誘ったのは、今年からスノボをはじめる予定の長男。学校の授業で滑る機会があるらしく、その前に上手くなっておきたいからとの理由で。ときは土曜の午後から。自宅から車で5分の場所にあるのは、新得山スキー場。この日はオープン初日ということで、無料のリフト代。そのため、駐車場とリフトはすこし混雑気味。それでもゲレンデは快適で、久しぶりのスキーとなりましたが、とても楽しむ

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