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色弱の世界を彩る

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世界に色が無ければ、たぶん世界は夢なんだと思う。 夢の中で瞳を閉じれば、たぶん世界は無なんだと思う。 スターバックスでアイスコーヒーを頼むのも、マクドナルドでハンバーガーを頼むの…
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#詩

雲の向こう

雲の向こう

ぼんやりとしている。

黒でも白でもない、灰色の雲の所々にもっと薄い雲がかかっていて、精一杯目を見開いたら晴れ間が見えそうな気がする。
でも実はそんなことなんてなくて、ただ灰色の雲より低い位置にかかっているだけで、一面に広がる野原にタンポポの群集を見つけたときのような喜びなんてない。

雲間から太陽の光が差し込んでこないかなと淡い期待を抱いてみるけれど、雨は強くなる一方で、瓦屋根は灰色から濃灰色に

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制限された文字数の中で

制限された文字数の中で

400字詰めの原稿用紙がある。サイズはなんでもいい。b4サイズでもa4サイズでもなんでもいい。ここではb4サイズを思い浮かべてもらえばいい。

その原稿用紙を渡されて「自由に使ってください」といわれれば、多くの人はきっときっちりとマスの中に文字を納めてるだろう。一マス一マス丁寧にそれが決められたことのように文字を羅列していく。

400字という決められた文字数の中では、伝えられることは限られてく

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孤独消えた地図は 春と出会った!

孤独消えた地図は 春と出会った!

朝からPolarisをエンドレスに聴いている。
なんだか今日はそんな気分。

「星と願うなら」という曲に『孤独消えた地図は 春と出会った』という歌詞が出てくる。
このフレーズが呪文のように再生される。

孤独消えた地図は 春と出会った! 孤独消えた地図は 春と出会った!
孤独消えた地図は 春と出会った! 孤独消えた地図は 春と出会った!

素敵な表現だな。

素敵なフレーズや言葉を思

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たまには聴きたくなる音楽は、あの日の苦悩や楽しかった思い出を思い出させてくれる変わりに、現在の自分の深い悩みを鮮明にさせてくれる。

たまには聴きたくなる音楽は、あの日の苦悩や楽しかった思い出を思い出させてくれる変わりに、現在の自分の深い悩みを鮮明にさせてくれる。

たまに聴きたくなる古い音楽、ぼくだったら19とかZARDとか普段では絶対聞かない音楽が聴きたくなるときがある。

当時流行っていたときですら聴くことすらなかったのに、それが大人になってふと聴きたくなる時期がある。

そのときはいつだって”何かに悩んでる”ときが多い。

理由なんてわからないけれど、あの日のことを思い出しているんだと思う。
それは苦しかったあの日のことや、楽しかったあの日のことや、初

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風鈴

風鈴

風鈴を降ろした。

まだ残暑厳しい日々が続くけれど、
朝夕はだいぶ涼しく過ごせるようになった。

平成最後の夏はいつもと変わらない夏で、
風鈴の音色もいつもと変わらない気がした。

来年の夏は新しい風鈴を買おうと思う。

明珍火鉢風鈴が欲しい。

少し高いけれど、新しい音が聴きたくなったと感じた今年の夏でした。

初めてダレス国際空港に降り立ったのは二十四歳の七夕の日だった。ぼくは嬉しくなってグッドモーニングアメリカ!と叫んだ。

初めてダレス国際空港に降り立ったのは二十四歳の七夕の日だった。ぼくは嬉しくなってグッドモーニングアメリカ!と叫んだ。

 今日は七夕。
 ぼくの七夕の記憶はこれくらい。
 星は見えないけど、きっと織姫と彦星はどこかで会ってるのかな。
 たまにはデネブのことも思い出してあげてください。

 「流星」 流星の上に飛び乗ったのなら
 星のオーケストラを引き連れて
 飛び出そう

 小さな星のあの子のために
 かわいい顔したあの子のために
 僕は叫ぶんだ

 星がささやくこんな夜だから
 君のために叫ぶんだ
 届くといいな

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アラベスクは感情を揺さぶる。田園風景広がる畦道を思い出させてくれたり、排気ガス香る高層ビルの隙間風を思い出させてくれたり、あるいは世界の隅っこで泣いている誰かを思い出させてくれたり。

アラベスクは感情を揺さぶる。田園風景広がる畦道を思い出させてくれたり、排気ガス香る高層ビルの隙間風を思い出させてくれたり、あるいは世界の隅っこで泣いている誰かを思い出させてくれたり。

 目を閉じてアラベスクを聴く。TVの雑音からたまたま流れてきたアラベスクに耳を傾けることはあっても、クラシックを普段から聴く人以外はそんな機会なんてそうはないだろう。

 できれば、風が通る場所がいい。葉が触れ合って、名前も知らない虫が鳴いて、たまに少し離れた部屋からTVのナレーションが聞こえてくる。カーテンレースがふわっと浮いて、頬を抜けていく。そんな場所。

 畳の部屋がいい。
 あるのは一人

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その場所から6分間直進して、最初の交差点を右に曲がる。そのあと3つ目の信号を左に曲がり、100m進んだ場所にあるものは誰かの世界の中心かもしれない。

その場所から6分間直進して、最初の交差点を右に曲がる。そのあと3つ目の信号を左に曲がり、100m進んだ場所にあるものは誰かの世界の中心かもしれない。

「魂の重さってどのくらいあると思う?」
「さあ、どうでしょうね。あなたはどれくらいであって欲しいの?」
「そうだな、未練たらしい男くらい、あればいいんじゃないかな?」
「それは重いわね」
「急にどうしたの?」
「夢を見たんだ。誰かが生まれ変わる夢さ。
 天空から大地を見渡して、宇宙へ出たり、世界遺産へ行ったりして、結局、生まれ変わることは出来なかったけど、なんだか考えてしまってね。空を飛んでいたん

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名前なんてなんでもよかった。ただ僕が吸っていたタバコの銘柄が「命の別名」だったから、君の名前を「命の別名」と名ずけた。

名前なんてなんでもよかった。ただ僕が吸っていたタバコの銘柄が「命の別名」だったから、君の名前を「命の別名」と名ずけた。

iPodをシャッフルする
モニク・アークが奏でる旋律はドビュッシー
月の光はネオンに閉ざされている
ただ、ぼくの頭蓋の内側は
プラネタリウムのように投影された
月明かりと暖かな光
新宿は今、忙しなく奏でる足音の旋律
ぼくは君のことをこんな風に誘うだろう
お茶でもどう? パリのカフェで。

そこにある色鉛筆で、デタラメな文字の羅列を再構築するには

そこにある色鉛筆で、デタラメな文字の羅列を再構築するには

先日初めてnoteに投稿させていただいて、この1年間くらいただ見るだけだった僕は、少しだけ何かをやってみたくなった。

「それが正直な気持ちです」

右手に持った無限の彩りを放つ色鉛筆、左手はたぶん毎日違う何かを持っている。
それは綺麗なnoteであったり、何かの切れ端であったり、古地図であるかもしれない。

その古地図に色鉛筆でデタラメな文字の羅列を記す。例えばそれは、奥歯を噛み砕いた肥満体のよ

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