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大学入試/進路指導関連

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私が書いた入試や進路関係の記事のまとめ。九州の受験事情も。
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#進路指導

「福大ぐらい、日大ぐらいなら合格する」という言葉に見る、大学進学は簡単であるという大きな勘違い

「福大ぐらい、日大ぐらいなら合格する」という言葉に見る、大学進学は簡単であるという大きな勘違い


面談でよく出る話題担任として進路相談、面談を行っているときに具体的な大学名を参考にして進路指導を行うことは少なくありません。

もちろん、模擬試験の成績で入試の合否を完全に占うことはできませんが、ある程度の参考資料としては十分に活用できます。

その時に保護者や本人から聞く言葉の一つが以下のようなものです。

「最低でも福大ぐらいは通りますよね」

教員という仕事を何年もしていますが、この言葉を

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大学の歴史を調べてから大学を選ぶという進路学習:旧帝国大学編

大学の歴史を調べてから大学を選ぶという進路学習:旧帝国大学編

日本に始めて大学ができたのはいつごろでしょうか。

おそらく東大が最も古く、明治時代だということは見当がつくと思いますが、詳しく調べている人はどれほどいるでしょうか。

私は高校で進路指導をしていますが、実際に大学の歴史を調べてまで進学先を考える生徒はほとんどいません。

ところが、稀にそうした歴史を調べる生徒がいることがあります。

その生徒が間違いなく志望大学に合格する、とは言えませんが歴史を

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ブランド名で大学を選択することの是非

ブランド名で大学を選択することの是非

日本には非常に多くの大学が存在します。

2023年現在において、その数は800弱を数えるほどになっているようです。

その中には有名大学と呼ばれる大学が存在し、東京大学や慶應義塾大学など誰もが知っている大学もその中の一つです。

大学名というブランド大学名にはある種のブランド的な価値が存在するものがあります。

先述の東京大学をはじめとした「旧帝国大学」(明治期に作られた旧制大学)はその筆頭でし

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難関ではないが絶大な人気、佐賀大学:九州の大学別受験事情⑤

難関ではないが絶大な人気、佐賀大学:九州の大学別受験事情⑤

このシリーズの第5回目に当たります。

今回は2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)等の学歴板で「STARS」などと揶揄されることのある大学、佐賀大学です。

ちなみに「STARS」は島根大学、鳥取大学、秋田大学、琉球大学、佐賀大学の5大学のことで、偏差値的に比較的合格しやすい大学群です。

佐賀大学の歴史と特徴佐賀大学は6学部を抱える総合大学で、その歴史は1920年に開講した旧制佐賀高等学校を母体と

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「好きだから○○の専門学校に行く」という進路選択に関しての雑感

「好きだから○○の専門学校に行く」という進路選択に関しての雑感

多様性の時代です。

何か目標があって、それに向かって努力をすることはとても大事なことですし、夢をかなえようと頑張ることは夢を叶える以上の価値を得ることもあるでしょう。

そうした時代背景もあり、特定の職業になることを目的とした、例えば声優やYouTuberなどの専門学校への進学を希望する生徒が増えているような実感があります。

そうした生徒は以前から存在した実際には、そうした希望を出す生徒は以前

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進路指導はいかに教員の「主観」を排するかが重要

進路指導はいかに教員の「主観」を排するかが重要

高校では、担任や進路指導部の教員が主体となって進路指導を行っています。

内容としては、キャリア教育から職場体験、オープンキャンパスの紹介、大学からの模擬講義の実施など、生徒が進路決定をするための手助け全般になります。

地方の高校では、共通テスト後に誰がどこの大学を受験するか、などの検討会も行っているようです。

進路相談の重要性進路指導の中でも、生徒が直接的に関係するものは進路相談でしょう。

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「何になりたいかより何が好きかで進路を語れよ!」

「何になりたいかより何が好きかで進路を語れよ!」

元ネタは以下です。ちなみにワンピースではありませんのでご注意ください。

冗談はさておき、担任として面談や進路指導中に生徒の希望進路や志望動機を聞いていると「○○なりたい」ということが先行しているケースがよくあります。

私の場合、そうしたケースに遭遇した場合、生徒にその進路について再考するようにということ、そして何をしたいかということをもう一度考えるように促しています。

なりたい職業ベースの進

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「始めに過去問ありき」

「始めに過去問ありき」

教員は授業を行うだけが仕事でありません。

具体的には教科担当だけでなく担任として、生徒の大学受験に向けての学習をマネジメントを行っています。
(事務仕事などももちろんありますが)

大学受験を目指す生徒(特に高3に上がってすぐの生徒や、難関大学に向けて受験勉強を始めた生徒)との面談やホームルームでの声掛けで常に口にするのが

「始めに過去問ありき」

という言葉です。

どのぐらいの知識を要求さ

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「偏差値」で大学を選ばせないという担任、進路指導担当者の矜持

「偏差値」で大学を選ばせないという担任、進路指導担当者の矜持

生徒の進学指導を行うとき、「偏差値」で大学の良し悪しを論ずる風潮は非常に強いです。

もちろん、高偏差値大学に記憶力や論理的思考力の優れた学生が多いことを否定はしません。

実際、私の勤務校の卒業生を見てもその傾向はありますし、方々から聞こえてくる話からも同様です。自身の経験則から考えても、それほどずれた認識ではないでしょう。

「偏差値」とは何かでは「偏差値」とは何でしょうか。「偏差値」の定義を

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志望大学が決まらない生徒への進路指導

志望大学が決まらない生徒への進路指導

私は私立高校の教員として、生徒の進路指導に関わっています。

私が担当するのは主に進学、それも4年生大学への進学を考える生徒がほとんどです。

そのため必然的に大学で学ぶことや、そこからの就職に関して情報を収集し、全体に向けてアナウンスしたり、個別に相談を受けて助言したりしています。

大学は4年間ではなく、その先10年を見据えるべき大学進学を考える生徒には常に10年後を考えるようにアドバイスをし

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看護系大学進学への基礎知識

看護師志望者は想像以上に多い私の勤務校には看護師を志望する生徒が複数います。

全国でも女性の新卒者の10人に1人は看護師資格を取得していると言われており、非常に多くの人が選択肢に考える進路です。

九州は土地柄、医療系の志望者が多いのが特徴です。特に女子生徒の看護、医療系志望者の割合は非常に高いです。

これは九州の男尊女卑が残る文化や高所得な職業が少ないということが原因とも言われますがどうなの

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私立医学部志望者が医専予備校に行くべき4つの理由

私立医学部志望者が医専予備校に行くべき4つの理由

私の勤務校には例年、医学部(医学科)を志望する生徒がいます。

その多くは国公立大学の医学部を志望です。そうした家庭の場合、私立医学部は選択肢に入っていないことがほとんどです。

学費の負担などを考慮すると、九州の平均的な所得では6年間で3千万円以上の学費は現実的ではないからです。

しかし、中には家業が医療機関などであるという理由で私立大学の医学部を目指す生徒も存在します。

私立医学部の対応は

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なぜ地方の進学校は、地方国公立大学進学を勧めがちか?

なぜ地方の進学校は、地方国公立大学進学を勧めがちか?

最近、YouTubeなどでも度々話題になるこの話に触れたいと思います。

私は地方の私立進学校に勤務しています。いわゆる自称進学校と呼ばれることも多い学校かもしれません。

さて先日noteでよく見る「でまち」さんの記事に以下のようなものがありました。

要約すると、「地方の進学校の教員は地方国公立大学への進学を勧めがちだが、自分でよく調べよう。個人的には就職に有利な都会の私立大学がおすすめ。」と

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「文系or理系」より「教養系or医療系」

「文系or理系」より「教養系or医療系」

今回の記事はこれから大学進学を考える中高生やその保護者の方に向けた内容です。

先日の記事で「学びたいものが決まらない」進学は決して悪いことではない、ということを書きました。

これと矛盾するようですが、医療系の大学進学は全く別の観点から考える必要があると私は考えています。

「医療系への進学は職業選択として考えるべき」

ということです。

看護系大学の就職先の割合医療系の代表と言えば看護師養成

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