「文系or理系」より「教養系or医療系」
今回の記事はこれから大学進学を考える中高生やその保護者の方に向けた内容です。
先日の記事で「学びたいものが決まらない」進学は決して悪いことではない、ということを書きました。
これと矛盾するようですが、医療系の大学進学は全く別の観点から考える必要があると私は考えています。
「医療系への進学は職業選択として考えるべき」
ということです。
看護系大学の就職先の割合
医療系の代表と言えば看護師養成でしょう。
こちらは私の住む地域では非常に一般的な大学の看護系学部の進学先データです。
5%が進学ですが、それ以外はほぼ看護師への就職です。保健師もありますが、隣接職種ですので基本的に進学者の大半は医療系専門職への就職ということになります。
これは多くの大学でほぼ同様に見られる状況です。一方、特殊な例も存在します。
京都大学の看護養成は他大学と比較して、一般企業や保健師以外の公務員が一定数存在するのがわかります。
詳しい内訳の数値が書いていないため、細かい部分は不明ですがそれでも7割前後は看護師、保健師であることは間違いないようです。
このあたりを比較するのに法学部を出してみます。
見ての通り、法律系専門職がほとんどありません。おそらく「公務」なる部分の中に含まれると思いますが、多くとも15%ぐらいということになります。
医療系学部と他学部との比較
では、医療系学部と他学部との比較を考えます。
医療系学部の卒業生の中には他の職種に就く人も多少はいますが、ほとんどは同一の職種になります。
ということは、入学した時点で職業を選択することになります。
つまり
入学前に適性の有無を確認する
必要がある、ということです。
他学部の場合は興味や意欲で進学先を決めても、4年間の学部生活で見切りをつければ良いでしょう。
理系学部であっても文系学生と同様の就職活動も可能ですから。
まして文系の学生は自身の専門と異なる職種に就くことが大半です。
しかし、医療系は違います。適性がない場合、実習すら困難になり卒業が難しくなります。
それだけでなく、就職活動も自体も難しくなります。免許取得を前提としたカリキュラムのため就職活動をする時期を逸してしまうからです。
また、周囲に就職情報を持つ先輩や友人が少ないこともデメリットとなります。これは単科の看護大学の場合はさらに顕著になります。
このように他学部の進学と同じ土俵で比較をすることすら難しいのではないでしょうか。
「文系or理系」ではなく、「教養系or医療系」
多くの高等学校では「文系or理系」、という進路選択をすることが殆どだと思います。
しかし、私はどちらかと言えば「教養系or医療系」という選択こそすべきではないかと考えています。
文理に関しては、現代社会が抱える諸問題は文理分けがしにくくなりつつあります。
実際、学際領域の学部や大学院の設置が増加しています。
むしろ高校時代は文理を幅広く学び、大学以降で文理を分ける方がより適性にあった進学が可能です。
そして高校時点ではまず医療系か、あるいはそれ以外かをまずしっかり考えることが進路選択において重要ではないでしょうか。
進学後に「こんなはずじゃなかった」という事例ほど本人にとってはもちろんのこと、大学側にとっても不幸でしかありません。
医療系こそは医療職に就く適性や覚悟をしっかりと見極めて進学をすべきように思います。
就職率が良い、や収入が安定する、という理由で医療系を志望する生徒(保護者も)は多いです。
今回の感染症流行を通じて、医療人の公益性や社会的責任の大きさが再確認されました。
その責任を全うする覚悟、そういう重みが存在するということだけでも知った上で進学して欲しいと思わずにはいられません。
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