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進路指導はいかに教員の「主観」を排するかが重要

高校では、担任や進路指導部の教員が主体となって進路指導を行っています。

内容としては、キャリア教育から職場体験、オープンキャンパスの紹介、大学からの模擬講義の実施など、生徒が進路決定をするための手助け全般になります。

地方の高校では、共通テスト後に誰がどこの大学を受験するか、などの検討会も行っているようです。

進路相談の重要性

進路指導の中でも、生徒が直接的に関係するものは進路相談でしょう。

進学先や適性、職業選択で迷ったときに担任や進路指導部の教員に相談をしたという人もいるでしょう。

生徒側からすれば最も身近な進路指導と言えるかもしれません。

高校生は大人になるとはいえ、社会の動きや状況を理解するのは難しいため、将来に悩んだときに相談できる大人を必要とすることは多々あります。

そうしたときに、最も簡単に相談できる身近な大人が教員ということもあり、進路相談業務は一人の人間の人生の方向付けに関わる重大な仕事言えるでしょう。

教員のやりがちな進路指導

地方の高校教員の立場から、以下のような指導を行いがちです。

  • 国公立大学にしておけば間違いない

  • 医療系など資格が重要

  • 公務員や銀行などを勧めがち

こうした指導自体がすべて間違いとは言えません。事実、国公立大学に進学し、医療系の資格を取得したり、公務員に合格したりする人の満足度はそれなりに高いことが多いからです。

さらに言えば、地方都市での就職状況や賃金を考慮すれば「田舎の勝ち組」と言っても差し支えないでしょう。

ところが、それは極めて教員側の主観的な「成功例」でしかありません。

都会に出て一部上場企業に就職したり、ベンチャー企業の創業メンバーになったり、場合によっては自ら起業したりするなど、教員という仕事からかけ離れた成功のロールモデルも存在することを客観的に認識する必要があるのではないでしょうか。

保護者は自分の道か、極端な安定志向のどちらか

生徒が保護者と進路の話をする場合、往々にして社会的にある程度成功した保護者ほど自分の歩んできた道を成功のロールモデルとする傾向が強いようです。

また、現在の境遇や給与面などに不満を抱えている保護者ほど、安定や医療といったものを子供の進路に強制しがちのようです。

これは仕方がない現象です。普通の職業の人間は、自分と関わりのある職種以外の人間がどういった勤務体系でどれほどの給与水準なのかを調べたりすることは少ないでしょう。

その結果、自分の職場から見える範囲の職業か、さもなくば役所や病院といった誰もが訪れる場所の職業しかイメージできないのは当然と言えます。

せっかく進路指導をするのだからこそ

進路指導担当者の強みは、あらゆる職業を調べ、生徒に提案することも仕事となります。

近年は、これまで存在しなかった大学や学部も増加しています。先日書いて専門職大学などもその一つでしょう。

また、職業についても既存の概念を打ち崩す職業が増加しています。リモートワーク従事者や動画製作者などはその良い例です。

そういった多様な職業の実態やある程度に給与、福利厚生なども調べた上で、保護者や他の教員がなかなか勧めることのないような提案を行うことで生徒へ還元することができるのも進路担当者の仕事でしょう。

そのためには「主観」を排して、自分の職業観や既存の常識をもとに話をするのではなく、フラットな視点で考えることを常に意識することが求められていると私は思うのです。

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