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難関ではないが絶大な人気、佐賀大学:九州の大学別受験事情⑤

このシリーズの第5回目に当たります。

今回は2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)等の学歴板で「STARS」などと揶揄されることのある大学、佐賀大学です。

ちなみに「STARS」は島根大学、鳥取大学、秋田大学、琉球大学、佐賀大学の5大学のことで、偏差値的に比較的合格しやすい大学群です。

佐賀大学の歴史と特徴

佐賀大学は6学部を抱える総合大学で、その歴史は1920年に開講した旧制佐賀高等学校を母体としています。

また、医学部は1976年に開学した佐賀医科大学と佐賀大学が合併して設立されました。

佐賀医科大学自体、開学にあたって準備室を佐賀大学内部に設置するなど大学組織としては密接だった2大学が、2004年の国立大学法人化を前に2003年に統合したという経緯を持っています。

大学の組織改編に関して非常に熱心な大学であり、2016年に文化教育学部を廃止し、教育学部と芸術地域デザイン学部を設置しています。

旧制高等学校の系譜を持つ大学が「文科」の歴史を受け継ぐ学部を廃するなど、非常に思い切った改革を行う印象があります。

九州内では人気のある大学

佐賀大学は九州内の国立大学の中で倍率の最も高く人気のある大学です。

2022年度入試においても佐賀大学は前期3.0倍、後期12.2倍、合計で5.4倍となっています。

同年の他の九州内国立大学の場合、以下のような倍率になっています。

$$
\begin{array}{c:c:c:c:c}
\textbf{大学名} &\textbf{前期倍率} &\textbf{後期倍率} & \textbf{総合倍率} \\
\hline
佐賀大学&3.0&12.2&5.4\\
九州大学&2.6&9.8&3.4\\
長崎大学&2.8&7.7&3.6\\
大分大学&3.1&9.3&4.5\\ 
熊本大学&2.5&7.3&3.0\\
宮崎大学&2.8&12.5 &5.3\\ 
鹿児島大学&2.5&8.9&3.5\\ 
\end {array}
$$

ここ数年、大分大学がやや人気傾向はありますが、後期日程まで含めた倍率では佐賀大学がトップとなっています。この状況は20年近く変わっていません。

倍率を見る限りにおいては、間違いなく佐賀大学は人気と言って良いでしょう。

では、どうして人気なのでしょうか。

人気の理由①:受験者層と受験しやすい難度

佐賀大学が人気の理由は比較的入りやすい入試難度が一番に挙げられます。

九州では国立大学に進学するということは将来的な就職はもちろんのこと、親戚縁者がお祝いするような慶事でもあります。

受験生は共通テストがギリギリの得点であっても、私立型に切り替えずに国立を最後まで志望しています。

その中でも最後の砦と言えるのが佐賀大学なのです。

そのため、かつてはセンター試験の平均点が上がり、国立大学に出願可能性のある得点帯の生徒数が増加した年は佐賀大学の倍率が跳ね上がる傾向がありました。

人気の理由②:圧倒的な立地

佐賀大学は佐賀県の県庁所在地、佐賀市に立地しています。

教育学部や経済学部のある本庄キャンパスは佐賀市の中では決して不便な場所ではありません。

しかし、佐賀市は九州の県庁所在地の中で唯一、政令指定都市でも中核市でもない23万人という人口の最も少ない都市です。

学生が四年間を過ごすという経験においては、九州内の他都市と比べてもやや魅力に欠ける印象です。

しかし、その理由の裏返しでもありますが、他都市と近く、交通の便が良いために人口が集中していないということでもあるのです。

福岡市とはJR在来線で約1時間、しかも県境を挟んで隣接もしています。また、福岡県第3の都市、久留米市とは30分です。

それ以外にも福岡県南部や熊本県北部、長崎県東部からのアクセスも良いため、通学圏内に入ってきます。その上佐賀市内の学生を合わせれば、潜在的な受験者数はかなりの数となり、これが人気の理由と言えるでしょう。

人気だけではない、実力派大学

佐賀大学は決して人気だけではなく、個性的な実力派大学です。

2016年に設置した芸術地域デザイン学部は有田焼きで有名な有田町にキャンパスがあり、陶芸関係の研究を行っています。

以前は有田窯業大学校という県立の窯業大学校でしたが、芸術系学部として再編されました。

それ以外にも芸術関係の取り組みに熱心な大学であり、佐賀大学は非常に魅力ある国立大学と言えます。

就職状況も他の国立大学に遜色ない実績であり、進路担当者として積極的に勧めていきたい大学です。

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