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「何になりたいかより何が好きかで進路を語れよ!」

元ネタは以下です。ちなみにワンピースではありませんのでご注意ください。

冗談はさておき、担任として面談や進路指導中に生徒の希望進路や志望動機を聞いていると「○○なりたい」ということが先行しているケースがよくあります。

私の場合、そうしたケースに遭遇した場合、生徒にその進路について再考するようにということ、そして何をしたいかということをもう一度考えるように促しています。

なりたい職業ベースの進路選択の欠点

なりたい職業が決まっている生徒への進路指導は誤解を恐れずに言えば「簡単」です。

本人がなりたいと言っているわけですから、そもそも進路先や大学名もすぐに名前が上がります。

またそういった生徒は第2、3志望の大学も上げてくれることが多く、担当者から言えば手間もかからず楽な生徒と言えるでしょう。

しかし、そうした職業ベースでの進路選択には致命的な欠点があります。

それは仕事の職務内容が果たして本人がやりたいことに繋がっているか、ということです。

やりたいこと≠仕事

もちろん、なりたい職業と本人のやりたいことが一致しているケースや、深くは考えていなくとも職業特性にそれほど解離しないこともあります。

しかし、なりたい職業とその仕事でやれること、本人のやりたいことが極端にずれているケースというのも決して少なくありません。

例えば、「医師」志望者が「高収入」や「安定」を口にする場合などがそれに当たります。「研究者」志望者は「研究」ばかりできると信じていることが多々あります。「教員」志望者は「授業」さえしていればよいと考えがちです。

「高収入」は外資系の方が得られるでしょうし、そこに「安定」を加えるならば年功序列型企業(それも今後は不透明ですが)でしょう。「研究」ならば下手な大学に残るよりも民間の研究機関の方がよっぽど研究メインで仕事をできるでしょう。「授業」がしたければフリーの塾講師になった方がよいわけです。

結局のところ、なりたい職業になったからといってやりたいことをやれるわけではないのに、既存の職業名や働き方に縛られてしか進路選択ができていないのです。

モチベーションの源泉

仕事を選ぶことを先に考えるのではなく、ものの売り買いを通じて利ざやを得るのか、何かを作り出したいのか、自分の疑問や世界の仕組みを解明したいのか、誰かと関わりその役に立ちたいのか、根本的な職業選択の動機をまず見つめなおすところから始めるべきでしょう。

自身のモチベーションの源泉がどこからくるのか、その上でどんな分野に興味があるのかをかけ合わせることで、職業が見えてきます。

逆に、学問に興味があればその分野を学びたい、研究したいだけで大学を選んでも構わないのです。

それがどんな職業に繋がるかは大学で考えても問題ないと思いますし、仕事に繋がらないからその学部を選ばないというのはあまりにも視野狭窄に陥っています。

現在は存在しない職業

事実、30年も経てば現在は存在しない職業が多数出現します。

例えばアプリ開発者やYouTuberなどはその典型例です。

今ある職業から進路を選択するということは、限られた選択肢の中から、しかもすでに古びて交換が必要なものも含まれる選択肢から選んでいることになります。

これは将来の可能性を狭めるだけではないでしょうか。

ここ数年の進路選択の特徴

コロナ以前は、日本全体の景況感が悪くなかったように感じます。

実体経済云々の話については門外漢ですので詳しくはわかりませんが、生徒や保護者の進路選択やアドバイスが文学や基礎研究分野などの虚学分野に対しても抵抗感がそれほどなかったようです。

しかし、コロナ以後に景気の失速や先行き不透明な社会情勢によって明らかに手に職のある資格系や医療関係(しかも医師、看護師ではないコメディカル系)の志望者が増えています。

文系ならば法学部、経済学部という縛りを、理系は工学部しか選択肢に入れないケースが増えているのもその流れの一つと言えます。

しかし、本当に必要なのは今ある職業を選んで進路選択することでしょうか。

大学院まで行けば最低で6年、今の時代のスピードを考えれば景気状況や産業構造、技術革新などが起こり現在と全く異なる世界が見えている可能性は高いはずです。

そうした時に、10年前の考え方で就職をする方がよっぽど不安の残る選択だと私は考えます。

だからこそ

「何になりたいかより何が好きかで進路を語れよ!」

という言葉に繋がるのです。

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