記事一覧
詩集 - こどもたち
Preface
2016年の始まりのころに書き留めた詩を集めた。
僕は、それまで詩を書いたことはなかった。
けれども、とにかく、試みずにはいられなくて、毎朝目が覚めると、iPadに向かって文字を打ち込むようになった。
そのころ、たくさんの夢をみて、自分に次々と心当たりのない感情や記憶がないまぜとなって、浮かび上がってきたのを思い出す。
そうした体験は、僕にとって大切な財産となった。自分自身の
詩 - 昼下がりの詩
小さな時には、忘れてた
うすい言葉の塊が
私の肌を駆け抜けて
そのまま世界となったこと
果てしなく広がる海の向こうには
もう求めないと歌った
日のことを
心の木陰にしまって
今日の日の朝日を眺める時
私は、小さな奇跡を目の当たりにする
千年、万年の時の易々と超える
魔法のとき
太陽の光
青葉の踊り
written by Shinta
2020.5.29
エッセイ - 三つ巴の世界
そう、幾つもの記憶が、交錯しながら、あれもこれも、書いておきたいと思うけれど、もれなく全てを描き切るということは、本当に、同じだけの時間があったとしても、時間というものが、どこまでも伸び縮みする存在であるから、逐一書けばそれで事足りるかといえば、全くそうではないことに、私は途方もない気持ちになる。
という途方もなさ、この世界の私たちが生きている世界の際限のなさが、芸術や物語という様々な具現化の術
日記 - そして僕らは
近くのカフェにて、涼みながら日記を書き始める。
日々すぎていく小さな気づいた景色について、書き残しておきたいという気持ちが、この数日にとかく湧いてくる。
昨日の朝のことだ。4時半頃に、目が覚めた。どうやらMaiも目が覚めたようだった。
僕は夢現の感覚でいた。何かがいつもと違うと感じられた。うっすらと空いた瞼には、朝焼けの柔らかな光が見えた。
とにかく鳥の鳴き声と、虫の声が、凄まじい明瞭さで、
日記 - ひぐらしの記憶
蝉の抜け殻が、玄関のドアの横の壁についていた夕暮れに、散歩に出かけた。最近、夕暮れ時の散歩が好きだ。夏の夕暮れ、ひぐらしが鳴き始める頃、僕はなんとなく外を歩きたくなる。そして、入道雲。
ほんの100歩くらい歩いたら、近くの林を眼前に広がる。木々の揺れ、伸びてきた稲。北の空には、千切れた雲たちが、一定の法則に従って、空にまぶされている。
田んぼの横を流れる水路が、ところどころで音を立てる。曲がる
日記 - AOU制作記
ここ数日、いよいよ僕にもアルバム全貌というものが見え始めてきた。
まだ、未定な部分や、これからさらに深化・進化する部分もあるが、このアルバムによって僕の中の何かが引き出されている感覚があり、それを「人々の中に表していきなさい」と内なる声が囁く。
今回のアルバムタイトル「AOU」
これは、ア・オ・ウという日本語の三つの母音のことでもあり、またシンプルに「会おう」という言葉でもある。
この表題曲
日記 - うたの風景
歌が聞こえる。
それは、果てしない暗闇の底から響いてくる。
その歌から耳をふさぐことはできない。
耳を塞ごうとすればするほど、それは、私の耳の中でより大きく、深くこだました。それは心臓の真ん中から響いてくる。命そのものの歌だから、私には、聞こえないふりをすることなど到底できなかった。
だからと言って、その歌が何を意味しているのかも、私に理解できそうにもなかった。けれども、夢の狭間で、あるい
掌小説 「夢の回廊」
written by Shinta SAKAMOTO
Date 約10000年前
Place Somewhere on Earth
茂みの陰から、現れた人が、ホウであることを思い出すまでに、ほんの束の間、一群の風が、ススキを揺らした。
オポノは、落ちていた木の実を拾うことをやめ、ホウの方を向いた。
その顔には、ほのかに笑みと呼べるような。うっすらとした表情の変化が見えた。
ホウは、開けた草原に
エッセイ 「朝のスープ」
私は、この数日の旅を経て、家に戻ってきた。
先ほど3歳の娘が遊びに出かけ、伽藍堂とした家の中で、私はハーブティーを淹れて、ビスケットを摘んでいる。
外には、金木犀の香りが、うっすらと空気に溶け出し、太陽の光がわずかにその粒子に反射しているように世界がゴールドの気配に満ちていた。
トンボたちの羽に乱反射するこの輝きに何か特有のなつかしさを感じながら、私は、もう一つ、ビスケットに手を伸ばした。
旅
日記 - 新しい世界についての覚え書き
平和な世界に響いている音楽を作る。
それが、私たちの音楽。
「願いが叶ったものとして行動する。するとそれらは必ず実現する。」
地球上の様々な賢者が残した言葉の一つ。
昔、空海について調べていた時、仏教の中で、そうした祈願を立てるという儀式があることを知った。
それはその願いが叶ったものとして今を生きるということでもあった。
これは、なんとも矛盾しているように聞こえるが、しかし世界の真相だと