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【書評】『日本歯科評論増刊 ハイエンドな Skill & Knowledge を活かしたワンランク上のコンポジットレジン修復』
大谷一紀/東京都台東区・大谷歯科クリニック
いまや日々の臨床で欠かせないCR 修復
コ ン ポ ジ ッ ト レ ジ ン 修 復( 以下,CR 修復)は,その物性と接着 技 法 の 大 き な 進 化,Minimal Intervention という治療概念,そして患者の低侵襲な治療へのニーズも相まって,2000 年以降,その適応範囲を広げ世界中で行われている治療法である.
CR 修復は大きな
【書評】 『歯科医師が知っておきたい 小児の閉塞性睡眠時無呼吸―健全な口腔顎顔面発育に必要な知識と対応のポイント』
関崎和夫/新潟県見附市・関崎歯科医院
今,GPの間では,呼吸・睡眠障害を学ぶことが大ブームで歯科雑誌の特集,書籍の発刊,講習会も多い.これらのブームのオリジンは,本書の編著者である外木守雄先生および共同執筆者らが地道に長期に真摯に取り組んできたグループ研究に始まる.
2003年2月に起きた新幹線運転士の居眠り運転事故により,睡眠時無呼吸症候群が大々的にマスコミに報道され,その存在を知った人は多
『日本歯科評論 増刊/ハイエンドなSkill&knowledgeを活かした ワンランク上のコンポジットレジン修復』より―序文
多くの臨床歯科医が日常の臨床においてコンポジットレジン(CR)修復を行っています.修 復治療・補綴治療の低侵襲化・メタルフリー化が進む中,CR 修復は患者さんにとって選択肢の 1つとして重要な治療法となっています.しかしながら,より満足度の高い治療を提供するた めには,単に行うだけではなく,臨床の技術を向上させる必要があります.
本書では,「これを知っておくと CR 修復がより上達する」とい
【書評】『3-stepと3-zoneで対応する サポーティブ・インプラント・セラピーーやさしいインプラント周囲疾患の予防と治療』
中田光太郎/京都市西京区・中田歯科クリニック
どの医院にもインプラント患者は訪れる時代インプラント周囲疾患は,その発現率の高さから今非常に注目を集めている.林丈一朗教授が著された序章の中に記されている「インプラント治療を行わない臨床医にもインプラント患者は訪れる時代」である.
また,インプラントクリニックにおいても自院のインプラント患者でないインプラント周囲疾患患者が来院することもあるし,評
【書評】『歯内療法Next Step 樋状根とRadix Entomolarisへの対応―日本人に多い解剖学的形態への臨床アプローチ』
木ノ本喜史/大阪府吹田市・きのもと歯科
歯科医師なら「樋状根」と聞くと,「下顎第二大臼歯でたまに遭遇する,断面がC字型の根形態」と想像するかもしれない.
筆者(木ノ本)も根管解剖の書籍を執筆したにもかかわらず,そのように思っていたこともあった.
しかし,本書の編者である日本大学松戸歯学部の辻本恭久先生らは,日本人の下顎第二大臼歯をCTにより観察し,女性では50%以上が樋状根であると2015年に報
『歯内療法Next Step 樋状根とRadix Entomolarisへの対応―日本人に多い解剖学的形態への臨床アプローチ』より―はじめに
根管治療の難しさは歯の形態,根管の形態にあるといっても過言ではない.
学生時代に口腔解剖学で学んだ歯の形態について,歯科医師ならば知識は持っている.しかし,その知識は基礎的な知識であって,専門的なものではない.
以前の研究は抜去歯からのデータがほとんどであり,資料の性別,年齢や既往歴等詳細なデータがないものもあった.
近年はCTを使用した検査が行えるようになり,デンタル写真ではわかりえなかった歯根
【書評】『アドバンスドデンチャーテクニック―長期使用を目指した義歯の製作とメインテナンス』
山下秀一郎/東京歯科大学 パーシャルデンチャー補綴学講座 教授
超高齢社会に突入したわが国
わが国は世界最速で超高齢社会に突入し,その後も高齢者の割合は増加の一途を辿っている.
その結果,健康寿命の延伸と健康格差の縮小を基本的な方向として,口腔の健康と全身の健康の関わりがうたわれるようになってきた.
口腔の健康は,口から食べる喜び,話す楽しみを保つ上で重要であり,生活の質の向上にも大きく寄与し