見出し画像

【書評】『日本歯科評論増刊 ハイエンドな Skill & Knowledge を活かしたワンランク上のコンポジットレジン修復』

月刊『日本歯科評論』では,当社発刊本の書評を随時掲載しております.2023年12月号に掲載する「HYORON Book Review」を発刊に先がけて全文公開いたします.(編集部)

大谷一紀/東京都台東区・大谷歯科クリニック

いまや日々の臨床で欠かせないCR 修復

コ ン ポ ジ ッ ト レ ジ ン 修 復( 以下,CR 修復)は,その物性と接着 技 法 の 大 き な 進 化,Minimal Intervention という治療概念,そして患者の低侵襲な治療へのニーズも相まって,2000 年以降,その適応範囲を広げ世界中で行われている治療法である.

CR 修復は大きな導入コストもかからず,低侵襲で歯冠色材料による即日審美修復が可能であり,多くの歯科医師が日々臨床で行っている治療である.しかし,適切な適応症例選択,充塡補助器具の選択や使用法,また短いチェアタイムの中で,確実な接着処理や精度の高い充塡を行い,良好な予後とすることは容易ではなく,術者の技量に左右される部分も少なくない.

また,特に審美エリアにおけるCR 修復では審美的な術後としなければ患者の満足を得られない症例も多く,精度の高い充塡と審美性の両立を達成することが求められる治療である.

CR 修復の質を向上させる情報が解説された Materials 編

本書は,序盤の「Materials 編」と中盤以降の「Technique 編」で構成されており,前半のパートではCR 修復の根本を支える接着システムについてエビデンスを基に簡潔に解説され,ユニバーサルアドヒーシブの最新の情報をアップデートできるよい機会になるであろう.

また,近年多くのシステムが上市されているユニバーサルシェードコンセプトのコンポジットレジンシステムについても,それぞれのシステムの特性が簡潔にまとめられているため,各クリニックに合ったシステムを選ぶ際には参考にすることをお勧めする.

さらに,接着効果を最大限に引き出す接着前処理,フロアブルコンポジットレジンの使用法,光照射の勘所など,日々の CR 修復の質を向上させるために必要な情報が細かく解説されている. 

CR 修復の精度向上と適応拡大を目指す Technique 編

本書の中盤以降の Technique 編では,前歯・臼歯部の CR 修復を機能的かつ審美的に行うためのエッセンスがぎっしり詰まっており,難易度の高い症例でも精度の高い CR 修復がすぐに実践できるような,デジタル技術の活用法,縁下マージンへの対応法,2級 CR 修復への充塡法,欠損症例へのコンポジットレジンの応用(ダイレクトブリッジ)など,数多くの効率的で誰にでもすぐに実践可能な CR 修復の利点を活かした新しい充塡テクニックが紹介されている.

本書を読むだけで,明日からのCR 修復の精度の向上だけでなく,先生方の CR 修復の適応症例も広がるような内容となっている.

スキルアップに最適の一書

日常臨床で行うことの多い CR 修復であるが,マテリアル・テクニックともに進化を続けている.若手歯科医師だけでなくベテランの先生にも本書を手にとってもらい,最新の情報・知識・テクニックを習得して,日々の CR 修復のスキルアップに繋げてほしい.

関連リンク
『日本歯科評論増刊 ハイエンドな Skill & Knowledge を活かしたワンランク上のコンポジットレジン修復』(保坂啓一 編著)

シエン社でのご購入はこちらから

月刊『日本歯科評論』のSNS
FacebookInstagramX(旧Twitter)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?