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2024年6月の記事一覧

死んだふり 《詩》

死んだふり 《詩》

「死んだふり」

必要悪が裏の正解領域で

息を殺して生き続ける

人の形をした程度の分際が虹を欲する

辿り着けない朝の向こうに
見えた汚れた海

大人の顔をした愛想が

一方的な暴力を振う

生まれてきた喜びや
生きて行く上での業だとか

慢心と理想論 

遠いと思い込んでいた天国と地獄

誰も悪くないのなら 
何故 僕等は泣いている

夢の奥底 今は黙って死んだふり

傷口を固めた嘘が 

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道化師の告白 《詩》

道化師の告白 《詩》

「道化師の告白」

現実を何も語らない事により 

何かが語られている

色彩を失くした平板な世が血を流し 

人格の一部を欠損した歪な夜空が
消えそうな月を映し出す

感覚を喪失した星は輝き方を忘れる

僕の固定された視界には

道化師の告白が終わり無く
文章化されて行く

彼は決して真実を語らない

モノクロの街で薔薇を売る女

暗室での祝祭 完結された愛

純文学とは無関係な風が
真夜中を彷

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樹木の影 《詩》

樹木の影 《詩》

「樹木の影」

垂直な壁に映る樹木の影

其処にはあるのは 

自分では無い誰かの影か 幻想か

言葉は投げかけられ消えてゆく

並列的に並んだ美質と欠落が
境界線を超え存在する

其の延長線にあるものは

樹木では無く私自身だった

解析不能な特質は決して
開かれる事は無い

定規で線を引く様に綺麗な均整

其れと同種の物を身体に纏う

血肉にもならない言葉の羅列に
埋もれてゆく

私は存在の狂

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白い月の光 《詩》

白い月の光 《詩》

「白い月の光」

夜明け前の白い月に 

僕達ふたりの

それぞれが抱える
事柄の差異が映し出される

その白い月は夜空の端っこで

暗示的な光を微かに放つ

僕は迷いの中で朝を迎える

其れは圧倒的な混乱とは違う 

確信のある答えが
欲しかっただけなんだ

彼女は時計を見つめている

その針は宿命的な時を示す

僕は彼女の背中をそっと
指先で撫で

君は静かにうなずいた

所有し所有される事の

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君に贈る詩 《詩》

君に贈る詩 《詩》

「君に贈る詩」

君は詩なんか読まない

僕の書いた文字は透き通っていて

君の瞳には映らない

窓からは低くたれこめた
暗い雲が見えた

そうかもしれない 

僕は口に出してそう言った

僕がペンを持った瞬間に
言葉は消えて無くなってしまう

詩を読む様に独り言を呟く

君は詩なんか読まない

静かに雨が降りはじめた

Photo : Seiji Arita