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seiji_arita
2023年9月25日 20:19
「マリーゴールド」窓から射し込む秋の太陽が薄い光のベールを作りだす彼女の膝元を柔らかく包み込む様に窓の外の光は静かに地面に降り注ぎ花壇のマリーゴールドが小さく揺れていた僕は窓を開け放ち外の空気を部屋の中へ入れた彼女は読みかけの小説に栞を挟みバックの中に納めた彼女を抱き抱えて 玄関脇の車椅子に乗せたもういいよ 離婚しても もういいよいつも彼
2023年9月20日 20:23
「ふたりの旅」救いになるのは金なのだろうかそれとも金に似た愛なのだろうか酷似してはいるが全く違う満たすと言うところは同じかもしれない 外面的であるか内面的であるかに過ぎない随分と長い時間が過ぎて行った気がした俺はサングラスをかけたまま真夜中を見ていた煙草を吸い終えたら旅に出かけよう逃げるんじゃないさ 弾き出されただけさ俺もお前も誰もがいつも満
2023年9月19日 18:51
「スコール」ドーナツショップのカウンター穴が開いてるから可愛いんだよねってドーナツの穴から僕を覗いた茶色い瞳が笑ってた駅ビルの旅行代理店の前で南の島のパンフレットを眺めた前に首里城に行った時の事を思い出していたいきなりのスコールでずぶ濡れになってどちらが雨男なのか雨女なのかそんな話しをしたよねサーターアンダギーとか海葡萄 ブエノチキンとかオリ
2023年9月14日 17:23
「オレンジジュース」純粋で透明な氷がオレンジジュースに溶けていく透かして窓の外を見渡す不均一な混ざり合いの中 屈折した街の灯りが見えた押し付けがましく喋るテレビのスイッチを切り君を抱き寄せた僕は剥き出しになった正直さを隠しきれず欲望と正比例する様に深く君の中に沈み込む真実を示す必要も無く リスクを回避する必要も無い凡庸を固着させ切り取った様な絵
2023年9月14日 14:28
「静かな風」君は僕を利用していた そしてまた 僕も君を利用していただけに過ぎないのかもしれない言い方が悪いね 少し変えよう君は耐え難い日常を壊す為に僕の非現実的な思考から来る言動と行動を欲した僕もまた君の葛藤と煩悶の闇の中に誰にも表現しえ無い刹那を感じ惹かれていたそれは最初からわかっていたのかもしれない君も僕も 僕たちふたりの話は もう終わりに
2023年9月13日 22:39
「メロディー」マリンブルーの外壁の先に海が見えた何処までも青く僕とは無関係に 陽の光を受け綺麗に輝いているショートヘアーをさりげなく横に流す仕草耳元にシルバーのピアスが似合ってたピアノの蓋を開け 白と黒の鍵盤にそっと手を置いた何処かで聴いた事のあるメロディー海の音が聞こえる部屋ウォッカをグレープフルーツで割ったカクテルマドラーで掻き混ぜる指先に光る
2023年9月13日 17:31
「CHANEL」僕は海の底から空を泳ぐ魚の数を数えていた意味なんて無い憧れとかそんなものでも無い ただ無数の魚が描く動線を見ていた彼女の静かな息づかいだけに耳を済ませて此処から出て行く理由なんて幾らでもあったはず少しずつ溶け出した街の中で九月の海が雨に混じり落ちてくる希望と願い安らぎを 絶望と諦め寂しさを 飲み込んで行く様を見ていた色々な不運
2023年9月9日 21:55
「透明な風」ラムレーズンの様な星屑がとりとめもなく散らばる丘を歩いたギリシャ神話を語る中古品の三日月 恐ろしい程の孤独な夜に羽根のペンで書いた言葉それは何の概念も持たない昇っては沈む太陽の軌道僕は文脈と行間の中で静かに息をしていた欠落した感性が脱落を纏い理不尽を抱き企みを育てる僕が間違えたドアを開けたとしても 誰一人として気が付かないだろう
2023年9月5日 13:45
「淡い紫色」それは眩しく綺麗な光だった僕の足元を区切り領域を作り出す彼女は光の中に居て 僕は影の中に居たその影に色は無かった誰にも害も罪も無いこの世界にふさわしい愛の歌が街に流れていた僕は その歌のタイトルも歌手名も知らなかったその歌の歌詞さえも頭の中に残らなかった彼女の長い髪が幾何学的な線を描き風に揺れた交わした言葉は散文的で表情を持たず
2023年9月1日 18:53
「意識の隙間」何処にも行き場所の無い気持ちの羅列を眺めていたそれは心の中をいつまでも彷徨い続けた人間万事塞翁が馬と書かれた旗を持って歩く老人すれ違い様に目が合った僕は煙草が燃え尽きるまでの時間 君に恋をしていたもうその娘の名前すら思い出せない意識の隙間ひとつひとつに開きっぱなしの本の同じページを何度も何度も独りで読み返していた僕が居る僕は何処で間違