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念水さん小僧日記

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noteに上げた念水の小僧日記をまとめました。お坊さんとしての感想が中心です。無一文から参禅堂を建てるまでの心の軌跡。出家に興味ある人必見です(笑)note記事のインデックスみた… もっと読む
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私がお坊さんになった最大の理由。

私がお坊さんになった最大の理由。

今までの人生で母が亡くなったときほど悲しかったことはありません。それまで仏様は遥かに遠い存在でした。お通夜の夜ひとり家にもどって、母のすがたを探しました。もちろん誰もいません。誰もいないはずの家で、誰もいないからこそ、子供の頃のように声をあげて泣きました。

人前では平気な顔しながら、男の子にとって母の死は強く刺さります。生まれたときからずっと「母ちゃん」と呼び、大人になってからは「おふくろ」とか

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掃除のチカラを思いしった出来事。

掃除のチカラを思いしった出来事。

修行僧の一日は大半が掃除です。私はこの掃除というのが子供の頃から大嫌いで、なんとか手を抜けないものか、いつも早く終わらないかと思ってました。やらされてる感が半端なかったのです。嫌だ嫌だと思ってやってましたから当然おもしろくなく、楽しんで掃除するなんて嘘だと信じてました。

草むしり一つとっても冬は日向(ひなた)回り、夏は陰回りといってなるべく楽をしながら広い境内を毎日せっせとやらされるわけです。ぐ

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はじめまして水です。

はじめまして水です。

滝のように毎日情報が流れ込んでくると、どんどん水がたまって池になります。このノートは、そんな情報の池を澄んだものにするための、参禅のすすめです。よかったらお付き合いください。

このノートをはじめた動機は、昨年末わたしの田舎の地面に池を掘ってビオトープ的な自然な庭を創りはじめてからです。話がだんだん凝ったものになり、今、大工さんに頼んで参禅堂を建てようとしてます。

えらいこっちゃ、先立つものが少

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お池に花を咲かせましょう。

お池に花を咲かせましょう。

昨年末親友に頼んで、ミニバックホー(ユンボ)で庭に池を掘ってもらいました。琵琶湖をイメージして琵琶湖の地図をみながら掘り進めていただきました。毎週その池を見に行くのが楽しみです。雪深い土地なので、明日の土曜日は雪景色かもしれません。今年は暖冬のせいか雪が少ないのです。

水は豊富で山から自然に沢水が流れ込んできます。地面を掘っただけで一時間もたたずに水がたまり、なかなか抜けません。雨の日は工事中の

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静かな池、参禅。

静かな池、参禅。

わたしは自分の心を水にたとえるとわかりやすいと思ってます。四六時中さまざまな思いが渦巻いて濁るのですが、池のようにどっしりと構えていると少しずつ 少しずつ澄んでまいります。そして池の底に棲んでいる井守の姿が鮮明にみえてくるのです。

一人で坐禅することを「独坐」といいますが、これはなかなか続きません。じぶんの経験上はそうです。正直ひとに見られていると思うとまじめに坐れます。周りにひとが居るほうが自

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参禅と輝く、やさしいひととき。

参禅と輝く、やさしいひととき。

昨日は田舎にもどって親友と参禅堂のことで色々と相談してました。いわく毎週土曜日の朝6時と8時、10時、午後の2時と4時の一日に計5回(五坐)参禅の会を開いてはどうだろうか?と。

友は、それはいい。止静(坐禅開始)時間に遅れた人を待つことがないからねと早速賛同してくれました。誰も参加してなくても時間を決めるということは大事なことです。ひとりだけでも参禅は参禅ですから。

坐禅の開始を告げる止静(し

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切に思えば必ず遂げる道理。

切に思えば必ず遂げる道理。

永平寺を開かれた道元禅師の言葉であります。
わたしはこの言葉を実感をもって信じております。
なぜなら今の自分は過去に思った通りの自分だからです。
これはいつの時代も変わらない道理です。

熱望しても実現するかどうかはわかりません。
思い通りにならないことも沢山あるでしょう。
しかし志をもって命がけで生きれば実感できます。
願いどおりでなくても結果が思いどおりであったことを。

切に望み、鮮明に描き

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私のビジョン「ともにすわる」を1分でかんたんに説明します。

私のビジョン「ともにすわる」を1分でかんたんに説明します。

↓で記事の内容の音声が聞けます。

ずばり「無料で、誰でも坐禅できる場所を提供すること」です。
そのために参禅堂の建築を大工さんに依頼しています。
完成しましたら、まずは友人や知人と参禅の会を開きます。
決められた時間がきたら、ひとりでも坐ります。

個人の信仰を問いません。
また仏教や禅宗(曹洞宗)を勧めることもしません。

ただ坐禅を勧めます。

壁に向かって(面壁といいます)ただ坐るだけです

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良寛さんの戒めに自らを恥じる。

良寛さんの戒めに自らを恥じる。

良寛戒語へのリンク

現代社会やnoteの世界ではどうか知りませんが、江戸時代の良寛さんの戒めの言葉が私にグサッと刺さっております。
人それぞれですから、これを他人様に向ける気持ちは毛頭ありません。
ただ自分のように半ば隠遁生活を送っている者にとっては、ましてや同じ宗派の大先輩の言葉ですから、深く自らに省みる次第です。

良寛さんの自戒であり、良寛さん自身も他人に向けて発したものではありません。ご

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ヒトは「言葉」で悩む。

ヒトは「言葉」で悩む。

あの人がああ言った、こう言った。
私はこう思う、ああ思う。
なのにあの人は、ああだ、こうだ。
だから私は悪くない、私が悪いんだ。

耳に痛い話ですが、むかし「人間は言葉で悩む」と教えていただきました。

最近になってこの意味を痛感しております。
たとえば、メールのやり取りをした後とか、会議の後、会話の後など「ああいえば良かった、あんなこと言わなきゃ良かった」などと後悔します。
過去や未来に行ったり

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老子とブッダの大きな違い。

老子とブッダの大きな違い。

老荘思想は禅に影響を与えている、あるいは禅が老子に影響を受けているといった見方がありますが、仏教が中国に伝えられたあと様々な考えが生み出されていった関係性に過ぎず、はっきり申し上げて考えすぎです。

思想は、その字の示すとおり、思いや想いのまとめではないでしょうか。

わたしも老子のように生きていけたらいいなと思ってますが、ブッダには、はるかに及ばない偉大さを感じております。

1,あこがれの老子

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ふたりが一番、ひとりは二番。

ふたりが一番、ひとりは二番。

サイの角のように一人で歩むことは善の道です。
志を共にできることは最善の道です。

孤独(ひとり)を楽しむ人が何を言おうと気にしない。不遜ですが自己満足でいいと思ってます。このnoteにしてもページビューやフォローあるいはスキが大事な指標であることは存じておりますが、これを気にしすぎると本質(自分がほんとうにやりたいと思ってること)を見失うような気がしてます。

そもそも自分が満足できないような活

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建築工事の見積書が届き、おどろきとワクワクです。

建築工事の見積書が届き、おどろきとワクワクです。

ようやく大工さんから見積が届きまして、早速PDFを開いての開口一番は「たっか」でしたが、気を取り直して大工さんに電話。資材高騰などの諸事情をお聞きし、まだまだこれからさらに上がる可能性もありますので、基本的には(ここだけの話)了承する予定でいます。

一時の木材不足はおさまりましたが、材木価格は高止まりで推移してるとのこと。大阪万博や北陸の震災復興などが進むと、われわれ末端ユーザーにも余波がありま

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仏家の家宝とは?

仏家の家宝とは?

ブッダは書いたものを一切残していません。
その昔にも後世に文字を残す方法はあったとのことです。
しかしブッダは弟子に話して聞かせただけです。
弟子たちはブッダの生き様とその話を記憶して伝えました。

如是我聞。
わたしはこのように聞きました。
すべてのお経はこの言葉で始まります。
お経とはブッダの教えです。
これが仏教です。

仏教ではその因縁から三宝を敬います。
仏・法・僧が三宝です。
ブッダと

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