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✏️何度も読み返したい「スキ」であふれているマガジン✏️

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心に残ったことば・しゃしん。 何度も何度も読み返したい。
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#小説

私たちはいつも何かを「待っている」「探している」。

私たちはいつも何かを「待っている」「探している」。

目的地が持てるから、都会を歩くのはやっぱり好きだな、と東京の街を見て思う。

新潟を歩いていても、私は目的地が見つけられない。

きれいな夕陽、美味しいお水、昔から知っている友だち。

「あまりにも元気すぎる投稿だから」と、「笑っているから」と。
「大丈夫?」「君はそんなに強くない、だってあの時泣いてた」と。

大切なものはここにあるけど、きっとずっとはここに居られない。分かっているから、愛し

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「たとえあなたが何者でなかったとしても、好き」

「たとえあなたが何者でなかったとしても、好き」

最近、同じようなトピックスが気になっている。気がしている。

たとえばこういう話だ。

"努力しなければ自分のアイデンティティを見失うということは,やはりあってはならない"

あかしさんのこの記事も、同じカテゴリーに入っている。

“「人からの期待に応える」ことでしか、自分を認められない "

という話を、「#旅と写真と文章と」のコミュニティでぽつり、とシェアしていたら(#旅と写真と文章と、という

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金木犀の香りが次に消えてしまうまでは、まだ

金木犀の香りが次に消えてしまうまでは、まだ

旅のことを考える。いまから国際空港へ向かって、飛行機に乗って、何時間かかけて、海を越える。宿を取って、街を歩いて。

今はまだ少し違うな、と感じる。あんなにときめいた、異国の道を歩く時間。

振り返れば、私が欲しかったのは「人生への納得感」だったのだと知る。大切にしたかったのは、得たかったのは、「今を自分が選んでいる」実感だとわかる。

旅に出られない、という小さな檻にぎゅう、戸詰め込まれているよ

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「自己肯定感が強い」という謎解きの途中

「自己肯定感が強い」という謎解きの途中

「それは、佐野さんの自己肯定感が強いからですよ」と言われたことがあった。

編集部の後輩と、普段お世話になっているんだか、ただ好きなんだか、とにかく仕事を一緒にさせてもらったことのあるひとたちと一緒に横浜の野毛で飲んでいて、2軒目だか、3軒目だか、たしか2軒目の中華料理屋だったんだけれど、ふわりと放たれた冷たくて温かいそれ。

何気ない一言だったんだと思う。特にそのあと、「自己肯定感が強い」ことの

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言霊があるとしたら、音の葉に4音を乗せて

言霊があるとしたら、音の葉に4音を乗せて

あの頃見ていたみなとみらいよりも、少しだけ空が狭くなったなぁ、と私は思う。吹く風の気持ちよさは変わらないのに、通り抜ける道幅が狭くなっちゃうなんて。つまんない。

何度もなんども繰り返し話してきたことばたち。「どうして書き仕事をはじめたんですか」なんて、用意していた答えばかり。言いすぎてそれが本当のことみたいになってきちゃったよ。

「家がないんです」なんて、ホントかウソかで言ったらウソで、厳密に

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「旅すること以外にも、楽しいことってたくさんある」と君は言うから

「旅すること以外にも、楽しいことってたくさんある」と君は言うから

小さなしあわせの種というのは、どこにでも転がっているよ。そんなことを言われても、ありふれた日常、毎日の繰り返しの中に、しあわせなんてものが隠れているとは、昔到底思えなかった。

けれど最近、どうしてこんなに毎日が満たされつつあるのだろう? と不思議に思っている。私はただ、「暮らしているだけ」で、長く遠い旅に出ているわけじゃなければ、目新しい出会いに日々身を浸しているわけでもない。

否。「暮らして

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なぜ物語は、スタートに戻るのか -『ついやってしまう体験のつくりかた』より

なぜ物語は、スタートに戻るのか -『ついやってしまう体験のつくりかた』より

たとえば私が東京で暮らしていたとして、多くの人と同じように、コンクリートで固められた道を踏み、日々同じ場所へ通い、箱の中で「仕事」と呼ばれ、与えられた作業をこなしていたとして。

「そうではない場所」に憧れを抱いたとき、「どうしてこんなところに、居るのだろう」と、遠い「何処か」へ想いを馳せたくなる。

そして私は、旅に出る。長く、ながく、数年は帰ってこない世界の旅に。「今まではとは違う場所」を求め

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12月28日、お願い今日という日が暮れないで【日本・東京】

12月28日、お願い今日という日が暮れないで【日本・東京】

遠く暮れてゆく夕陽、もう何度見つめて生きてきただろうと思う。けれど毎日想う。「だってキレイなんだもの」。

「知美は、結局世界はキレイ、としか言っていない」と言ったのは、あの佐賀の地で、誰だっただろう。

「君は『 "それでも" 旅に出たい』と、いつもいつも言っている」とあの人も言っていた。そう私は「それでも」旅に出たい。

美しい世界が、あの海の向こうに広がっていると7歳の頃に知ったから。

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期待することを、私はまだやめたくない。春、桜、舞う季節のはじまりに

期待することを、私はまだやめたくない。春、桜、舞う季節のはじまりに

赤坂見附の歩道橋を渡っている時、ふとそこにピンク色の存在が「咲いているよ」と主張するのを見た。青い空に、少しだけ白い雲。そしてそこに、ピンクの彩りを加える花が、今年も咲く季節がやってきた。開花予報の日を間近に迎え、今みんな、気付き始めている。

目黒川沿いを歩いている時、冬はまだ茶色だけの存在だった彼らが、「もうすぐで咲くからね」と、やはり大きく膨らむのを見ていた。その日はやっぱり寒い冬の日だった

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【私の旅の定番アイテム8個】人生に必要なものはそんなに多くなかった

【私の旅の定番アイテム8個】人生に必要なものはそんなに多くなかった

一番最初に「長い旅に出る」と決めた時、私が持っていったのは69リットルのスーツケース(頑張ったら背負えるスタイルのやつ)と、30リットルのリュック、そして小さなサコッシュだった。

合計、100リットル。「100リットルってどれくらいか想像できる?」 未だによく分からないけど、機内持ち込みサイズのスーツケースが大体30リットル強。それが3つと、まだもうちょっと小さなトートバッグを持てるくらい。

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片道切符の旅は、私たちをもっと自由にする #旅とわたし

片道切符の旅は、私たちをもっと自由にする #旅とわたし

「旅に出る前と出た後で、人生がどう変わったか?」と問われたら、何と答える人が多いのだろう?

「全然変わらなかった」「旅なんて、ちっとも面白くなかった」「本当に素晴らしかった」「ぜひもう一度」。

様々な意見、それこそ十人十色の意見があるだろう中で、もし私が答えるならば、「旅は私のすべてを塗り替えていった」。その返答以外、ない気がしている。

長い旅――、つまり最初の世界一周と、行き足りず思わず続

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どうして今まで、みんなと旅に出なかったんだろう? #旅と写真と文章と

どうして今まで、みんなと旅に出なかったんだろう? #旅と写真と文章と

どうして今まで、みんなと一緒に旅に出なかったんだろう?

つい、そう後悔してしまいそうになるくらいには、本当にほんとうに、楽しかった。

この夏私は体調を崩してしまって、正直にいうと瀬戸内海までたどり着けるのか、たどり着いたとしても同じようにはしゃげるのか、半々くらいで怪しいぞ、と到着の前日まで心配していた。

けど。そんな気持ち、吹き飛ぶくらい楽しくて、うれしくて。

EVERY DENIMの島

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果たして、旅先の一期一会は【デンマーク・コペンハーゲン】

果たして、旅先の一期一会は【デンマーク・コペンハーゲン】

少しだけ思い出話をしたくて、もし書き留めておかなければ、手のひらからこぼれ落ちてしまいそうな、デンマークのあの日の夜の会話たち。

名前はたしか、ケンさん、と言った。まだカメラを持たない旅をしていた頃の私。ううん、片手には、リコーのGRⅡだけがあった。iPhone6sとVSCOのフィルターC1。時間が経つと、途端に色あせてゆく。

あの時間は、決してなかったことにはならないはずなのに。それでも過去

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