落夏

ちりづか

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記事一覧

ココアじゃなくて、母の作ったココアを、母と飲む空間が好きだっただけ

もう久しく飲んでいないココアを、久しぶりに買ってみた。 母との距離感を掴むことが、昔から下手くそで、諦め、切り捨ててしまった私は、幼い頃母が気まぐれで作ってくれ…

落夏
11日前
1

蝉が鳴く理由に毎年驚く(そしてすぐ忘れる)

さっきイヤホンを外したとき、想定より(想定ってなんだという感じではあるのだけど)蝉の声が大きく聞こえてきて思わず上を見上げた。 名前も知らない木に茂る葉っぱが、…

落夏
4週間前

明滅する電気と私

茹だるような暑さに飲み込まれてしまって、毎日同じだけのモチベーションを保つことが難しい。 というか、暑い以外のことを考えられない瞬間が日に何度もくる。 夏は好きな…

落夏
4週間前

習慣を変えるのってめんどくさいよりも怖いのほうが強い

私は高校生くらいの頃から外出時はイヤホンをつけることが習慣になった。 もともと音楽を聴くのが好きで、それは今も変わらない。 当時は百均の有線のイヤホンを、今はワ…

落夏
1か月前
1

空想する、

わるいことをするとサンタさんがこない話。 大きな雷がなるとおへそを隠さなければ取られてしまう話。 スイカの種を食べるとお腹からスイカが生えてくる話。 子どもの頃の…

落夏
1か月前
1

【舌打ちについて考える】

先日ひさしぶり(というか初めて?)に舌打ちをする大人を見かけたので、舌打ちについて考えたい。 見かけたというか、仕事で出会った。 関わりの薄い私から見ても多忙な…

落夏
1か月前

失恋が暑さでごまかされた話

失恋というほどのものではないかもしれない、というかそう思いたい。 でも少し、ちゃんとへこんだから、失恋に分類しようと思う。 大人になってから、余計臆病になってし…

落夏
1か月前

思い出すと自分が脆くなってしまうものの取り扱い方法を探し中

早朝、朝の4時とか5時とか、まだ人がまばらな時間帯。 すっきりした明るさのある道を散歩することにハマっている。 単純な私は、それだけで頭もすっきりしたような感覚にな…

落夏
1か月前

好きになりたくないのだと思う

知人に、「本気で人のこと好きになったことある?」と尋ねられたことがある。 自分でもびっくりするほどするっとでてきた返答は、「なりたくないからならない」だった。知…

落夏
1か月前
1

幼い頃好きだった黄色と、大人になってからいいなと思う青色の話

小さい頃、私は黄色が好きだった。 きっかけというか導入は単純なもので、両親が私と兄弟の私物をわけるときに、兄弟にはそれぞれ別の色をあてがい、それと同じように私に…

落夏
1か月前

文字が読めなくなったらそろそろやばい

読書は飽き性の私が唯一続けられている趣味だ。 というか私は、文字を読む行為自体が好きなのだと思う。 言葉を知ることも、表現を知ることも、知らない人が無数のそれらを…

落夏
1か月前

茹だるような暑さに「夏」が恋しくなる

私は概念としての夏が好きだ。 子どもの頃、田舎の祖母の家に泊まりに行き、トウモロコシを食べた。 畳の上で、扇風機の風を浴びながら、用意してもらった麦茶で喉を潤し…

落夏
1か月前
4

返信をするのが嫌なのではなくて、返事が来るのが嫌なんだな

デジタルネイティブの世代(のはず)だけど、人との連絡が苦手だ。用事があったとしても連絡がくることそのものが億劫だし、喜ばしいような内容の連絡であっても、人からの…

落夏
1か月前

自分を疎ましく思うときの感情処理について

自分の苦手や我ながら疎ましく自分の質を自覚したとき、その感情の処理が不得意だ。 ああ私はやっぱりこうだ。 だからだめなんだ。 自分を否定してしゃがみ込むための言…

落夏
1か月前
1

寄る辺になるのは人だけじゃないのだと

私は小さい頃から、好きなものに執着するくせがあった。好きな人とか、友達とかよりも、ものがよかった。当時は言語化できなかったけど、今思い返せばその理由は、 「絶対…

落夏
1か月前

「深い劣等感を抱えていて、攻撃的になりがち」

私は気に入った言葉をスマホのメモやラインの自分だけのグループとか、アナログな手段だとノートに書き写す癖がある。 この一文はどこで見たのか、本当に覚えていないのだ…

落夏
1か月前

ココアじゃなくて、母の作ったココアを、母と飲む空間が好きだっただけ

もう久しく飲んでいないココアを、久しぶりに買ってみた。

母との距離感を掴むことが、昔から下手くそで、諦め、切り捨ててしまった私は、幼い頃母が気まぐれで作ってくれるココアが好きだったことを思い出した。
ココアの口当たりの良さとか、たまにチョコを入れてもらえる特別感とか、そのあたりを子どもらしく期待して、最後の一口まで惜しくてたまらなかったような記憶があったのだけど、

今思えば、母が作ってくれたコ

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蝉が鳴く理由に毎年驚く(そしてすぐ忘れる)

さっきイヤホンを外したとき、想定より(想定ってなんだという感じではあるのだけど)蝉の声が大きく聞こえてきて思わず上を見上げた。
名前も知らない木に茂る葉っぱが、陽の光に照らされてきらきらしていただけだった。
こんなに彼らの声は聞こえるのに、ぱっと目をやるだけでは姿は見当たらないものだ。

それにしてもこんなに音おおきかったかな、と耳に響く夏らしい合唱に驚いて、それから蝉が鳴く理由ってなんだろうと気

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明滅する電気と私

茹だるような暑さに飲み込まれてしまって、毎日同じだけのモチベーションを保つことが難しい。
というか、暑い以外のことを考えられない瞬間が日に何度もくる。
夏は好きなんだけど、さすがにここまで暑いと明るい気持ちだけではいられない。

昨夜、1DKの私の城の照明がちかちかとまばらな音をあげて間もなく、力尽きてた。
ただの替え時だけど、一瞬「暑すぎてやられた?」とも思った。

私のやる気の波みたいだなと思

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習慣を変えるのってめんどくさいよりも怖いのほうが強い

私は高校生くらいの頃から外出時はイヤホンをつけることが習慣になった。
もともと音楽を聴くのが好きで、それは今も変わらない。

当時は百均の有線のイヤホンを、今はワイヤレスイヤホンを使っている。
線が切れて壊れてしまうこともなく大変便利なのだが、家の中でつけたまま外出すると、ごくまれにケースを忘れてしまう。

充電ができないから場合によっては帰宅時とか移動時とか、イヤホンがつかえないときがあるのだけ

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空想する、

わるいことをするとサンタさんがこない話。
大きな雷がなるとおへそを隠さなければ取られてしまう話。
スイカの種を食べるとお腹からスイカが生えてくる話。

子どもの頃の大人におどかされた経験は、いくらでもあげられそうだ。

おかげで私は小さい頃、「そんなことないだろ」と思う気持ちも抱きつつ、悪いことをしたらどこか遠くに連れて行かれてしまうと思っていたし、その時見ていたアニメの登場人物にしまわれてしまう

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【舌打ちについて考える】

先日ひさしぶり(というか初めて?)に舌打ちをする大人を見かけたので、舌打ちについて考えたい。
見かけたというか、仕事で出会った。

関わりの薄い私から見ても多忙な人で、その人の多忙さがピークにきていたときだったのだと思うのだけど、
静かなオフィスに舌打ちが響いた。

そのとき私の頭に浮かんだのは、

舌打ちに対する突発的な嫌悪感と、
「私が原因の一つだったりするのかな」という心配と、
失礼ながら「

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失恋が暑さでごまかされた話

失恋が暑さでごまかされた話

失恋というほどのものではないかもしれない、というかそう思いたい。
でも少し、ちゃんとへこんだから、失恋に分類しようと思う。

大人になってから、余計臆病になってしまった。自分の感情を飲み下すことも、上手に言葉にして相手に伝えることも、子どもの頃のほうがまっすぐにできていた気がする。
できなかったときも、できない自分にきちんと傷つくことができていた。
ここまで続いた足跡を否定したくないけど、虚しさで

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思い出すと自分が脆くなってしまうものの取り扱い方法を探し中

思い出すと自分が脆くなってしまうものの取り扱い方法を探し中

早朝、朝の4時とか5時とか、まだ人がまばらな時間帯。
すっきりした明るさのある道を散歩することにハマっている。
単純な私は、それだけで頭もすっきりしたような感覚になれている。

ただ、そうしてすっきりして何かを考える余白が生まれたとき、ふとたまに普段は考えないようにしている自分の弱みが、頭をよぎる。
よぎるどころか、支配されそうになることもある。
せっかくの透明な空気が、急に淀んだように感じる。

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好きになりたくないのだと思う

好きになりたくないのだと思う

知人に、「本気で人のこと好きになったことある?」と尋ねられたことがある。

自分でもびっくりするほどするっとでてきた返答は、「なりたくないからならない」だった。知人は納得したか返事に困ったかわからないけど、そのあとすぐに寝息が聞こえて、会話は終了した。無意識のうちに私の脳は、私についてそう結論付けていたのだな、と声に出してから納得した。

例えば、その人がまるで自分の生活の一部みたいに思えるように

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幼い頃好きだった黄色と、大人になってからいいなと思う青色の話

幼い頃好きだった黄色と、大人になってからいいなと思う青色の話

小さい頃、私は黄色が好きだった。
きっかけというか導入は単純なもので、両親が私と兄弟の私物をわけるときに、兄弟にはそれぞれ別の色をあてがい、それと同じように私には黄色をあてがったことからはじまっている。

歯ブラシとか、コップとか、そういう日常のものから私は黄色が私の色であることを教わった。
そのあとは自分の手元に馴染んだ黄色が宝物みたいに大事に思えて、まんまと気に入った。

ひまわりやたんぽぽが

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文字が読めなくなったらそろそろやばい

読書は飽き性の私が唯一続けられている趣味だ。
というか私は、文字を読む行為自体が好きなのだと思う。
言葉を知ることも、表現を知ることも、知らない人が無数のそれらを組み合わせて成立させた文章を読むことも、すべてが好きだ。

それでも自分の生活に余裕がなくなったり、うまくいかなくて何も考えたくなくなってしまったりしたときには、どんなに好きな作家の好きな文章でも目に留まらなくなる。
文字を目で追い、脳に

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茹だるような暑さに「夏」が恋しくなる

茹だるような暑さに「夏」が恋しくなる

私は概念としての夏が好きだ。

子どもの頃、田舎の祖母の家に泊まりに行き、トウモロコシを食べた。
畳の上で、扇風機の風を浴びながら、用意してもらった麦茶で喉を潤しながら、夏休みの宿題に取り組んだ。
プール開放の帰りには氷砂糖をもらって、口に含んだそれがなるべく長く残るようにと転がしながら、サンダル焼けした足を見つめた。

私の子ども時代の夏にはそんな思い出がたくさんあって、それにひきずられるように

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返信をするのが嫌なのではなくて、返事が来るのが嫌なんだな

デジタルネイティブの世代(のはず)だけど、人との連絡が苦手だ。用事があったとしても連絡がくることそのものが億劫だし、喜ばしいような内容の連絡であっても、人からの連絡で自分の感情が動かされている感覚がとても苦手だ。
でも誰からも放っておかれてしまうのは耐えられない。
文章にするとなんて面倒な性分なんだろうと思う。

それはさておき。
連絡無精であること自体は悪いことではないはずなのに、「冷たい」「人

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自分を疎ましく思うときの感情処理について

自分の苦手や我ながら疎ましく自分の質を自覚したとき、その感情の処理が不得意だ。

ああ私はやっぱりこうだ。
だからだめなんだ。

自分を否定してしゃがみ込むための言葉は尽きることがなくて、その言葉の量に押されるように、元気もやる気もモチベーションも、加速度的に失われていく。

 一度、ちがうちがうと情けなくなって、どうにか口に出して消し去ってしまいたくなって

「なんで私こんなにだめなんだろう」と

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寄る辺になるのは人だけじゃないのだと

私は小さい頃から、好きなものに執着するくせがあった。好きな人とか、友達とかよりも、ものがよかった。当時は言語化できなかったけど、今思い返せばその理由は、
「絶対ずっとそこにいてくれるから」に違いなかった。

私がどんなに怒っても泣いても拗ねても、ご機嫌を取ってくれることはないけど、その代わりにずっとそこにいてくれる。
その存在たちはまさしく私の寄る辺だった。

絵本やキャラクターのぬいぐるみ、お菓

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「深い劣等感を抱えていて、攻撃的になりがち」

私は気に入った言葉をスマホのメモやラインの自分だけのグループとか、アナログな手段だとノートに書き写す癖がある。
この一文はどこで見たのか、本当に覚えていないのだけど、数年前にこの字面を目で追ってから、ずっと頭にもスマホにも残り続けているものだ。

好きな作品の登場人物の紹介か、説明かなと思ったけど、それにしては救いがなさすぎる一文だなとも思う。
なにかの作品のセリフ(日本語訳)かもしれない。文字と

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