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幼い頃好きだった黄色と、大人になってからいいなと思う青色の話

小さい頃、私は黄色が好きだった。
きっかけというか導入は単純なもので、両親が私と兄弟の私物をわけるときに、兄弟にはそれぞれ別の色をあてがい、それと同じように私には黄色をあてがったことからはじまっている。

歯ブラシとか、コップとか、そういう日常のものから私は黄色が私の色であることを教わった。
そのあとは自分の手元に馴染んだ黄色が宝物みたいに大事に思えて、まんまと気に入った。

ひまわりやたんぽぽがお気に入りの私は、トウモロコシも好きだった。
靴や服は、まるでそれしか見えないみたいに黄色のものを選びとって、たまには他の色を着たらという家族の提案は、幼い私にとってピーマンより受け入れ難く、固く口を結んではねのけ続けた。

きっとその感覚由来のものだと思うが、単純な私は今でも色を選ぶ際、選択肢にあるならば黄色を選択する。

一方で、ここ数年は青の綺麗さに胸を打たれることが増えてきた。

入道雲の背景の、堂々たる青空の色。
掌で掬えば透明なのに、遠くに向かって一面に広がる海の色。

色の濃さも重さも温度も違えど、それらの青の広大さに、いつも私は胸がすくような思いになる。


きらきらと光を反射する青と、塗りつぶしたような爽快さが主張する青。
海や空の青さそのものに惹きつけられると同時に、私の中で黄色は私のものだと言うのとおなじように、青は遠くに大きく広がるもの、というイメージがある。
青を眺めるときは自然と視線が高くなって背筋も伸びるから、青を見ると自動的に背中を柔らかく後押しされるような気持ちになれるのだと思う。

先日、少し思い切って、爪を青く塗ってみた。
私の青は遥か遠くだけじゃなくて、近くにも渡らせることができて、まるで大きなお守りをおすそ分けしてもらったみたいな気持ちになれた。
先程少し剥げてしまったけど、その薄くなったところも私はお気に入りである。



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