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これからの、小売の話をしよう。

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ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界につい… もっと読む
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#お店の未来

「テイクアウトありき」の店舗戦略

「テイクアウトありき」の店舗戦略

外出自粛の影響で、この3ヶ月ほどの間にテイクアウトを提供する店舗が大幅に増えた。外食産業におけるテイクアウトの増加についてはまだ全体の統計は出ていないが、飲食店の中にはテイクアウトの伸びによって昨年とほぼ同水準の売上を確保できているところもあるようで、その戦略が飲食店舗の明暗を分けていると言っても過言ではない。

そんな状況をみながらふと思ったのは、これからテイクアウトの売上を前提とした店舗作りも

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店舗というメディアにしかできないこと

店舗というメディアにしかできないこと

店舗はメディアになる。
これは「小売再生」の中でダグ・スティーブンスも語っていたことだ。

私も百貨店で働いていたとき、ずっと「これから百貨店のライバルは雑誌になる」と考えていた。

「売る」という機能も「新しいものを紹介する」という機能も店舗の専売特許ではなくなった今、店舗に求められる役割は何なのか。

この数年、そのことをずっと考えてきた。

先週月刊koeの創刊イベントとして月刊koe編集長

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@cosme TOKYOという「メディア」の本質

@cosme TOKYOという「メディア」の本質

1月10日、原宿駅目の前のGAP跡地に@cosme TOKTOがオープンした。店舗はその名の通り、@cosmeが運営している。

遅まきながら先日店舗に足を運んだところ、『これこそがまさにメディアとしての店舗である』と感銘を受けたのでそのポイントについて整理しておきたい。

「とりあえずここに行けばいい」という第一想起としての店舗@cosme TOKYOの売りは、通称「デパコス」「ドラコス」と呼ば

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百貨店は出版社化する

百貨店は出版社化する

店舗はメディアになる。
これは約10年前、百貨店に勤務しながら自分の肌で感じたことだった。

『買う』だけなら検索から決済までオンラインで完結する時代、人がわざわざ店舗に足を運ぶ理由はそのキュレーションとコミュニケーションから生じる新たな学びに集約されると考えたからだった。

だからこそ、当時から私は『なぜモノを"売る"ことに固執しなければならないのだろう』と疑問を持っていた。

モノを売ってその

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私たちは、本当は接客「されたい」生き物だ

一時期、『接客不要バッジ』が話題になったことがあった。
買い物中に店員さんに話しかけられるのが嫌な人のために、『話しかけないでください』と意志表示するためのアイテムだ。

実際にバッジを使う人が少なかったのか運用面に問題があったのか、こうした取り組みは結局たいして広がることはなかった。
しかしこうした取り組みが実験されるほど、私たちの多くは店員さんに話しかけられることにストレスを感じている。

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D2CとしてのPBがとるべき発信戦略

D2CとしてのPBがとるべき発信戦略

今年に入って急激に市民権を得てきた『D2C』だが、その定義は曖昧になりつつある。
ブランドが増えるにつれて競争も激化し、アメリカでは多くのD2Cブランドが百貨店や小売店と提携し卸売したり出店したりしている。
最近では直接小売だけではなく、デジタル施策を中心にしたブランドという意味で『デジタルネイティブブランド』と呼ばれることもある。

こうして時の経過とともに定義が変わり続けるD2Cだが、直接商品

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プラットフォームの戦略は、コンテンツに依存する

プラットフォームの戦略は、コンテンツに依存する

消費文化総研の定例雑誌読書会中、『そういえば"マルイブランド"ってもうほとんど雑誌に載っていないよね』という話になった。

マルイブランドとは、花柄スカートやパステルカラーのアンサンブル、Aラインのワンピースなど『ザ・女の子』色の強いアイテムを扱うブランドの総称で、ほとんどがマルイに入っているため勝手に作り出した造語である。

えびもえ全盛期のCanCamがその人気を牽引し、一時期は大学生からOL

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ビジョンには、 "嘘"をついてはいけない #お店note

ビジョンには、 "嘘"をついてはいけない #お店note

金曜日は中川政七商店取締役の緒方さんに『ビジョンファースト経営』をテーマにお話を伺いました。

そしてこの日たまたま打ち合わせで来ていた深津さんにも急遽登壇していただき(!)、noteのビジョン/ミッション設定も交えながら、いかにしてビジョンを核にした企業経営やサービスづくりにあたっていくべきかを語り合いました。

今回図らずも二社のミッション/ビジョンへの向き合い方を聞くことになったわけですが、

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100%リサイクル可能。ダンボールの家・Wikkelhouse(ウィッケルハウス)

100%リサイクル可能。ダンボールの家・Wikkelhouse(ウィッケルハウス)

オランダで暮らすようになって2年が経ちました。
私は留学や海外駐在経験がなく、日本以外の国で暮らすのはオランダが初めてです。
初めての海外リモートワーク、ゼロからの人間関係構築・仕事の獲得、住宅探し…この2年で本当に色々な経験をしました。

環境に対する意識の変化住む国が変わったことで、仕事の仕方や暮らし方はガラリと変わりました。
日常のちょっとした場面にも日本とは全く違う側面があり、じわじわと自

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これからは「世界観」が商品になる

これからは「世界観」が商品になる

WarbyParkerやEverlane、CasperといったD2Cブランドの台頭と店舗のメディア化、PBブランドの隆盛。

こうした小売業界における変化の根源は、すべてひとつの要素に集約されると思う。

それは『世界観こそが最大の資産である』ということだ。

以前「ブランドとメディアの境目がなくなっていく時代に」というnoteを書いたのだけど、境目がなくなっていくのはもはや小売とメディアだけの話

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個人の名前でショップを出す時代

個人の名前でショップを出す時代

ブロガーからはじまり、最近ではYoutuber、Instagramerなど個人でメディアとして活動する人が増えてきました。

少し前まで何千・何万単位の人にリーチするためにはお金も人脈も必要でしたが、今はセンスと努力があればほとんどコストをかけることなく実現できてしまいます。

その影響力は計り知れず、投稿を見ていると下手なメディアよりも売るのがうまい人もいます。

なんの芸能活動もしていない一般

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