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#美術

北朝鮮の“ゴミ”が近隣国にとって“宝”になる可能性を秘めているわけ(#62)

北朝鮮の“ゴミ”が近隣国にとって“宝”になる可能性を秘めているわけ(#62)

アートとデザインの間にある違いは平たくいえば「用途があるかどうか」である。

後者はそれがあるものを指す。

ところで浮世絵はアートなのだろうか、それともデザインだろうか。

今ではアートかもしれない。

ただ、元々はその枠に当てはまらなかった。

アートやデザインといった概念は西欧由来のもので、江戸時代にはそんな概念がなかったからである。

そもそも浮世絵は何だったのか?

新聞だった。

そし

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看书:『美術の経済学』(#57)

看书:『美術の経済学』(#57)


あなたには“どんな名前”があるか美術市場で作品が流通する手段は2種類あるといわれています。
ひとつがプライマリー・マーケット(一次流通)で、もうひとつがセカンダリー・マーケット(二次流通)、その違いは「流通しやすさ」であり、その基準はアーティストの「名がどのくらい知られているか」が肝です。
たとえばギャラリーの方がアーティストより知られた存在ならばギャラリーで流通させた方が効率的ですし、逆にアー

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モナ・リザはなぜ“マドンナ”的存在から、彼女自身の想像を遥かに超えた存在になったのか(#50)

モナ・リザはなぜ“マドンナ”的存在から、彼女自身の想像を遥かに超えた存在になったのか(#50)

ひょんなことからモナ・リザについて調べていたところ面白いジャケットをみつけました。

この作品はアメリカのラップミュージックでジャケットの見た目通り、タイトルは『Mona Lisa』です。
普段ラップを好んで聴きませんが、古レコード店で見つけたならきっと“ジャケ買い”していたと思います。
観光地で観光スポットに飽きることがあるのですが、そのときよく足を運ぶ場所がローカルの古書店、古レコード店、古着

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ブラジル人画家イスマエル・ネリが“それでも”人物画をモチーフにし続けた理由(#49)

ブラジル人画家イスマエル・ネリが“それでも”人物画をモチーフにし続けた理由(#49)

下の絵に描かれている人物が誰であるか、御存知な方は多いのではないでしょうか。
トレードマークであるざんぐり頭に丸眼鏡、鼻下のちょび髭で装ったのは御馴染み、藤田嗣治(レオナール・フジタ)です。

”教授”こと、作曲家坂本龍一の風貌はどこか藤田を彷彿とさせると感じるのは私だけでしょうか。
しかしながら、藤田の装いを再現できる人はそれだけで何かセンスのようなものを感じさせます。

閑話休題、この絵を描い

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美術作品が“ゴミ”となり得るわけ(前編)(#37)

美術作品が“ゴミ”となり得るわけ(前編)(#37)

ちょうど美術作品についての価値について考えていた矢先、このような記事をみつけました。
当人にとって価値あるものも他者にとってはそうでないとき、持ち主が変わることで価値そのものもゴミのように無価値になるのです。

アーティストや画商などアート界隈で商いにしている方々は当然自らが提供するものを「価値あるもの」として世に結びつけます。
大前提として自分自身(あるいは作品)が価値ある存在になるためでもあり

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Movie:『ナチスの愛したフェルメール』(2016年, 🇳🇱)(#35)

Movie:『ナチスの愛したフェルメール』(2016年, 🇳🇱)(#35)

「よくみろ、あの目は君のものだ」

後に彼の妻となるヨ―ランカと彼女に向ってそういう彼の視線の先にいたのはキリストだった。

『エマオの食事』

フェルメールがこれまで描いていないとされた宗教画である。

しかしそれは贋作である。

彼とはメーヘレンである。

彼の描いたオリジナルの贋作『エマオの食事』、それを自ら割き、復讐は終わるはずだった――。

すべては"復讐"のため、彼を認めなかった美術業

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芸術を小難しくしているのは誰か?(#30)

芸術を小難しくしているのは誰か?(#30)

そごう・西武グループで2009年から2020年の間に販売された3作家の版画作品10図柄、計71点が贋作である可能性が高いとのニュースがありました。

確かに著名作家の作品です。
ただ、“版画”という技法を用いているので、決して安価ではありませんが、手の届きやすい価格です。

判明した経緯は該当する図柄だけが他図柄と比べ、流通量が多いということからでした。

逆をいえば、真作も一定数量産されているこ

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