マガジンのカバー画像

知に至る道の途中で(致知感想文)

33
運営しているクリエイター

記事一覧

『美点凝視』の可能性(致知23年12月号)

『美点凝視』の可能性(致知23年12月号)

対談『チームづくりの要諦は人間学にあり』より

慶応義塾高等学校野球部監督 森林貴彦氏と金蘭会中学校バレーボール部監督 佐藤芳子氏の対談は、スポーツの指導者同士ということもあってか、互いに熱い想いを語り合うものだった。

野球とバレーボールという種目の差はあれども、二人には共通するものがあったのだ。

それは、”致知を生徒の指導に取り入れる”というものだ。

致知を読み、感想を互いに発表し合うこと

もっとみる
今日から『バカ』になる(致知23年11月号)

今日から『バカ』になる(致知23年11月号)

月刊致知は今年で創刊四十五周年を迎え、九月十六日に東京・ホテルニューオータニで記念大会が開かれた。

会場を埋め尽くす人たちの表情は、どれも幸福そうであったという。

そんなエピソードを皮切りにして、総リードでは本号のテーマである『幸福の条件』を謳う数々の名言・金言が紹介された。

安岡正篤氏をはじめ、八木重吉、坂村真民、平澤興、森信三、稲盛和夫氏と、お歴々の言葉が心に染みる。

勿論ではあるが、

もっとみる
人生をおもしろく(致知23年10月号)

人生をおもしろく(致知23年10月号)

対談『世界の頂点をいかに掴んだか』より

本号では侍ジャパントップチーム前監督の栗山英樹氏と、臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺氏が”出逢い”によってどう自己を磨いてきたかを語り合った。

それぞれが人や本との稀有な出会いを機に人生を見つめなおすことで、結果的に良い方向へと導かれてきたと語っている。

その中で培ってきた経験から栗山氏は「強い組織とは、全員が個人の都合よりもチームの都合を優先し、全員がチ

もっとみる
大義を抱いたその瞬間、未来は創られる(致知2023年9月号)

大義を抱いたその瞬間、未来は創られる(致知2023年9月号)

対談『新エネルギーの創出に挑む』より

町おこしエネルギー会長兼社長 沼田昭二氏と、良知経営社長 濵田総一郎氏は二十年来の知人ということもあってか、文章からも互いに気の置けない仲であることが窺い知れる。

私自身、以前より業務スーパーの元社長が地熱発電などの再生可能エネルギー事業に私財を投じて取り組んでいるということを耳にしていたため、本記事のタイトルを目にしたときから期待に胸を躍らせていたが、そ

もっとみる
読書で未来を切り拓く(致知2023年7月号)

読書で未来を切り拓く(致知2023年7月号)

『人生を豊かにする一生モノの読書術』より

本号の記事では、各界の著名人がそれぞれ己の人生に多大な影響を与えた名著を紹介すると共に、読書をすることが如何に大切かを説かれている。

どれもこれも首を縦に振るしかないほどに納得できるものであったが、中でも京都大学名誉教授 鎌田浩毅氏の語る『一生モノの読書術』では、読書に対する意識を変えさせてくれる言葉に出会うことができたので、紹介しよう。

実のところ

もっとみる
水を得るならば、自らを低きに置け(致知2023年6月号)

水を得るならば、自らを低きに置け(致知2023年6月号)

対談『よき人、よき言葉との出逢いが、わが人生を導いてきた』より

よき言葉

イベルメクチンの開発者 大村智氏と、童謡活動家 大庭照子氏の対談では、互いに人生の標となった”よき言葉”を語り合った。

数々の金言が飛び交う中、私の心にひときわ響いたのは大庭氏の母の言葉だった。

人に教えを乞う際の基本姿勢であるが、私には人生をより豊かにしていくためのエッセンスが凝縮されているように感じたのだ。

もっとみる
人間力とシャトレーゼ(致知2023年5月号)

人間力とシャトレーゼ(致知2023年5月号)

インタビュー『人生も経営も試練が成長をもたらす』より

三喜主義

折しも最近自宅の近所にシャトレーゼの新店舗がオープンしたばかりというこのタイミングで、シャトレーゼホールディングス会長 齊藤寛氏のインタビューに出会えたことに不思議な縁を感じた。

二十歳で始めた四坪の焼き菓子店から一代で年商千億を超える企業にまで成長させたという齊藤氏の経営哲学は、意外なことに商いの基本中の基本を頑なに守り通して

もっとみる
一本、芯を通す(致知2023年4月号より)

一本、芯を通す(致知2023年4月号より)

対談『一道に生き、我が情熱は衰えず』

一見畑違いとも思える指揮者・小林研一郎氏と棋士・羽生善治氏の対談には、以外にも確かな共通点があることが窺い知れた。
そう思えたのは対談中に出てきた次の言葉からだ。

演劇にて

これは学生時代、演劇の演出を任されていた私の体験談だ。

その劇のストーリーをかいつまんで言うと、『死んだ男が幽霊となって蘇り、それを知った恋人がその姿を探し求めるも、結局会うことは

もっとみる
流れる枝になれ(致知2023年3月号)

流れる枝になれ(致知2023年3月号)

鼎談『心の力をいかに高めるか』より

『一心万変に応ず』というテーマのもと、文学界から鈴木秀子氏、宗教界から横田南嶺氏、そして経済界から數土文夫氏を迎えて行われた鼎談では、それぞれの経験や知識を引き合いに様々な金言が飛び交った。

文中において、これからの日本に必要なのは「ぶれない中心軸を持つことだ」と説かれている。

私は最初それが意味するのは、さながら激流の中心に突き立った不動の杭のような軸だ

もっとみる
一日一日の積み重ね方(致知2023年2月号)

一日一日の積み重ね方(致知2023年2月号)

インタビュー『一日一日の積み重ねが我が文楽人生をひらいてきた』より

文字通り一日一日を積み重ね、文楽と人生を共にしてきた三世桐竹勘十郎のインタビュー記事は非常に示唆に富んでいる。
特に印象に残ったところを挙げるとするならば、師匠である三世吉田蓑助の言葉である。

私はこの言葉の『芝居』を『夢』と置き換えたい。
いや、ここは『使命』の方がしっくりくるだろうか。

運命論者(悲観的運命論ではない)で

もっとみる
最も重要な仕事(致知2023年1月号)

最も重要な仕事(致知2023年1月号)

勝ち続けるチームの作り方~帝京大学ラグビー部V10への軌跡~より

勝ち続ける難しさ

「勝ち続けるチーム」それは「常に最大限の成長を続けるチーム」である。

毎度のことながら、言葉にすることは簡単だが実現するのは困難を極める。
何故ならば、それは個人ではなく集団としての成長を指しているからだ。

特に社会人にとっては絶望的を通り越し、もはや暗黒宇宙と言っても良い。
同じ職場、同じ仕事をしている人

もっとみる
善の国を造る(致知2022年12月号より)

善の国を造る(致知2022年12月号より)

【特集】追悼 稲盛和夫

特別講話『人は何のために生きるのか』より

運命論は悪者か?

『人は誰もが生まれる前に自らが選んだ使命を背負って生まれてくる』
とは良く聞く話で、往々にしてそれを運命という。

この運命という考え方に対して否定的な印象がもたれるようになったのは何時の頃からだろうか。

確証があるわけではないが、それまで連綿と続いてきたものが崩壊した明治維新と、それに続く自由民権運動が発

もっとみる
君は刀を抜いているか?(致知2022年11月号より)

君は刀を抜いているか?(致知2022年11月号より)

対談「365人の生き方」のドラマが教えるもの より

致知出版社の書籍「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」及び「同・生き方の教科書」の中から、中博氏と国分秀男氏が特に薦めるエピソードを互いに語り合う本記事は、その話のどれもが粒ぞろいであり、全てが珠玉の言葉だった。

運鈍根

出てくる話は須らく今月号のテーマである「運鈍根」が根元にあり、運鈍根が成功の3条件と言われているのも納得

もっとみる
己の花は見れるのか(致知10月号より)

己の花は見れるのか(致知10月号より)

特集総リード「生き方の法則」を読んでの感想

https://www.chichi.co.jp/info/chichi/backnumber/2022/10-3/

文中にて坂村真民氏の詩『こころ』が紹介されていた。

まさに心に染みる詩であるが、中でも私の琴線に触れたのは
「自分の花を咲かせて・仏さまの前に持ってゆくことだ」のくだりである。

最近の自分の生活を省みると、忙しさにかまけて大事なこ

もっとみる