悠星 Yusei

心打たれる絶景や自然の風景を求めて山を彷徨っている者です。 1974年生まれ♂。幼い…

悠星 Yusei

心打たれる絶景や自然の風景を求めて山を彷徨っている者です。 1974年生まれ♂。幼いときは東京都民の心のオアシス高尾山のお膝元で育ち、その後は海外で長年暮らしたのち、現在は東京に住んでいます。ホームマウンテンの高尾山に、南北アルプスを縦走するための体力維持も兼ねて通っています。

マガジン

  • 高尾歳時記

    東京近郊にありながら自然が残され、悠久の歴史の痕跡とロマンが随所にあふれる、憩いの空間高尾山。その年間登山者数は世界一。世界一には世界一の理由があります。その一年を綴ります。

  • 高尾山ノスタルジア

    東京都南西の端、神奈川県にその境を接し、東京都心の程近くにありながら多くの自然が残されている高尾山。いにしえより人の往来があったことから、様々な資料が残されています。記録に残る古き良き高尾を辿ります。

  • 山岳縦走シリーズ

    登山には様々なジャンルがありますが、その中でも、峰々をつないでいく縦走登山は総合力が求められる、挑戦的なジャンル。しかし、剥き出しの自然に生身で飛び込み、地球と一体になる体験は、他では得難いもの。非日常の世界を綴ります。

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自己紹介 Who I am

心打たれる絶景、山に咲く花々、野鳥や森の動物との出会い、そして何よりも下山後の温泉とビールを求めて山を彷徨っている者です。 I am in love with mountaineering, qu…

悠星 Yusei
1年前
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高尾歳時記 2024年5月25日

高尾では、イナモリソウが見頃を迎えています。 イナモリソウは、高尾山の初夏を代表する花のひとつです。高尾山に咲くイナモリソウは前掲の写真にある標準種に加えて、花…

悠星 Yusei
14時間前
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高尾歳時記 2024年5月18日

今年も高尾でムサシノキスゲが咲きました。 ゼンテイカ(禅庭花)という花があります。ススキノキ科ワスレグサ属の多年草で、主に山地や亜高山に自生します。 ゼンテイカ…

悠星 Yusei
7日前
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高尾山ノスタルジア No.19:十三州見晴台

高尾山山頂の大見晴台は、かつて、「十三州見晴台」の呼び名が付けられていました。文字通り山頂から十三ヶ国が見渡せたということに由来するのですが、その内訳は: ①武…

悠星 Yusei
9日前
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高尾歳時記 2024年5月11日

先週5月5日の子供の日は、二十四節気の立夏。暦の上では、夏が始まりました。 本日5月11日、日本列島は高気圧に覆われ全国的に晴れの天気。八王子の市街地は最高気温26℃…

悠星 Yusei
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高尾山ノスタルジア No.18:奥之院から高尾山山頂へ

御本社の脇を進み、石の階段を上がると小高いところにささやかな平地があり、そこには奥之院ならびに浅間社が鎮座します。現在の御本堂が建立される前にその場所にあった三…

悠星 Yusei
2週間前
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高尾山ノスタルジア No.17:高尾山薬王院(2/2)

(前回からの続き) 黒門から道を引き返してお札授与所手前まで戻り、階段をあがって仁王門をくぐると、御本堂(大本堂)の前にでます。この御本堂が完成したのは明治34年…

悠星 Yusei
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高尾山ノスタルジア No.16:高尾山薬王院(1/2)

一礼し、四天王門をくぐるといよいよ薬王院の境内へと足を踏み入れます。 安政2年(1855)の髙松勘四郎による「武州髙尾山畧繪圖」(資料①)ならびに「八王子名勝志」に…

悠星 Yusei
1か月前
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高尾歳時記 2024年4月20日

西山峠のニリンソウの大群落が開花のピークを迎えています。 ニリンソウはその名のとおり、一株に二輪の花をつけます。花期をできるだけ長くして受粉の確率をあげるため、…

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高尾山ノスタルジア No.15:浄心門から薬王院へ

日本の町の成り立ちには城下町や宿場町などいくつかのパターンがありますが、そのうちのひとつに、門前町があります。門前町は、伽藍の門前につながる表参道沿いに参拝者を…

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1か月前
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高尾山ノスタルジア No.14:たこスギ

霞台から山頂方面に1号路を進み、サル園をちょっと過ぎたところ、左手に存在感抜群の杉の巨木があります。 この杉は「樹高約30メートル、目通り約4メートル、樹齢は300年…

悠星 Yusei
1か月前
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高尾歳時記 2024年4月11日

西山峠のニリンソウの大群落が咲きそろってきました。 昨年はニリンソウに限らず花の開花のすすみが例年より早く、去年の今頃には見頃を迎えていましたが、現在の開花状況…

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1か月前
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高尾山ノスタルジア No.13:表参道登山口から霞台へ(2/2)

「八王子名勝志」にある「七曲」の説明を読むと、おもしろいことが書いてあります(資料①)。以下に引きます。 :-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-: 七曲 古瀑布より金毘羅物見䑓迄…

悠星 Yusei
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高尾歳時記 2024年4月7日

先日4月7日木曜日は、二十四節気の清明。二十四節気のなかでは、「啓蟄」と同じぐらい難しいことばです。なにせ、聞いてもピンとこないからです。 この「清明」ですが、季…

悠星 Yusei
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高尾山ノスタルジア No.12:表参道登山口から霞台へ(1/2)

昭和2年(1927)の高尾山ケーブルカー開業からまもない頃と推定される絵葉書に、ケーブルカー山麓駅(清滝駅)前の当時の様子の写真が残っています(資料①)。 駅前広場…

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高尾歳時記 2024年3月30日

昨日3月29日、東京では桜の開花が発表されました。 NHKの報道によると、今年の東京のサクラの開花発表は平年より5日、統計を取り始めてから最も早かった去年(2023年)よ…

悠星 Yusei
1か月前
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自己紹介 Who I am

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心打たれる絶景、山に咲く花々、野鳥や森の動物との出会い、そして何よりも下山後の温泉とビールを求めて山を彷徨っている者です。

I am in love with mountaineering, questing for magnificent views, scenery and flowers that strike my mind, also enjoying encounters with

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高尾歳時記 2024年5月25日

高尾歳時記 2024年5月25日

高尾では、イナモリソウが見頃を迎えています。

イナモリソウは、高尾山の初夏を代表する花のひとつです。高尾山に咲くイナモリソウは前掲の写真にある標準種に加えて、花びらが細く、その縁がくるっと丸まって、まるでお星様のような形になるホシザキイナモリソウと呼ばれる品種も観察できます。

このホシザキイナモリソウは、昨年放送されたNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった牧野富太郎博士が高尾

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高尾歳時記 2024年5月18日

高尾歳時記 2024年5月18日

今年も高尾でムサシノキスゲが咲きました。

ゼンテイカ(禅庭花)という花があります。ススキノキ科ワスレグサ属の多年草で、主に山地や亜高山に自生します。

ゼンテイカがこの植物の標準和名なのですが、あまり耳馴染みがないかも知れません。一般的には、別称であるニッコウキスゲのほうがよく知られているでしょう。

ニッコウキスゲの名は、栃木県日光市の戦場ヶ原で群生が観察されるのがその由来だと聞いたことがあり

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高尾山ノスタルジア No.19:十三州見晴台

高尾山ノスタルジア No.19:十三州見晴台

高尾山山頂の大見晴台は、かつて、「十三州見晴台」の呼び名が付けられていました。文字通り山頂から十三ヶ国が見渡せたということに由来するのですが、その内訳は:

①武蔵②相模(このふたつはふもと)
③安房④上総(房総半島は空がクリアに晴れれば見える)
⑤下総⑥常陸(こちら方向も空がクリアに晴れれば筑波山まで見渡すことができる)
⑦甲斐(道志山塊、富士山、南アルプスなど)

と、ここまでは自信ありますが

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高尾歳時記 2024年5月11日

高尾歳時記 2024年5月11日

先週5月5日の子供の日は、二十四節気の立夏。暦の上では、夏が始まりました。

本日5月11日、日本列島は高気圧に覆われ全国的に晴れの天気。八王子の市街地は最高気温26℃と夏日になったようですが、湿度が低く、日陰に入れば快適な気候。午前10時の高尾山山頂の気温は20℃で、カラッとした晴天。絶好の山行日和でした。

高尾山はゴールデンウィークに混雑するイメージがあると思いますが、実は本当に混雑する時期

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高尾山ノスタルジア No.18:奥之院から高尾山山頂へ

高尾山ノスタルジア No.18:奥之院から高尾山山頂へ

御本社の脇を進み、石の階段を上がると小高いところにささやかな平地があり、そこには奥之院ならびに浅間社が鎮座します。現在の御本堂が建立される前にその場所にあった三棟のお堂のひとつである護摩堂が明治19年(1886)の台風による境内の被災後に移設され奥之院となったとのことですが、戦前の写真を見ると、その姿は現在の姿とだいぶ違います。そのあと、さらなる移設か建て替えがあったものと思われます。

奥之院の

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高尾山ノスタルジア No.17:高尾山薬王院(2/2)

高尾山ノスタルジア No.17:高尾山薬王院(2/2)

(前回からの続き)
黒門から道を引き返してお札授与所手前まで戻り、階段をあがって仁王門をくぐると、御本堂(大本堂)の前にでます。この御本堂が完成したのは明治34年(1901)。「八王子名勝志」の挿絵をみると、現在の大本堂が建っているところには護摩堂と薬師堂ならびに大日堂と三棟のお堂が並んで描かれています(資料①)。

これらのお堂ですが、明治19年(1886)の台風により境内に崖崩れが発生、薬師堂

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高尾山ノスタルジア No.16:高尾山薬王院(1/2)

高尾山ノスタルジア No.16:高尾山薬王院(1/2)

一礼し、四天王門をくぐるといよいよ薬王院の境内へと足を踏み入れます。

安政2年(1855)の髙松勘四郎による「武州髙尾山畧繪圖」(資料①)ならびに「八王子名勝志」に描かれた当時の伽藍の絵図(資料②)をよくみると、山門を過ぎて進んだところ左手に、五重塔が描かれています。以下、「八王子名勝志」にある説明(資料③)を引きます。

(表示できない文字は現代文字に置き換え)
:-:-:-:-:-:-:-:

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高尾歳時記 2024年4月20日

高尾歳時記 2024年4月20日

西山峠のニリンソウの大群落が開花のピークを迎えています。

ニリンソウはその名のとおり、一株に二輪の花をつけます。花期をできるだけ長くして受粉の確率をあげるため、まず一輪目が開花し、そのあと遅れて二輪目が開花します。そして、二輪目が終わりを迎えると葉は急速に朽ちていき、一ヶ月もするとニリンソウは跡形もなく地上から消えてしまいます。

現在ほとんどの株が二輪をつけていて、一部は一輪目が終わっており、

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高尾山ノスタルジア No.15:浄心門から薬王院へ

高尾山ノスタルジア No.15:浄心門から薬王院へ

日本の町の成り立ちには城下町や宿場町などいくつかのパターンがありますが、そのうちのひとつに、門前町があります。門前町は、伽藍の門前につながる表参道沿いに参拝者を迎えもてなす宿場や商業地が発達することで形成されます。お伊勢さんや金毘羅さんがそうですね。薬王院有喜寺においては、表参道(1号路)の起点である清滝周辺にまず門前町が形成されましたが、近代、高尾山ケーブルカーの開業に伴い霞台も商業開発されます

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高尾山ノスタルジア No.14:たこスギ

高尾山ノスタルジア No.14:たこスギ

霞台から山頂方面に1号路を進み、サル園をちょっと過ぎたところ、左手に存在感抜群の杉の巨木があります。

この杉は「樹高約30メートル、目通り約4メートル、樹齢は300年とも500年ともいわれる(*1)」巨木で、「たこスギ」という名が付けられています。

以下、八王子市公式HPの説明文を引きます(*1)。

「たこスギという名前は、露出した根の形がタコの足に似ていることから名付けられました。 どのよ

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高尾歳時記 2024年4月11日

高尾歳時記 2024年4月11日

西山峠のニリンソウの大群落が咲きそろってきました。

昨年はニリンソウに限らず花の開花のすすみが例年より早く、去年の今頃には見頃を迎えていましたが、現在の開花状況は七割ほど。ここまで来ると、気温と天候次第にはなりますが、見頃は間近です。

ニリンソウはその名のとおり、一株に二輪の花をつけます。多くの株は、まず最初の花をつけたあと、遅れてもうひとつの花を咲かせます。二輪が同時に開花しているタイミング

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高尾山ノスタルジア No.13:表参道登山口から霞台へ(2/2)

高尾山ノスタルジア No.13:表参道登山口から霞台へ(2/2)

「八王子名勝志」にある「七曲」の説明を読むと、おもしろいことが書いてあります(資料①)。以下に引きます。

:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:
七曲
古瀑布より金毘羅物見䑓迄の坂路をいふ。左に琵琶の瀑布道あり
:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:

これは、進行方向向かって左の方に琵琶滝への道があるという(つまり、左方向に琵琶滝への道が見えるという……地形を観察するに、七曲か

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高尾歳時記 2024年4月7日

高尾歳時記 2024年4月7日

先日4月7日木曜日は、二十四節気の清明。二十四節気のなかでは、「啓蟄」と同じぐらい難しいことばです。なにせ、聞いてもピンとこないからです。

この「清明」ですが、季節感の説明においては、天明7年(1787)に出版された太玄斎(松平頼救)著「こよみ便覧」からの引用が多いようです。

国立国会図書館収蔵の「こよみ便覧」から引きます。原文縦書き。踊り字はかなに置き換え(注1)。

万物はつして清浄明潔な

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高尾山ノスタルジア No.12:表参道登山口から霞台へ(1/2)

高尾山ノスタルジア No.12:表参道登山口から霞台へ(1/2)

昭和2年(1927)の高尾山ケーブルカー開業からまもない頃と推定される絵葉書に、ケーブルカー山麓駅(清滝駅)前の当時の様子の写真が残っています(資料①)。

駅前広場には立派な門。頭上には「登山鐵道乗場」と掲げられ、木に隠れて見えませんが別の資料によると左の柱には「髙尾登山鐵道株式會社」、そして、右の柱には「鐵道テハ十分間徒歩テハ一時間」とあります。そして運賃の掲示もあり、「賃金 片道 金 貳十五

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高尾歳時記 2024年3月30日

高尾歳時記 2024年3月30日

昨日3月29日、東京では桜の開花が発表されました。

NHKの報道によると、今年の東京のサクラの開花発表は平年より5日、統計を取り始めてから最も早かった去年(2023年)より15日それぞれ遅く、また、2013年以降で最も遅いとのことです(*1)。今年は3月に入ってから寒い日が続きましたので、桜の開花はだいぶ遅れました。

高尾山ケーブルカー山麓駅(清滝駅)前のソメイヨシノの木も開花しています。開花

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