港屋 港

あづま路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる脳筋型文系。 booth→ htt…

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あづま路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる脳筋型文系。 booth→ https://leport.booth.pm/ suzuri→ https://suzuri.jp/chinkaido

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Shirokanipe ranran pishkan/銀の滴降る降るまわりに【読書記録:知里幸惠『アイヌ神謡集』】

 先月、岩波文庫から補訂新版として『アイヌ神謡集』が出版された。1923年8月に初めて刊行されてから、100年の節目である。  以前から手元に置いておきたいと思っていた…

港屋 港
7か月前
2

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CP8CSC3S

 こんなの作ってみました。
 kindle unlimited で読めます。

港屋 港
3か月前
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2024年、辰年

港屋 港
4か月前

宙ぶらりんの含羞――或いは自己診断という羞恥心との戦いについて

 自動車免許をお持ちの方ならば、運転適性検査を受けたことがおありだろう。免許がなくても、就職活動に伴う自己診断などで、あるいは単なる暇潰しに、似たようなことをな…

港屋 港
6か月前

不信心者と戒名

 昨年、母方の大叔父が亡くなった。  私から見るとだいぶ遠縁になる方なので、ご時世もあって葬儀には行かなかったのだが、母親や祖父母は参列した。  大叔父の奥様と…

港屋 港
7か月前

次はこんな絵を描きたい

港屋 港
8か月前
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らくがき

港屋 港
9か月前

蔵書印で遊ぼう

 築ウン十年の安借間をねぐらとする筆者なのだが、近頃蔵書の増加が著しく、人間の生息域を侵犯するまでに至っている。  会う人ごとに力説しているのだが、この増え方は…

港屋 港
9か月前
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長編伝奇小説を読もう【読書記録:駒田信二訳『水滸伝(一)』

 ひょんなことから、講談社文庫版の『水滸伝』全八巻を譲り受けた。『封神演義』『三国志演義』『西遊記』など、中国で生まれた著名な長編小説は好んで読んできたのだが、…

港屋 港
9か月前
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らくがき

港屋 港
10か月前

【詩】はじまりの夜【歌詞】

夜半、遠くに不如帰 街角は月明りに凍え 春の修羅さえ大気に溶けて 瞬きほどの暗闇に憩う 夜半、近くに仏法僧 窓辺は星明りを帯びて ぬすびとすら近寄らぬ場所に 世界の秘…

港屋 港
10か月前

しるこサンドともう会えないひと

 ある日のお茶の時間のことである。私は時折、お師匠様(仮称。私の専門分野の先達)の勤める職場に武者修行に伺っているのだが、そこでは10時と15時のお茶休憩が徹底され…

港屋 港
10か月前
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AI君と記事を書いてみよう

 最近、noteにβ版としてAIアシスタント機能が搭載された。ChatGPTといい、SFが夢見た人工知能の世界はすぐそこまで来ているようだ。  暗雲立ち込める21世紀だが、SFファ…

港屋 港
10か月前
1

断片詩篇

あんまり月が冷たく青く光るものですから、 夜空はすっかり宇宙が透けた群青いろで、 暖かな家の光も、がやがやとした街の灯もとどかないのです。 そのそらに一等星や二…

港屋 港
11か月前

ねこのここねこ

港屋 港
11か月前

富士のかぐや姫――富士の祭神、赫夜姫、木花咲耶姫

 現存する日本最古の物語は、『竹取物語』とされている。  神仙思想・羽衣伝説との関連性も論じられるこの物語は、いまだ作者の特定に至っていない。10世紀代に記された…

港屋 港
11か月前
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Shirokanipe ranran pishkan/銀の滴降る降るまわりに【読書記録:知里幸惠『アイヌ神謡集』】

Shirokanipe ranran pishkan/銀の滴降る降るまわりに【読書記録:知里幸惠『アイヌ神謡集』】

 先月、岩波文庫から補訂新版として『アイヌ神謡集』が出版された。1923年8月に初めて刊行されてから、100年の節目である。
 以前から手元に置いておきたいと思っていた本だったので、この機会に購入した。

 さほど厚みのない200頁少々の文庫本なので、早い方は一日もあれば読んでしまうだろう。そのうち四分の三ほどが『アイヌ神謡集』本編であり、見開きに横書きで、左側にローマ字表記のアイヌ語、右側に日本

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https://www.amazon.co.jp/dp/B0CP8CSC3S

 こんなの作ってみました。
 kindle unlimited で読めます。

宙ぶらりんの含羞――或いは自己診断という羞恥心との戦いについて

宙ぶらりんの含羞――或いは自己診断という羞恥心との戦いについて

 自動車免許をお持ちの方ならば、運転適性検査を受けたことがおありだろう。免許がなくても、就職活動に伴う自己診断などで、あるいは単なる暇潰しに、似たようなことをなさった方もいるかもしれない。
 私も例に漏れず、かなり詳細な設問に答え、機械的に己の性質を分析されるという、腑分けでもされているような仕打ちを幾度も乗りきっている。

 その度に私は、傍目にはわからないだろうが、ひとり鉛筆を片手に葛藤し、恥

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不信心者と戒名

不信心者と戒名

 昨年、母方の大叔父が亡くなった。
 私から見るとだいぶ遠縁になる方なので、ご時世もあって葬儀には行かなかったのだが、母親や祖父母は参列した。

 大叔父の奥様と私の祖母は、お嫁さんと小姑の関係に当たる。嫁姑問題の亜種として、不仲になりがちな立ち位置のふたりなのだが、妙に共通項が多く仲がとても良い。

 大叔父が亡くなってから、葬儀が行われるまで、諸事情があって二週間ほどかかったのだが、その間にも

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蔵書印で遊ぼう

蔵書印で遊ぼう

 築ウン十年の安借間をねぐらとする筆者なのだが、近頃蔵書の増加が著しく、人間の生息域を侵犯するまでに至っている。
 会う人ごとに力説しているのだが、この増え方は異常としか言いようがない。間違いなく、私の家の本は繁殖している。私の知らないところで子供を産んでいるに違いないのだ。そうでなければ、部屋の主である私が寝床と机回り以外を生活に使えていない理由が説明できない。

 ……そんなことを言っても、す

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長編伝奇小説を読もう【読書記録:駒田信二訳『水滸伝(一)』

長編伝奇小説を読もう【読書記録:駒田信二訳『水滸伝(一)』

 ひょんなことから、講談社文庫版の『水滸伝』全八巻を譲り受けた。『封神演義』『三国志演義』『西遊記』など、中国で生まれた著名な長編小説は好んで読んできたのだが、『水滸伝』は未読であったので、楽しんで読み始めた。
 なお、私が今回読んでいるものは1984年に初版が出たもので、少々読みにくい部分もある。これはこれで古典を読んでいる感覚があって乙なものだが、2017年に新訳版が講談社学術文庫より刊行され

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【詩】はじまりの夜【歌詞】

【詩】はじまりの夜【歌詞】

夜半、遠くに不如帰
街角は月明りに凍え
春の修羅さえ大気に溶けて
瞬きほどの暗闇に憩う

夜半、近くに仏法僧
窓辺は星明りを帯びて
ぬすびとすら近寄らぬ場所に
世界の秘密を置いてきた

夜をのみほせ
あまねくひとしく覆いくる夜を
太陽の光線に眩んで
さがしていた答えを忘れる前に

夜を貪れ
無窮の彼方、インドラの網の果て
青い孔雀が虚空を駆けて
はじまりの秘技が隠される前に

夜半、路傍に仏法僧

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しるこサンドともう会えないひと

しるこサンドともう会えないひと

 ある日のお茶の時間のことである。私は時折、お師匠様(仮称。私の専門分野の先達)の勤める職場に武者修行に伺っているのだが、そこでは10時と15時のお茶休憩が徹底されている。実にホワイトな職場である。

 その日のお茶請けはお土産にいただいたしるこサンド、それも抹茶味であった。素朴ながらしっかりとした食べ応えがあるしるこサンドは、根強いファンが多い商品だ。もちろん私もその一人である。
 私がうきうき

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AI君と記事を書いてみよう

AI君と記事を書いてみよう

 最近、noteにβ版としてAIアシスタント機能が搭載された。ChatGPTといい、SFが夢見た人工知能の世界はすぐそこまで来ているようだ。
 暗雲立ち込める21世紀だが、SFファンとしてはわくわくが止まらない時代である。私が死ぬまでに、加速度的な技術進歩の行きつく先をどこまで見られるのか、仄かに恐ろしいと同時に楽しみでならない。

 さて、今回はnoteのAI君(愛称はあるのだろうか)がどれほど

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断片詩篇

断片詩篇



あんまり月が冷たく青く光るものですから、
夜空はすっかり宇宙が透けた群青いろで、
暖かな家の光も、がやがやとした街の灯もとどかないのです。
そのそらに一等星や二等星の、赤いのや青いのがぱらぱらと撒いてあって、
しきりにまたたいていますから、
明日は風が強く吹くことでしょう。

春の蠢きの中に立つと、人間に戻るのが嫌になる。
境界の季節は、律儀に毎年やってくる。
あの蒲公英にとまる、ちいさな蝶で

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ねこのここねこ

富士のかぐや姫――富士の祭神、赫夜姫、木花咲耶姫

富士のかぐや姫――富士の祭神、赫夜姫、木花咲耶姫

 現存する日本最古の物語は、『竹取物語』とされている。
 神仙思想・羽衣伝説との関連性も論じられるこの物語は、いまだ作者の特定に至っていない。10世紀代に記された文献に、既に名前が見えることから、少なくとも10世紀中ごろ(平安時代初期)には成立していたことは確かである。

 児童書や絵本で読んだことがある方もいるだろうし、映像化作品で見た方もいるだろう。故高畑勲監督により、アニメ映画化もなされてい

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