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現代の生き方について
現代の生き方について。現代は、迅速さ、突発さ、軽はずみが幅を利かせる世の中だから、深く考えて立ち止まる必要は毛頭ない。仮に、沈思黙考する人があれば、私たちはできるだけの善意でもって彼を泥沼から救わなけばならない。止まって考えているうちにも、時世から脱落し、電車には乗り遅れ、腰は重く、メールの返信は遅く、神経症で一行も書けず、内向的になってしまう。反射的痙攣的に0か1かの二通りの問題解決が尊ばれる
もっとみる中村真一郎の想像力と現代の想像力について
中村真一郎(1918~1997)は、戦後を代表する作家。加藤周一、福永武彦らとマチネ・ポエティックを結成し、1946年に前記二名との評論集『1946年文学的考察』にて、文壇に登場した。その後、『四季』四部作など、前衛的な小説を出す一方で、評論として源氏物語とそのエピゴーネン(亜流作品)を随筆風に綴った『王朝文学論』、江戸の漢詩人を描いた『頼山陽とその時代』、文化文政期の芸術家を描いた『蠣崎波響の
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