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東京装甲少女 EPISODE0 第21話      【 莫逆 】



秋水は自分を引き留める大きな声が後ろから
したので振り返った、、、、、すると、、。



そこには幼馴染の 朝日 がいた、、、。




姉川朝日は、秋水と幼馴染であり、彼とは幼少の頃から一緒に過ごしてきた存在だ。



体が弱く物静かな朝日を周りがいじめていた所に秋水が助け二人は、その後、友達になった。



朝日は、両親に秋水の武勇伝を自分の事のように
目を輝かせ話していたという。


朝日の成長を案ずる両親は、道場と家が偶然近苦であったという事もあり活発で武芸をする
元気な秋水の様にという願いを込め

【 錬命新當流 】の道場に通わせる事となった。


突然、訳もわからず修練を始めさせられた
朝日だったが、とにかく憧れの秋水と過ごせる事が嬉しかったのか、
いつの間にか、秋水から手解きを受ける事で、
メキメキと上達し

いつしか身体も丈夫になり、
以前とは見違えるほどの活発な男の子に
成長していった。



秋水と朝日は、道場以外でも一緒に   よく過ごしていた。




正義感で曲がったことを許せなかった秋水は、
事あるごとに、仲間を守る為、理不尽を振りかざす強者や、自分よりも年上で大きな者にも臆せず
楯突き、気に入らなければ食って掛かっていった。



朝日もそんな男気のある秋水を見て、憧れと誇らしさを胸に抱き、彼と共に常に行動を共にしていた。



一見、粗暴に見られる秋水だったが、
周りからの人望は、とにかく厚く、
年の近い者の中では、1目置かれるガキ大将
というか、ヒーローの様な存在となっていた為、
彼に憧れ道場の門弟になるという理由で訪ねてきた者は屡々いた。



また親子揃って強くを挫き弱気を助けるというようなスタンスだったので、    それに賛同した気骨のある面々が道場には多く集まった。




秋水も大善も集ってくれた彼らの面倒を
よく見ていた。



【 錬命新當流 】が神田明神の演武を
請け負う事になってから、守護も兼ね
神田を中心にした近隣周辺の治安の維持にも
代々門弟たちは努めた。


揉め事があれば仲裁に入り、繁華街や夜間の見廻りなど地域の自警団のような役割も担い九曜紋の法被を着た集団は、地域の住民から尊敬と
信頼を集めた。




特に、彼らの最大の見せ場である演武が行われる
神田明神の催事や、それ以外の催しでも、
屈強な門弟が修練で使用する木刀を片手に
総出で警備に当たるので、

火事と喧嘩は江戸の花と言われる下町の
この神田の祭事でも全くと言っていい程、
喧嘩沙汰は起こらず、平和で玄人も素人も
静かなものだった


秋水も朝日も日々修練に励みお互いを高めあい、
苦楽を共にする日々であったが

中2のある日、秋水の母の真紀が亡くなると、
彼は塞ぎこみがちになり

徐々にそのような集まり事には参加せず、
周りとも距離を置き、元気がなくなっていった。




特に稽古外の活動は、大人子供関係なく
奉仕活動であり参加は任意であったので、
朝日は、元気づける為に

以前と同様、彼を事あるごとに遊びや色々な事に
誘ったが、立石に水であった。

だが、秋水は道場にだけは欠かさず来ていた。

彼を慕う者の多くが、とても彼を心配していたが、何も力になってあげられず、周りは悔しい思いと
不甲斐なさを感じていた。


そんな日々が続いたある日、
修練終わりに大善に呼び出されると


大善
【 悪いんだが朝日、
  あいつが元に戻るまで頼んだな! 】

と言われた。


大善は多くは語りはしなかった。


今まで、彼の横で、道場やプライベートでも、
彼のサポートに徹していた自分だったが、
弱かった自分をここまでにして救ってくれた恩義、
憧れでありライバルであり兄弟のような存在の秋水が、


自分の事で今は手一杯、周りも見れない状況で、
語らずとも
彼に町を頼む、仲間を、門弟を、道場をと、
いつか戻るからとそう言われているのは
勝手に汲み取り感じてはいた。


朝日は、大善に頼まれた事もあり、
彼が帰るまで自分が今やらなければならない事を
やらなければこのままではいけないと
理解した。


それからの朝日は、自分が陣頭に立ち
彼がいつでも戻って来てもいいように
周りをまとめ上げ、秋水の為に
自分が今やるべき役割を演じ続けた。



いつしか、秋水が、大学に入学した数年後、
見知らぬフランスの女性が、道場にたまに
顔を出すようになった。



誰とも話そうとしなかった秋水が、
不器用そうに彼女と話す姿を見て
驚いた。


大善に聞くとホームステイというので
受け入れているという。
真紀に似てるだろ?と言われたが、
初め、あの優しそうな真紀さんとは
まったく違う印象だったが


だが、秋水の演武を心配そうに見つめ、
大トリを務めた秋水に駆け寄り
見せた弾けるような優しそうな笑顔は
真紀さんそのものだった

そして、あの大トリの舞台を見た時、  周りの誰もが
ついに秋水が戻って来た!!と確信した。


演武の舞台が終わり、観客の前に降り、
拍手喝采で
もみくちゃにされていた

彼に駆け寄り

【 おかえり!!秋水 】

 というと

秋水も

【 ただいま!!朝日 】



と恥ずかしそうに微笑みながら言った。



幼馴染というものは、不思議なもので、
数年間話す機会もなかったというのに
少し言葉を交わすだけで昔の自分たちの関係に
戻れた気がした。

以降、
秋水も今までの時間を埋めるように、
周囲や朝日と関係の修復に勤しんだ。


秋水が戻るまで道場をメインで引っ張ってきた
朝日ではあったが



あくまでも、【 錬命新當流 】は
塩沢一族が引き継ぐ
ものであると理解していた
ので、その後も、離れていた秋水が道場でも
パワーバランスを戻せるように尽力した。


彼の大学卒業、カミーユとの結婚や就職、
シェイルの出産、幸村重工への就職、
そして大善が亡くなった日も彼の友人として
共に悲しみ、喜び傍らで
その後も支え続けた。




だが、そんないつまでも続くと思っていた
幸せな日常も、

突然の空襲により自分達の町を
日常を真っ黒い世界に変えてしまった。


道場は跡形もなく吹き飛び、
その周辺の住宅も自宅も吹き飛び、
朝日も命からがら逃げる事しか出来なかった。



秋水も、
朝日は、結婚後の現在も、
両親と道場の近くに住んでいたので
その、朝日の自宅が跡形もなく、
なくなっていたので、
彼と周りの命も奪われたのだと思っていた。


そう思っていた失ったと思っていた友が、
彼の目の前に突然現れた。



秋水
【あ、、、、朝日、、、、、、】

秋水と朝日は駆け寄り、手を取り泣いた。


落ち着いた2人は、お互い煙草に火を付け
かろうじて原型が残る平将門公の塚の前で、

互いの現在の状況や神田の治安、時恵の事、救聖軍の知人の事など、
今までの様々な事を話し始めた。


朝日

【 この町は、、、、 
  俺たちの世界は変わってしまった。



秋水
【 ああ、、、、
  全部おかしくなってしまった、、、、。】



朝日
【 治安もかなり悪くなっているな、、、、。
  
  家族と避難している際中
  火事場泥棒をしている集団を見かけたが
  外国人の集団だった。
  
  リーダーらしき奴は銃も持っていた。
  俺も家族を守らなきゃならんので先を急いだが
  奴ら何処からあんな武器を、、、、、、、。

  法律も何も
  あったものじゃない、、。
    】


秋水
【 そうだな、、、、、。

  空襲が始まり、警報や避難のサイレンの音は
  聞こえるが警察はいったい、どこへ
  行ったんだ!?
 
  政府は一体何をしているんだ!?
  市民がこんな状況
  だというのに、、、、、、、。 】


朝日
【 、、、、、、、、。
  
  東京以外の都市も壊滅的な状況
らしい、
  大阪に越した門弟の広瀬を憶えているか?

  一時期連絡はあったのだが通信状況が
  悪くなってきている
  今はまったく連絡が取れなくなってしまった。

  通信基地局も爆撃されているらしいし
  ジャミングを掛けられているのかもしれん。  


  西と東や現在の日本の状況は日を追うごとに
  解らなくなりつつある
、、、、。
  
 
  どちらにしても、連絡が取れた時も
  治安がとても悪くなってきている
  とは言っていたので心配だ。
  犯罪が多すぎて警官も足りなく
  
自衛隊も防衛に人手を取られ
  ているとも言っていたな、、、、、。 】



秋水
【 そうか、、、、
  広瀬も無事だといいが、、、、。

 救世軍の知り合いに聞いた話では
 政府が以前行った難民受け入れによって
 一部の外国人が多く集まった地域では
 独立国家宣言を主張し
 近隣の日本人の虐殺
 起こっているらしい、、、、、、。

 特に移民や難民が多い地域の
 東京、埼玉、大阪は
 悲惨な状況
 だという、、、、、。        】



朝日
【 俺らの国は
  これからどうなってしまうんだ
、、、、、、。
 
  日本人も戦争を仕掛けている国出身の、
  何もしていな外国人に対して
  虐殺が始まっていたりするらしい。

  日本人同士でも物流が機能しなくなりつつ
  あるので、食料が少なくなってきて   
  いて強奪や年寄りに対しての
  口減らし
の様な物が起き、
  新宿の炊出しの前では、関所が設けられ
  年齢制限で入れない、
  老人の死体が山積みになっているという。

  港区でも金目の物を持つ者の位置情報を
  共有
投稿して
  人間が大量に集まり金品目当てに襲撃する
  エアドロハンター
  というのがSNSで流行ったりする
  始末らしい、、、、。

  まるで悪夢の様だ、、、、、、。

  多分これから先、政府が何もしなければ、
  待つのは地獄だぞ
、、、、、、、。  】




秋水 
【  ああ、、、、、、、、、。
 
   もう、機能せず賄賂まみれの警察や
   政府はあてにならない
   という事か
、、、、、、、、。】




朝日 
【  そうだな、、、、、、、、残念だが
   自分たちで生きるためには
   自分たちでどうにかしなければ、
   大切なものは何一つ
   守れやしない
な、、、、、、。   
   



秋水
  、、、、、、、、、、、、。

   そういえば、他の奴らはどうしてる?
   連絡は取れているのか?   】




朝日
【 
個人的には敷島と白根連絡が取れている。
  その他の奴らも大半は無事を
  確認できている状況だ。

  皇居近くの炊き出しが行われている地域に
  分散して避難している。 】

秋水
【 そうか!皆、無事で良かった。

  お前もそうだが、道場が吹き飛び、
  携帯も無くしてしまったので
  他の皆も死んでしまったのではと
  思っていたが本当に良かった!!

  皆に会いたい!!連絡は取れるのか? 】


朝日
 【 ああ、
取れるよ!!

  当たり前だろ、俺らはお前がボーっ一人で
  修練している間
  皆と連携して道場とこの町を代わりに
  守って来たんだ
  そんなに皆、直ぐにくたばりはしないさ

  
  それに、皆、お前が生きているのを信じて、
  今か今かと
  声が掛かるのを待っているさ。 
  秋水が何とかしてくれると、、、、、、。  


  だが、皆、家族を連れて避難
  しているからな!!
  お前に会いに来たいとは思うが
  家族を置いていけない
  というのが心配の種だ、、、。】



秋水【 それなら、多分大丈夫だと思う
    皆に家族を連れて
    北の丸公園に来るように
    
言ってくれないか?
 

    さっき言った救聖軍の宿舎で
    カミーユとシェイルも面倒を
    見て貰っているので、
    他の者の家族も面倒を見て貰えるか
    交渉をしてみる。

 
    この治安の中、訳のわからん所に
    いるよりは
    皆で一緒にいた方が数倍安全だ !! 】


朝日
  【 わかった!!
    俺もそれの方が安心だ!!!助かるよ。
    直ぐに皆に伝えるよ。

    うちのも、
    俺がココに取りに来るものがあった
    
ので無理をして寄っただけで
    今、近くの炊き出しの場所に
    置いてきてて心配だったんだ。
    皆といてくれる方が安心だ。
    
    だが、秋水
    皆を集めてどうするつもりだ?  】



秋水
 
【 なあ、朝日、、、、、。
   皆、法被は持ってるかな、、、、、?】


朝日
 
【 そうだな、多分、皆持っていると思う。】



秋水
 
【 そうか、、、、、、、。
   なら【 錬命新當流 】として
   やることは一つ
だな
   
   まずは集まり!
   周りの皆を守り救う!!  

朝日
【  そうだな、、、、、、、、、、、。
   俺も実はそう考えていた、、、、、。

   国も警官も何もしてくれないなら
   自分たちでやるまで
だな! 
   秋水が戻らなければ
   俺もやろうとしていた!!
   
   だが、もし、お前が生きていたら
   多分これが必要なんじゃないかと思ってな
   俺はここにそれを取りに来たんだ!!】



そういうと、朝日は、焼け焦げた本殿の方に
歩いていった、、、。


秋水は不思議に思ったが、
朝日の後を追いかけた、、、、。



朝日が、本殿の瓦礫の山の中を進みながらも、
ある所に来たとこで
秋水にここだと下を指さし、
来い!と手招きをして呼び寄せた。

朝日
【 ここだ! さあこれを一緒に!!】



と言うと、
朝日は焼け焦げた本殿の中に
不自然に積み上げられたような
廃材
を他の場所へと移しだした。


秋水も慌てて手伝っていくと、、、。




地面に鉄製のドアのようなものが現れた、、、、、、、。




東京装甲少女 EPISODE0  第22話へ続く、、、、、


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現在こちらの物語の初めのストーリーから現在のストーリーまで
【無料公開】中ですので、是非初めからお読み頂ければ幸いです。
今後は有料化を予定しておりますのでよろしくお願いいたします。



ここから、初めのストーリーを読む



※お知らせとお願い🙇

現在こちらで小説を展開している東京装甲少女という作品ですが、
こちらにはお話の基になるデジタルアートNFT作品があります。

そしてその作品が2024年4月にNYCで大規模開催される
https://www.nft.nyc/という展覧会で選出されました🎊

つきましては併せて現在、東京装甲少女デザインのチケットがこちらの展覧会のチケットデザインに選出される投票を下記より行っております
お手数ではございますが、メールアドレスの実の入力で簡単に出来ますので是非、ご投票よろしくお願いいたします🙇

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