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妄想 短編小説 ショートショート

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頭の中で妄想した少しだけぶっ飛んだ事を描いております。
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#コラム

短編小説ショートショート 『ミステリーショッパー』

短編小説ショートショート 『ミステリーショッパー』

はじめに

 私の名前はヒロミ。今年からホテルの宿泊部としてフロントに立ち、お客様との接客に毎日勤しんでいる。

このホテルの評価は、某インターネットサイトでは☆4.2だ。近隣のホテルに比べるとやや高い方だけど、支配人は今年中にさらなる評価のアップを目論んでいる。

ある日、朝礼での事だ

「おはようございます。9月に入り、今月は先月やった研修会での成果を発揮してもらいたく、ミステリーショッパーを

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短編小説ショートショート 『溌剌颯爽(はつらつさっそう)』

短編小説ショートショート 『溌剌颯爽(はつらつさっそう)』

シンバルの照り返しに睨みを利かせながら、その瞬間(とき)を待っていた。

緊張感とワクワク感が交互に押寄せてよくわからない感情のまま、ステックを握り絞める。

いよいよだ。

後攻である大崎高校の攻撃が始まった。

「海〜よ〜♪!!」

一塁側では野球部員のひとりが、メガホンを口元に充て溌剌と歌い出した。

その陽に焼けた野球部員の肌は、パール色のドラムセット越しに良く映える。

時折、高音のパー

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★フォロワー400人到達記念作品★ 400文字ショートショート『午前0時の桃源郷』

★フォロワー400人到達記念作品★ 400文字ショートショート『午前0時の桃源郷』

世の中が反時計まわりに動き出し、陽気に踊りだした。

千鳥足でふらつく俺は石畳みの坂道を下ってゆく。

そして本日も扉を開くと、たちまち広がる別世界。

店内を見渡せばレトロなソファーや無駄のないカウンターにかけてのレイアウト。

一次会からのガヤガヤしていた高揚感を、一度ニュートラルにしてくてるこの店内の静けさ。

ソファーに座るなり、そっと出される小粋なもてなし。夏は冷奴、冬は熱々のおでん。こ

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妄想 短編小説 『面白いオジさんの選び方』

妄想 短編小説 『面白いオジさんの選び方』

(カツンッ、カツンッ、カツンッ・・・)

俺は天を仰いだ。

昇天させるべく挑んだこの闘いにて、今日もあっけなく昇天させられたからだ。

右手でハンドルを回したまま、無情にも空打ち音だけが鳴り響く。

給料が入ったその脚で、パチンコ店に向かい今月も見事に財布の中をスッカラカンにしてしまった。

俺は半月分の給料を、貰ってそのまま口座に入れず全て使い果たすという、見事なアリウープを決めパチンコ店を後

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妄想 短編小説 『集中線』

妄想 短編小説 『集中線』

世の中には、幾つもの情報が溢れている。

その幾つもある情報を個人がアンテナを張り巡らせて、必要な情報のみを取り入れる。

パラボナアンテナの様なでっかい利き耳を立て、何でも情報を取り入れる人。

はたまた、か細いラジオアンテナを立て必要最小限の情報のみを取り入れる人。

勿論、アンテナを張張らずとも生活をしていれば自ずと情報は入ってくる。

・・・しかし、それは取るに足りない情報だったりもする。

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妄想 短編小説 『便利な世の中』

時は西暦2085年

個人がテレポートを自由自在に行えるようになって間もない。

観光業は、右肩上がりの好景気だがそれと同時に「乗り物に乗って移動する」という概念が無くなった。
飛行機、新幹線、バスやタクシーなどあらゆる乗り物が見かけなくなった。

メリットの分だけデメリットも発生する。

まぁ、世の中そんなもんだ。

サトシは平凡なサラリーマンで、今日は休日である。

実家暮らしの二階の部屋では

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妄想 短編小説 『降り続ける雨』

妄想 短編小説 『降り続ける雨』

 仕舞われないままのシオれた鯉のぼりが滑稽である。これじゃあ、まるで煮干しじゃないか。

傘をさしながら晴男(ハルオ)は近所の戸建ての雨に打たれる鯉のぼりを見上げた。

雨の日だろうと散歩は欠かせない。

次に河川敷を沿うよにいつもの散歩コースを歩いた。

「だんだん水位が上がってきたなぁ」

前方にまたがる橋の、危険水位の目印より少し下を濁った水が流れる。

 近所を一周した晴男は、傘を畳みバタ

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妄想 短編小説 『運命の突起物』

妄想 短編小説 『運命の突起物』

いま俺は生死の狭間にいる。

時間にして僅か1秒、しかし体感では5秒程度。毛穴の一つ一つさえも鮮明に見えて、コマ送りのように再生される。

これが走馬灯というやつなのか?

状況を俯瞰し、慌てつつも冷静。しかし確実にその二者択一を迫られている・・・!

(遡ること、1時間前)

「おい、ここのペグしっかり打てよ〜」

「そっちしっかり持ってて」

「せーの」

「後はその穴にロープ通してしっかり張

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妄想 超短編小説『海外で流行りの〇〇』

妄想 超短編小説『海外で流行りの〇〇』

 週末の夜子供も寝静まり、しばし憩いの時間。冷蔵庫から缶ビールを取り出しソファーに座る。「プッシュ」と同時にビールを流し込みテレビをつけた。

リポーター「本日は今、海外で流行りのあれこれを特集いたします!早速、流行のまち渋谷でお話しを伺いましょう」

(リポーターが若い女性3人組に近付く)

リポーター「こんにちは~。今日は何しに渋谷へ?」

女性「今日は友達と今海外で流行っている『泥付き生野菜

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妄想 超短編小説『マックス狩り』

妄想 超短編小説『マックス狩り』

8月25日 晴れ

 きょうは、ぼくとお父さんとお母さん三人でマックス狩りに出かけしました。お店につくと、お店の人がビニールハウスに案内してくれました。
お母さんがお金を払ってくれると、お店の人が「それでは1時間の狩り放題です」とはさみを渡してくれました。ぼくは、お父さんの後ろについて行き、中に入ると木にはたくさんのスニーカーがなっていました。
お父さんは「なつかしいなぁ、お父さんがお前くらいの頃

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