妄想 超短編小説『海外で流行りの〇〇』

　週末の夜子供も寝静まり、しばし憩いの時間。冷蔵庫から缶ビールを取り出しソファーに座る。「プッシュ」と同時にビールを流し込みテレビをつけた。

リポーター「本日は今、海外で流行りのあれこれを特集いたします！早速、流行のまち渋谷でお話しを伺いましょう」

(リポーターが若い女性3人組に近付く)

リポーター「こんにちは～。今日は何しに渋谷へ?」

女性「今日は友達と今海外で流行っている『泥付き生野菜の生肉巻き』を食べに渋谷に来ましたぁ」

リポーター「今海外で流行っていますもんねぇ、海外セレブも大絶賛!お味の方はどうでしたか?」

女性「泥臭さが逆に良く、少しジャリジャリもしたけど素材本来の味が楽しめましたぁ」

リポーター「ありがとうございました。それと今、一番海外で流行っているアレはご存じでしょうか？」

女性「当たり前じゃないですか。勿論ですよ～」

(女性3人組は右脇を上げる)

リポーター「素晴らしい!綺麗な色に染まっていますね」

女性「海外で流行ってますもんね『右脇染め』脇毛伸ばすのに一週間掛かっちゃいましたぁ（笑）私達仲良しなので信号機カラーで〜す」

リポーター「なるほど、因みに左脇の方は・・・」

女性「え?何言っているんですか?は?えっ？」

3人組「恥ずかしい。行こ行こ」

リポーター「・・・以上、現場からでした」

(流行とは?)