マガジンのカバー画像

深読みライフ・オブ・パイ&読みたいことを、書けばいい。

415
運営しているクリエイター

#文学

「見張り塔からずっと 後篇」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

「見張り塔からずっと 後篇」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

前回はコチラ

2019年9月19日 夜
スナックふかよみ

さて、あたしの話は置いといて…

『ALL ALONG THE WATCHTOWER』を先に進めましょうか…

次はこの部分ですね。「ジョーカーの嘆き」の続きです。

"There's too much confusion, I can't get no relief
Businessmen, they drink my wine, p

もっとみる
「見張り塔からずっと 完結篇」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

「見張り塔からずっと 完結篇」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

前回はコチラ

2019年9月19日 夜
スナックふかよみ

あの、文代さん…

なあに?

さっきの「ジョーカー(神)の嘆き」なんですけど…

あれってパイのお父さんの嘆きに似てますよね?

社会の変化に絶望して「もうここから出て行く」って言い出すところが…

そうね。まったく同じ嘆きよね。

「神」は「父・主」でもある。パイのお父さんもそう。

なるほど。

そして『ALL ALONG THE

もっとみる
「ドストエフスキー 地下室の手記① 地下室ってどこ?」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

「ドストエフスキー 地下室の手記① 地下室ってどこ?」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

前回はコチラ

2019年9月19日 夜
スナックふかよみ

え? ドストエフスキーの真似?

そう。

ドストエフスキーが『地下室の手記』で行ったことの真似。

ドストエフスキーは、架空の「そっくりさん」を使って『地下室の手記』という「一風変わった物語」を書いたのよ。

どういうこと?

ドストエフスキーはね、自分そっくりな性格をした架空の人物を仕立て上げ、自分を「その人物が書いた手記の読者」と

もっとみる
「ドストエフスキー 地下室の手記② 私以外私じゃないの」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

「ドストエフスキー 地下室の手記② 私以外私じゃないの」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

前回はコチラ

2019年9月19日 夜
スナックふかよみ

そう…

「underground」や「地下室」と誤訳された「подполья」とは…

神の世界、つまり「天国」のことなの。

神の世界、天国…

たしかに人間の住む世界を「部屋」に例えると、天国とは「部屋の住人からは見えない、隠されたスペース」ですが…

じゃあ「подполья」に籠っている「世捨て人」って誰?

ドストエフスキー

もっとみる
余談:『BIG HERO 6』と文豪ディケンズの『大いなる遺産』~『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

余談:『BIG HERO 6』と文豪ディケンズの『大いなる遺産』~『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

にわかには信じ難いけど…

ねえ、岡江クン…

詳しく話して頂戴、小説『ライフ・オブ・パイ』第三部のこと…

もちろん。

作り話でひたすらボケまくるパイと、そのボケに対して、さらにボケを被せるチバ…

この文学史上に残るボケ合戦は、きちんと解説しておかなければならない。

そして《227》の秘密もね…

ゴクリ…

なんだかすごい話にな

もっとみる
「真説・バナナは水に浮くか?」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

「真説・バナナは水に浮くか?」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

パイはまず《トラなどの動物が出てくるほうの物語》を語った。

猛獣のトラと一緒に漂流し、肉食の木が出てくる話だ。

しばらくの沈黙の後、オカモトとチバがファースト・インプレッションでの感想を述べる。

上司であるオカモトは引きつりながら…

そして新人のチバは目をキラキラさせて…

そんなチバに対しオカモトは日本語でツッコミを入れた。

もっとみる
「ボンサイ・マスター(あなたのことしか考えられない)」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

「ボンサイ・マスター(あなたのことしか考えられない)」『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

なんでパイのセリフを訳さないの?

「1トン近くあった」でしょ?

そうじゃないんだよね…

え?

実験によってバナナが水に浮くことが分かったので、オカモトの頭には次なる疑問がわいてきた…

オランウータンが乗っていたという、バナナの塊のサイズだ…

それが「オランウータンが乗っていたとなると、相当なバナナになる」という発言…

そしてパ

もっとみる
日田とTIGER『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第91話

日田とTIGER『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第91話

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

ボンサイ・マスター?

そう。Bonsai Master。

何ですか、この展開?

ちなみに日田郡って今の日田市のことよね?

大分県の。

その通り。

今はもう日田郡は消滅してしまったけど、このインタビューが行われている1978年当時は、まだ郡部がいくつも残っていた。

サッカーW杯2002で有名になった中津江村も日田郡だ。

日田は

もっとみる
227『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第96話

227『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第96話

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

2つの物語が鍵? 「227」の読み方のトリック?

なんのことでしょう?

わけわかめ。

うふふ。

ヒントは…

「Route 66」…

ルート66?

これはハイウェイ66号線の歌でしょ?

227と何の関係があるの?

ルート66の「66」は…

「39+27」という意味でもあるのよね…

39足す27?

39とは旧約聖書の39

もっとみる
余談:ルート66(シカゴからLA)『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第97話

余談:ルート66(シカゴからLA)『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第97話

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

それじゃあ…

39+27の『ルート66』も、そういう歌ってことなの?

そうとも言えるし、そうではないとも言える…

どっちなのですか、教官?

少し詳しく話す必要があるね、「ルート66」に関しては…

音楽のみならず、文学や映画などアメリカ文化全般にかかわる重要なことだから…

ただ、だいぶ「余談」になってしまうけれど…

いいんじゃな

もっとみる
余談:怒りの葡萄 前篇『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第98話

余談:怒りの葡萄 前篇『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第98話

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』や、カズオ・イシグロの『日の名残り』と一緒だよ。

そしてヤン・マーテルの『ライフ・オブ・パイ』もね。

これらの原形が、スタインベックの『The Grapes of Wrath(怒りの葡萄)』だと言える。

どんだけ?

ここまで来たら余談ついでに話しなさいよ! 気になるから!

いいでしょう。

もっとみる
余談:怒りの葡萄 中篇『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第99話

余談:怒りの葡萄 中篇『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第99話

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

なるほどね…

で、さっき言ってた「ヨハンおじいちゃん」の生涯って、どういうものなの?

なんでスタインベックのおじいちゃんは、ドイツからオスマントルコ領だったパレスチナに移民したの?

そして、なんで8年後に突然アメリカへ再移民したの?

それでは語ろうか…

ジョン・スタインベックの作品を理解する上で欠かせない、祖父「ヨハン・スタインベ

もっとみる
余談:怒りの葡萄 後篇『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第100話

余談:怒りの葡萄 後篇『深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)& 読みたいことを、書けばいい。』第100話

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

それじゃあ、素晴らし過ぎる冒頭シーンを解説して、『怒りの葡萄』の話は終わりにするとしようか…

残念。もうちょっと聞きたかったけど。

岡江クンにそんなこと冗談でも言っちゃダメ。

『怒りの葡萄』全セリフ解説なんて始まったら、朝どころか昼までコースよ…

うふふ。それは勘弁して頂戴(笑)

わかってます。もう夜も遅いですからね。

サクッと

もっとみる
第110話「深読み MY LITTLE TOWN(サイモン&ガーファンクル)前篇」

第110話「深読み MY LITTLE TOWN(サイモン&ガーファンクル)前篇」

前回はコチラ

2019年9月19日
スナックふかよみ

この歌は、二人の故郷ニューヨーク市クイーンズ地区を歌ったものではない…

歌詞を書いたポール・サイモンは、典型的な「信頼できない語り手」だ…

マ、マジで? どういうことなの?

『ライフ・オブ・パイ』の主人公パイが嘘つきなのは…

モデルがポール・サイモンだから…

まさに、この歌のように…

く、詳しく教えてよ、岡江クン!

いいだろう

もっとみる