名もなき雲たちは かえる海を見さだめている 波音はみなもとの産声 おもい潮風に促され 静かなフィナーレがはじまる 誰のためにも雨は降らない 星の光を夢見たしずく…
「駄目だ。お前にはまだ葛藤が足りない」 そう言ってKの祖父はKからペティナイフを取り上げた。魚の捌き方は知っていた。Kの祖父は慣れた手つきで真鯛を捌いた。…
昂ぶる気持ちとは裏腹に コンクリートのような雲がひろがる 予報も予想も暗いものばかり 誰もが終わりだと決めてかかってる 目を閉じて 肌を効かせろ ことばも数字…
カメムシにキスされたときにうたう詩 どういふつもりでせうか 森と草花からの警告でせうか 清き紅き膨らみを 緑のものに奪われて 魔除けの香は辺りを漂ひ 人の集ひ…
「あの子、自分に気があるんじゃね?」と思い、トキメキながら過ごしていたら、ふつうに前から彼氏がいたことを知ったときにうたう詩 たそがれの彼方に淡い人影 この痛み…
遅刻したときにうたう詩 ↓ まぼろしを打ち砕く手の平の刻限 頭の中で秒針が刻む 嘘と良心 責任と自由 発信音に振り子は揺れる 正直の皮を被った頭を垂れて 開き直…
めちゃくちゃ走ったけど結局電車に乗れなくて息を弾ませながらホームで佇んでいるときにうたう詩 ↓↓↓ 笑われるくらいがちょうどいい 笑わせることなんてできないから …
もう何年生きているのだろう 夢と現世を行き来して 責任 約束 関係 予定 騙されたフリをするのも飽きてきた 虚構の虚構を飲み食いし 何かがすり減る音で目覚める毎…
天の川をかき消すネオンとLED 正方形のあれは空なのか 時間だけが主役の世界 つないだ手も偽りを予感させる ささやきのような明かりに見上げたら つぶらな白い一点を…
一畝(せ)離れたアスファルトに 黒猫の姿が浮いている 教わるように離れて寝ると 夜の冷たさが心地良い 裸足から伝わる土地の声 かすかな風が膝をくすぐる たっぷりと…
泣き崩れているひとがいる やすらぐ女が腎臓にいた苦しみあえいでいるひとがいる にやける餓鬼が腸にいた怒り狂うひとがいる はねまわるイタチが肝臓にいた痛みに叫ぶひと…
騒がしい場所には沈黙が似合う 嵐の夜にしか静寂は来ない 考えるな 踊れ 機械のように 街のひみつは害虫だけが知っている うず高いビル群に幾何学的な花束を プラ…
整形づらでテキをあざむく 守るための笑顔しか知らない 使い古された室外機に半生をみる 本当のことなんて誰も知れない 夜は星の影にすぎない 落雷に理由なんていらな…
にゃー
2023年2月19日 06:15
名もなき雲たちはかえる海を見さだめている波音はみなもとの産声おもい潮風に促され静かなフィナーレがはじまる誰のためにも雨は降らない星の光を夢見たしずく水底を目指して群れ踊る間違いつづけるサルたちにけがされることなく追記久しぶりに海を見に行きました。いつだったか、気象学の動画を見た時、あの雲はなんとか雲、その雲はなんとか雲、と名前をつけて解説をしていまし
2022年9月20日 18:40
「駄目だ。お前にはまだ葛藤が足りない」 そう言ってKの祖父はKからペティナイフを取り上げた。魚の捌き方は知っていた。Kの祖父は慣れた手つきで真鯛を捌いた。Kは祖父と共に黙ってそれを船の上で食べた。 翌日、祖父はKの母親に連絡した。再婚した新しい父親が車で迎えに来た。Kは実家に連れ戻された。 二年後、Kは隣県の叔父の家に居候した。Kが頻繁に高校を休んでも叔父は何も言わなかった
2022年9月13日 11:34
昂ぶる気持ちとは裏腹にコンクリートのような雲がひろがる予報も予想も暗いものばかり誰もが終わりだと決めてかかってる目を閉じて 肌を効かせろことばも数字も置き去りにして雲のはるか向こうへダイブする待ち構えていたような青空と太陽雲海は励ますように波立っている導く小さな一等星は君だけにしか見えないだろうライバルなんてどこにもいない宿敵は己の影 それも受け
2022年9月5日 10:11
カメムシにキスされたときにうたう詩どういふつもりでせうか森と草花からの警告でせうか清き紅き膨らみを 緑のものに奪われて魔除けの香は辺りを漂ひ人の集ひし処にはしばらく足が向きませぬ犯人は草葉に身を隠し密かに嗤ってゐるのでせう諦めの眼差しで見た空には使者然とした雲ひとつ風止み 音失せ はたと気が付く赤い糸が綻び消えた雲は静かに頷いてゐる追記
2022年9月2日 06:47
「あの子、自分に気があるんじゃね?」と思い、トキメキながら過ごしていたら、ふつうに前から彼氏がいたことを知ったときにうたう詩たそがれの彼方に淡い人影この痛みはよく知っている針を飲み込むような現実に自分の影だけが涙を流す崩れ落ちるサグラダ・ファミリア試合の前から勝負は決した斃(たお)れる資格すら許されていない磨いた剣は 己の身のみを傷つける夢の中の 土埃の向こ
2022年8月30日 09:56
遅刻したときにうたう詩↓まぼろしを打ち砕く手の平の刻限頭の中で秒針が刻む嘘と良心 責任と自由発信音に振り子は揺れる正直の皮を被った頭を垂れて開き直れる余裕が憎い珈琲と煙を嗜んで処世のむなしさにフタをするいつもは見ない昼空に嘆きと和みを同時に見る駅までの歩みを遅らせたのは雲の助言のせいにしておこう追記社会人になっても年に2回は必ず寝坊遅刻し
2022年8月25日 02:24
めちゃくちゃ走ったけど結局電車に乗れなくて息を弾ませながらホームで佇んでいるときにうたう詩↓↓↓笑われるくらいがちょうどいい笑わせることなんてできないから刻め この顔 この背中弾む鼓動と見つめる視線過ぎゆく人々に幸運の微笑みを哀れな話にはしてくれるな汗ばむからだを横たえて列車の振動に共鳴するその錆びたレールが導く先に豊かな人生は待っているのか制服姿
2022年8月18日 09:27
もう何年生きているのだろう夢と現世を行き来して責任 約束 関係 予定騙されたフリをするのも飽きてきた虚構の虚構を飲み食いし何かがすり減る音で目覚める毎日枕を抱いて旅に出ようか低い天井はしかし見破る「そんな勇気もないくせに」見えない鎖で引かれた頭に働く理由を溶かし込む追記すごくすごく仕事に行きたくない朝に、こんな暗い詩を書いちゃいました。どう
2022年8月14日 15:37
天の川をかき消すネオンとLED正方形のあれは空なのか時間だけが主役の世界つないだ手も偽りを予感させるささやきのような明かりに見上げたらつぶらな白い一点を認める井戸の底まであまねく照らせ星空を知らない子どもたちは月の報せで遊びはじめるどこかに隠れている仲間たちに月の模様の暗号であいさつを交わす想像と祈りは時空を越えて私のなかをたしかに照らす追記
2022年8月13日 00:18
一畝(せ)離れたアスファルトに黒猫の姿が浮いている教わるように離れて寝ると夜の冷たさが心地良い裸足から伝わる土地の声かすかな風が膝をくすぐるたっぷりとした満月を西に仰ぎ月光の温度を確かめる勝ち取ったなわばりの中で先生は影のようにして同じ月を見ている講義の終わりを知らせる車やり過ごして振り返ると先生はいなくなっていた追記夜によく出歩くことが多い
2022年7月16日 09:33
泣き崩れているひとがいるやすらぐ女が腎臓にいた苦しみあえいでいるひとがいるにやける餓鬼が腸にいた怒り狂うひとがいるはねまわるイタチが肝臓にいた痛みに叫ぶひとがいるおどるピエロが心臓にいた笑い喜ぶひとがいる真っ赤な牛が肺にいた血と骨と黄昏に、祝福を追記できる限り『善良な人間』であろうとするけど、腹の底を探ってみると醜悪な感情を見つけてしまう。そんな自分を思って書きました。清濁合
2022年7月16日 09:31
騒がしい場所には沈黙が似合う嵐の夜にしか静寂は来ない考えるな 踊れ 機械のように街のひみつは害虫だけが知っているうず高いビル群に幾何学的な花束をプラスチックの彼女に記号的なキスを正方形の夜空に隠れる烏を見た月だけが憐れんで見おろしている追記昔、都会に住んでいた時のことを思い出しながら書きました。あの頃は若くて病んでたなーw毎日、無数の人々が無言で無表情で
2022年7月16日 09:21
整形づらでテキをあざむく守るための笑顔しか知らない使い古された室外機に半生をみる本当のことなんて誰も知れない夜は星の影にすぎない落雷に理由なんていらない同じ口で肉を食い音を吐く便利な嘘で針はまわる追記職場の裏で煙をふかしていたとき、くたびれた室外機を見て「なんか自分もこんな感じなのかなー」と思ってツラツラ言葉を連想していきました。暗い!wメンタルがくたびれていた