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詩作08 『雨のまえの海』

名もなき雲たちは

かえる海を見さだめている

波音はみなもとの産声

おもい潮風に促され

静かなフィナーレがはじまる

誰のためにも雨は降らない

星の光を夢見たしずく

水底を目指して群れ踊る

間違いつづけるサルたちに

けがされることなく





追記

久しぶりに海を見に行きました。

いつだったか、気象学の動画を見た時、あの雲はなんとか雲、その雲はなんとか雲、と名前をつけて解説をしていました。『そら』を言葉で切り取って認識して体感して分析して理解する。対策をとる。制御する。人間がより便利に、快適に過ごせるようにするために。
ひょっとしたら雲や空だけじゃなくて、一事が万事そんな調子なのかも。

『花を美しいものだとおもうのは人間だけだ』ということばを聞いたことがあります。その真偽や捉え方はどうあれ、自然は変わることなく変わり続ける。

ことばは好きだけど、その危うさを忘れてはいけない。そう気づかされた海でした。

ことばを捨てることができたなら、自然の一部に溶け込めるのかしら?
詩は、だとしたら、自然と不自然をつなぐ架け橋になりえるのかしら?

こんなくだくだしいことを書いている時点で、わたしは詩人になれそうにないですね。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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