詩作04 『猫と月浴み』
一畝(せ)離れたアスファルトに
黒猫の姿が浮いている
教わるように離れて寝ると
夜の冷たさが心地良い
裸足から伝わる土地の声
かすかな風が膝をくすぐる
たっぷりとした満月を西に仰ぎ
月光の温度を確かめる
勝ち取ったなわばりの中で先生は
影のようにして同じ月を見ている
講義の終わりを知らせる車
やり過ごして振り返ると
先生はいなくなっていた
追記
夜によく出歩くことが多いのですが、夜に出会う猫には変に恐縮してしまいます。猫の集会にしても猫同士のケンカにしても、なんだかこちらがお邪魔な闖入者に感じてしまう。すんません横通らせていただきます、と心の中で唱えているのを、『何だてめえ』みたいな目で見つめてくる夜の猫。
ある時、道路の真ん中でのびのびとゴロンしてる猫を見つけました。人間どもに明け渡した昼間の自由を、夜のあいだに味わってやろうみたいに。ドヤ顔のその猫に羨ましさをおぼえました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?