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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2020年12月の記事一覧

ザ・キャシュマシーン(R.クラフォルツ他)

ザ・キャシュマシーン(R.クラフォルツ他)

三文字略語を活かすには 数年前ベストセラーになったゴールドラット氏の「ザ・ゴール」の営業プロセスへの応用編です。

 基本は、やはりTOC(Theory of Constraints(制約条件の理論))です。
 したがって、定番の「5つのステップ」が登場します。

STEP1 : 制約条件を見つける
STEP2 : 制約条件を徹底的に活用する
STEP3 : 非制約条件を制約条件に従属させる
ST

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経営学を学ぶ (岩田 規久男)

経営学を学ぶ (岩田 規久男)

アダム・スミス 先に読んだ「学問がわかる500冊(朝日新聞社)」の経済学の項で紹介されていたので読んでみました。

 タイトルに直接的に「経済学」と書いてある本は、はるか昔、大学時代の教養課程でお付き合いした「サムエルソン」以来だと思います。

 この本は、経済学の入門書として具体的な例示を駆使しともかく平易に書かれています。(少しでも経済学をかじったことのある人には全く物足りないと思いますが、)

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永遠平和のために (カント)

永遠平和のために (カント)

永遠平和実現への提言 イマヌエル・カント(Immanuel Kant 1724~1804)は、ここに言うまでもなくドイツ啓蒙期の代表的哲学者です。
 一般には、「純粋理性批判」「実践理性批判」「判断力批判」の一連の著作により完成された批判哲学で有名です。

 この本は、カントが1795年フランスとプロイセンの間にバーゼル条約が結ばれた直後に発表した小冊子(Zun Ewigen Friden)の日本

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イノベーションの本質 (野中 郁次郎)

イノベーションの本質 (野中 郁次郎)

絶対価値 競争優位という考え方は「相対価値」に拠ったものです。

(p45より引用) 人間はとかく相対価値の追求に走りがちです。生涯、夢を追い続けた本田宗一郎でさえそうでした。これに対し、現場のエンジニアたちは絶対価値を追求しようとし、それが世界に先んじた低公害エンジンの開発に結実しました。
 「競争に勝つ」という相対価値の追求は、勝った時点で消える可能性があります。これに対し、絶対価値の追求の根

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孫子 (金谷 治)

孫子 (金谷 治)

不戦の孫子 「孫子」は決して好戦の書ではありません。
 巻頭で、「戦争は国の大事であるのでよく熟慮しなくてはならない」と記しているのがその証左です。

(p20より引用) 孫子曰わく、兵とは国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。

 戦争にあたっても、敵兵や民を傷つけることはよしとしていません。戦わずして、敵国を傷つけずそのまま降伏させるのが上策としています。

(p35より引

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読書力 (齋藤 孝)

読書力 (齋藤 孝)

 「本を読むための本」です。
 非常に平易な文章で書かれています。内容は少々「読書礼賛」的ではありますが、著者の言いたいことは明確に伝わってきます。
 私は、齋藤氏とはほぼ同年代なので、ところどころに顔を出す氏の読書遍歴の記述を読むと共通体験として懐かしい感じもします。

 齋藤氏は、「本は読んでも読まなくても良いものではなく、読むべきものだ」と主張します。本を読むこと自体が「コミュニケーション力

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気づく力 (畑村 洋太郎 他)

気づく力 (畑村 洋太郎 他)

 畑村洋太郎氏・藤原和博氏・大前研一氏・カルロス・ゴーン氏・金児昭氏・妹尾堅一郎氏・齋藤孝氏・・・ 錚々たる方々が「気づく力」というテーマについて語った雑誌『プレジデント』掲載記事を再編集した本です。

 正直なところ、予告編であったりあらすじであったりというぐらいの内容のものが多くて。雑誌の特集記事であればちょうどいいぐらいの読み物なのでしょうが、1冊の本として見ると少々物足りない感じがしました

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アメリカ海兵隊 (野中 郁次郎)

アメリカ海兵隊 (野中 郁次郎)

情報⊂人 著者の野中郁次郎氏は、以前「失敗の本質」という共著において、第二次大戦の日本軍敗戦の原因を、戦略・組織面から研究し発表しました。
 そこでは、日本軍の6つの作戦をケースに失敗の要因を分析し問題点を浮かび上がらせています。

 本書でも、前書で指摘したのと同様の問題点がところどころに顔を出します。
 まずは、ガダルカナルで日本軍と戦った米国海兵隊中佐の言です。

(P64より引用) 「この

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学問がわかる500冊(朝日新聞社)

学問がわかる500冊(朝日新聞社)

(本投稿は、10年以上前に書いたBlogの再録なので、内容はかなり古めかしいものです。ただ、逆に、当時はこんな感覚だったという証左になるのでそのまま投稿します。)

 社会・人文科学系の10のジャンル(哲学・経済学・社会学・国際関係学・法律学・社会福祉学・宗教学・教育学・心理学・政治学)の中から50冊ずつお勧めの本を紹介しています。
 紹介されている本は、大学学部生の基礎レベルから専門の入り口程度

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ウェブ進化論(梅田 望夫)

ウェブ進化論(梅田 望夫)

はじめに 本投稿は、10年以上前に書いたBlogの再録なので、内容はかなり古めかしいものです。ただ、逆に、当時はこんな感覚だったという証左になるのでそのまま投稿します。

オープンソースの気づき ベストセラー系の本は、それが旬のときにはほとんど手に取らないのですが、この本は、会社のメンバからのお勧めで読んでみました。
 流行のテーマの表層を舐めただけの本かと思っていましたが、偏見でした。大変失礼し

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教わらなかった会計 ― 経営実践講座(金児 昭)

教わらなかった会計 ― 経営実践講座(金児 昭)

 著者の金児昭氏は「公認会計士試験委員」をされていたとのことですが、だからといってこの本で教科書的な「会計(簿記)」の知識を得ようをしても、それは無理な相談です。
 本のタイトルも「教わらなかった会計」とありますから、「教科書」には書かれていないことがこの本のメッセージです。

 そのメッセージは、著者の以下の言葉に凝縮されています。

(P44より引用) 会計の目的とは何でしょうか? これは私の

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わかったつもり 読解力がつかない本当の原因(西林 克彦)

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因(西林 克彦)

「わかる」の分水嶺 以前から「わかったつもり」の弊害について気になっていたのですが、似たような問題意識のタイトルの本があったので手にとってみました。
 内容は、「読解力」(文章に書かれていることの理解)にフォーカスしているので、私の関心と完全にスコープが一致しているわけではないのですが、かなり頭の整理にはなりました。

 本書の著者の西林氏は、まず、「わかった」という状態について、以下のように説明

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コリン・ローズの加速学習法実践テキスト(コリン・ローズ)

コリン・ローズの加速学習法実践テキスト(コリン・ローズ)

小さな組織=トップダウン=迅速?  この本の前書きに、以下のような「学習する組織」についてのコメントが書いてありました。

(p13より引用) 学習する組織では、人々はトレーニングを受けるまで待ってはいません。あなたは、自分の職務で(また個人の生活においても)成功を収めるためには何を学習すべきかを自分で決めて、率先してそれを学習する必要があります。「ボトムアップ式の学習」が、「トップダウン式のトレ

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忘れられた日本人 (宮本 常一)

忘れられた日本人 (宮本 常一)

稀有なフィールドワーカー 民俗学といえば柳田國男氏ぐらいしか頭に浮かびません。かといって柳田氏の著作は(恥ずかしながら)まだ読んだことすらありません。(←このBlog執筆時点では)

 「民俗」とは民間の習俗や民間伝承のことです。民俗学は、衣食住を含む生活知識・技術・社会慣習・信仰など世代から世代へと受け継がれた伝承文化を採集していきます。そして、そうした人々の日常生活の変遷の跡をたどることにより

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