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ミステリー小説紹介

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ミステリー小説を、なるべくストーリーそのものに触れずに、読後の楽しい気持ちで紹介したいと思います。
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読書紹介 ミステリー 編Part18 『人形はこたつで推理する』

読書紹介 ミステリー 編Part18 『人形はこたつで推理する』

 どうも、こぞるです。
 本日オススメする本は我孫子武丸先生の『人形はこたつで推理する』です。
 不勉強な私は、我孫子武丸先生といえば、サウンドノベルゲームの『かまいたちの夜』とか、『殺戮にいたる病』の印象たったので、こんなに可愛らしい表紙のつく作品を書かれているとは知りませんでした。

ー作品内容ー
 異色の人形探偵が難事件を次々解決。
 人形探偵が大活躍する青春ユーモアミステリー。
 風変わり

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独学の動機を思い出した

独学の動機を思い出した

『独学大全』を購入した。大学の生協で見つけて、中身をパラパラと読んだでたら、気が付くとレジに直行していた。

昨日から読み始めたが、最初の数ページを読むだけで感じる、筆者の深い思考と圧倒的な知識量。最後まで読むのが楽しみだ。

この本は独学に関する55の技法を紹介するという構成になっている。1つ目の技法は「学びの動機付けマップ」であり、独学を志したキッカケを思い出して、それをモチベーションの源泉に

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読書紹介 ミステリー 編Part16 『私の大好きな探偵 仁木兄妹の事件簿』

読書紹介 ミステリー 編Part16 『私の大好きな探偵 仁木兄妹の事件簿』

 どうも、こぞるです。
 今回は、仁木悦子先生の書かれた仁木兄妹シリーズの短編を、東京創元社の元編集であり、元社長でもある戸川安宣さんが編纂した、こちらの本をご紹介いたします。時系列順に仁木兄妹の物語が並んでいて読みやすく、また、雑誌掲載のみで単行本にそれまで未収録だったものも掲載という、ありがたさ満点の一冊です。

−作品内容−
 のっぽでマイペースな植物学者の兄・雄太郎と、ぽっちゃりで好奇心旺

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読書紹介 ミステリー 編Part15 『貴族探偵』

読書紹介 ミステリー 編Part15 『貴族探偵』

 どうも、こぞるです。
 本日私がオススメするのは、麻耶雄嵩先生による『貴族探偵』です。
 麻耶雄嵩先生は『メルカトルかく語りき』以来の2作目ですね。今作も一癖も二癖もあります。

ー作品内容ー
信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か? 捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら

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読書紹介 ミステリー 編Part14 『奇術探偵 曾我佳城全集 秘の巻』

読書紹介 ミステリー 編Part14 『奇術探偵 曾我佳城全集 秘の巻』

 どうも、こぞるです。
 本日ご紹介する小説は泡坂妻夫先生の『奇術探偵 曾我佳城全集 秘の巻』です。曾我佳城という引退した奇術師(プロマジシャン)を名探偵に据えた短編をまとめたものとなります。
 泡坂先生は、ご自身も実際に著名な奇術師であるという一風変わった経歴の持ち主としても知られています。

ー作品内容ー
 曾我佳城(そがかじょう)の行くところに怪事件あり……若くして引退した美貌の奇術師、その

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読書紹介 ミステリー 編Part12 『空飛ぶ馬』

読書紹介 ミステリー 編Part12 『空飛ぶ馬』

 どうも、こぞるです。
 本日ご紹介するのは、『空飛ぶ馬』です。北村薫先生は2度目の登場となります。前回は、名作揃いの先生の中でもだいぶ玄人向けな本だったのですが、こちらは北村薫の名をミステリー界に轟かせたデビュー作となります。
 当時、先生は覆面作家だったため、名前と作風のせいで若い女性だと勘違いした読者が続出したそうです。

ー作品紹介ー
「 私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎のな

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読書紹介 ミステリー 編Part11 『煙か土か食い物』

読書紹介 ミステリー 編Part11 『煙か土か食い物』

 どうも、こぞるです。
 今回ご紹介するのは、舞城王太郎先生の『煙か土か食い物』です。
 舞城先生といえば、プロフィールほぼ未公表で、『阿修羅ガール』で受賞した「三島由紀夫賞」の授賞式を欠席したことでも知られる、覆面作家でもあられます。

ー作品内容ー
 腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが? ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー! 故郷

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読書紹介 ミステリー 編Part10 『七回死んだ男』

読書紹介 ミステリー 編Part10 『七回死んだ男』

 どうも、こぞるです。
 今回ご紹介する作品は、西澤保彦先生の『七回死んだ男』です。
 まず、タイトルがいいですよね。どこかの猫に比べるとはるかに少ないですが、こちらの男は、なんと一日に七回も死んでいます。

ー作品内容ー
 同一人物が連続死!恐るべき殺人の環。殺されるたび甦り、また殺される祖父を救おうと謎に挑む少年探偵。どうしても殺人が防げない!? 不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また

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読書紹介 ミステリー 編Part9 『すべてがFになる』 The Perfect Insider

読書紹介 ミステリー 編Part9 『すべてがFになる』 The Perfect Insider

 どうも、こぞるです。今回ご紹介するのは、森博嗣先生のデビュー作でもある『すべてがFになる』です。2014年にノイタミナでアニメ化、2015年に同じくフジテレビでドラマ化されていますから、タイトルは聞いたことがある人も多いのでは無いでしょうか。

-作品内容-
 孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両

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読書紹介 ミステリー 編Part8 『異人たちの館』

読書紹介 ミステリー 編Part8 『異人たちの館』

 どうも、こぞるです。
 本日ご紹介するのは、折原一先生の『異人たちの館』です。
 異人って、結構強い言葉ですよね。異なる人?大体は外国人という意味で使われることが多いですが、差別的なニュアンスもあったりするようです。
 方言周圏論で知られる柳田國男先生は、『遠野物語』の中で、異人を山の神だと記しています。箱根駅伝の人ではないです。

-作品紹介-
富士の樹海で失踪した息子・小松原淳の伝記を書いて

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読書紹介 ミステリー 編Part4 『連続殺人鬼カエル男』

読書紹介 ミステリー 編Part4 『連続殺人鬼カエル男』

 どうも、こぞるです。
 今回の作品は中山七里先生の『連続殺人鬼カエル男』。キャッチーなタイトルですよね。これは2009年に『このミステリーがすごい!』大賞(通称『このミス』)という、一般公募できるミステリー小説の新人賞の中でも一番といってもいいほどのコンテストで、最終候補にまで残った作品です。ちなみに、その年の大賞には中山七里先生の『さよならドビュッシー』が選ばれています。・・・中山七里先生?あ

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読書紹介 ミステリー 編Part7  『クラインの壺』

読書紹介 ミステリー 編Part7  『クラインの壺』

 どうも、こぞるです。
 今回オススメするのは、岡嶋二人先生で『クラインの壺』です。
 どの視点から語るか悩んじゃう、1989年に出版された"岡嶋二人"先生の最終作です。

-作品内容-
 ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲ

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読書紹介 ミステリー 編Part6 『紙魚家崩壊 九つの謎』

読書紹介 ミステリー 編Part6 『紙魚家崩壊 九つの謎』

 どうも、こぞるです。今回ご紹介する作品は、北村薫先生作『紙魚家崩壊 九つの謎』となります。
 前回のPart5で日常の謎に触れましたので、その代表的な作家の1人である北村薫先生の作品を紹介しよう!という運びとなりました。これまで数々の名シリーズを生み出している方でして、私は結構これまで読んできたので、どれを読み直そうかと思っていたのですが、今回思い切って、こちらの短編集に初めて手を出してみました

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読書紹介 ミステリー 編Part5 『春期限定いちごタルト事件 』

読書紹介 ミステリー 編Part5 『春期限定いちごタルト事件 』

 どうも、こぞるです。
 本日のご紹介は米澤穂信先生の『春期限定いちごタルト事件 』。小鳩くんと小山内さんという高校生2人による物語で、小市民シリーズと呼ばれるシリーズの第1作です。
 米澤穂信先生といえば、数年前にアニメが大ヒットしていた氷菓でも知られますね。デビュー作がライトノベル文庫であったからか、決してアニメっぽい口調で喋ったりはしないのですが、普段生きていれば使用しないような語彙が出てき

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