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青い鳥(小説:25)
公園のベンチに腰掛けお気に入りの本を読む。こぢんまりとしたその公園は遊具が2つ3つあるだけで、子供たちが進んで遊びに来るような公園ではない。
だからなのかあちらこちらに草が生い茂げ、鳥の鳴き声もよく聞こえる。この静かな時間が流れる公園が好きだ。
本を読むのを辞め、一度公園を見渡す。足元を見るとそこには、自分の体の何倍もの大きさの蝶々を必死に運ぶ蟻がいた。
サイズの割にはそこまで重くはないのだ
タイムマシン(小説:24)
–ある場所–
また人を殺してしまった。
何度目だ。いい加減この繰り返しから逃れたいところだが、どうしたらいいのかわからない。きっと最適解があるはずなのに。
椅子に座り頭を抱えていると同僚が通りがかった。
「あぁ、またやっちまったのかお前。で、どうするのまた戻るのか?」
「いや、正直もうどうしたらいいのかわからない」と僕は弱々しく言い、大きなため息をついて、さらに項垂れる。
しばらく沈黙
そういうことなのかな(小説17)
朝、電車に揺られながら街の中心へ向かう。
大人の多くがスマホと睨めっこしていたり、目を瞑っているなか、子供の声が響く。
子供と言っても、そんなに幼くはない。中学生くらいだろうか。
さすがにそのくらいとなると、朝の電車の静寂に合わせて声のボリュームを小さくする配慮を持ち合わせている。
しかし、声をいくら落としても、電車の中が静寂である以上声は多少響く。
耳を澄ますと彼らの会話が聞こえてくる