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治安(ショートショート)

ダイチは初めての街に来ていた。折角であるから、この辺りを散策してみたいが、大きな荷物が邪魔になってしまう。

仕方なく、商業施設のフードコートで約束の時間まで待機することにする。

それにしても、この街は人が多い、地元であればたとえ連休であっても、こんなに人でごった返すことはない。

人の多さに驚きつつも、全く違う土地に来たことを実感せざるを得ないこの状況に気分は上がっていた。

待ち合わせ相手から連絡が来る。少し遅れるとのことだった。であれば何か軽くお腹に入れたい、どんな店があるのか見てこよう、ついでにトイレにも行きたい。

ダイチは隣のテーブルでご飯を食べているカップルに、少しの間荷物を見ていてもらえるかと頼み、席を立った。

数分後、テーブルに戻ったダイチは隣のカップルにお礼を言い、リュックから財布を取り出し千円札を差し出した。

「いえ、もう頂いているので」

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