どこが好きか聞かなくていい(小説:28)
クリスマス期間のイルミネーションに向けて、街路樹に電飾を施している業者を横目に、ミカとユキは昼の並木通りを歩いている。
この時期になるとどうしても話題に上がるのが恋人の話だ。この二人も例外ではない。
「この間彼氏が料理を振舞ってくれたの。パスタとアヒージョ、それに牛肉の赤ワイン煮込みだっけな。スパークリングも彼が選んできてくれて、とりあえず全部すっごく美味しかったのよ」
ミカがそういうとユキは目を細めて「え?何それ惚気?」と冗談めかしながら言った。「待って、ちゃんと続き