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#現代詩

サナギ【詩】

サナギ【詩】

サナギは終わり
飛び立てよ今

準備を終える前に背を押された

どこまでも落下
頭を叩きつけるその時に

半回転
なんだかんだで着地する術を知る

日暮れ【詩】

日暮れ【詩】

いくつもの天使の羽が空に広がっていて
どうしても届かないその中を
鳥が飛んでいく

日が暮れるにつれ見えなくなるけれど
そのひとときは目に焼きついている

空を覆うその羽の黄金を

【詩】夕暮れの人質

【詩】夕暮れの人質

やわらかな壁をよじ登ったら
天と地が真っ逆さまになってしまった
海のしっぽをつかまえたら
地球がまっぷたつに割れてしまった

どこへ行こうと気ままだけれど
夕焼け空が背中にくっついたまま
オレンジ色に心臓をわしづかまれて
わたしは夕暮れの人質になる

みじめな秋に囲まれてるよ
さみしさは置いてきた
昨日は遠い昔
どんな気持ちで歩いていこうか

【詩】お天気雨

【詩】お天気雨

晴れているのに
明るい空から雨が降る
どこか懐かしいこの感じ…

そういえばキミとの恋は
お天気雨のような恋だった
雲ひとつないような気持ちなのに
いつもどこか寂しくて…

でもお天気雨はすぐに止む
それまで少し待てばいいだけだった

私は雨やどりという言い訳のもとに
時間をやり過ごせばよかったのに

雨やどりって
いつ雨が止むかわからないのに
何て詩的な
時間を贅沢に使うための言い訳

私は今

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【詩】 風船 2

【詩】 風船 2

まるい きいろい風船が
空に浮いている
やわらかそうに風をうけて
風船はゆっくりと
ゆっくりと平行移動する

風船は渋谷の街や
書斎の窓や
絵本のページの中をながれ
大正時代やジュラ紀や
来週の木曜あたりへながれ
わたしの心から
わたしではない
どこかのわたしの心へながれ

かなしいくらいの憧れと
穏やかな無感情とに
声もなく見送られながら
風船はゆっくりと
ゆっくりとながれていく

【詩】本日のひぐらし

【詩】本日のひぐらし

茜空に近づいて
暑さが引いていくころ
森の奥から
数匹のひぐらしが
本日終了のお知らせ
暑さの残りが漂い
少しやさしくなった風といっしょに
夜を呼び
紫の空から
紺色へと変わりはじめ
おだやかになっていく
その雰囲気に押されて
ぬるい風といっしょに家路につく
ひぐらしの曲は遠くのほうでまだ鳴って
風といっしょに追いかけてきた

精神をなくす時間

精神をなくす時間

気持ちの落ちた夕方に

自分が無くなってしまう気がする

生きて行くのは易しいけど

自分を出して生きてゆくのは難しい

誰かを慮って自分を殺すと

そこに生は無くなってしまう

囚われた精神は

何処に向かえば正解なのだろう

優し気に見える外は

本当は冷たくて

自分がらしく生きるのを良しとはしない

何処に行っても

何処に向かっても

それは変わらず

やはり自分は無い

気分の落ちた夕

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サイレント

サイレント

音が止んだ。

気づいたら、何もなかった。

いや、あった。

”何もない”があった。

”何もない”がそこにあって、

心地よい空気が流れて、

静かに、そよ風のように、

さりげなく、

そこにあった。

ときどき、

”何もしない”をするのが忙しくて、

”何もしない”がしたくて、

時間を充てて、

他の予定は後回しでも、

”何もしない”が欲しかった。

誰の声も聞こえない、

何者にも

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