見出し画像

【詩】 風船 2

まるい きいろい風船が
空に浮いている
やわらかそうに風をうけて
風船はゆっくりと
ゆっくりと平行移動する

風船は渋谷の街や
書斎の窓や
絵本のページの中をながれ
大正時代やジュラ紀や
来週の木曜あたりへながれ
わたしの心から
わたしではない
どこかのわたしの心へながれ

かなしいくらいの憧れと
穏やかな無感情とに
声もなく見送られながら
風船はゆっくりと
ゆっくりとながれていく



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?