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ふとーこーエッセイ【2】ゴッドの待合室

ゴッドの待合室

いつの頃までを、振り返っていただろう。

この子は、たしか小さい頃から
朝は弱い方で、起こされて起きることのほうが
ダントツ多かった。

なのに、乳児期のお昼寝は、ほんの小一時間
すぐ起きてしまうから、家事は全くはかどらない。

幼稚園の発表会、舞台の上でよく「あくび」をする。
普通あくびは、眠くなると出るものと思っていたが
緊張によって、無意識に息を吸うことを忘れてしまい
脳に酸素が不足することで、出ることもあるのだとか。
集中力が足りないのでは?
と案じた私の質問に対し、担任の先生が説明してくれた。

症状は違うものの、
具合が悪くなる点では今回が初めてではない。
小学生のころ、ときおり頭痛をうったえるようになった。
痛み止めでごまかし、登校させたこともあったが
なんだかんだで
年に2〜3回は、学校を休んだことも思い出した。

本人も辛いだろうし
原因がわからないのは心配で
念のため、大学病院まで行って脳の精密検査をした。
命に関わる大きな異常はないとわかりホッとしたものの
MRI画像で、わずかに神経過敏になりやすい所見があり、それで頭痛をおこしやすいのだろう、とのこと。
上手く付き合っていくしかないとも。
「中学に入ると…忙しくなりますから、大変かもしれませんね…」
先生は、そう言って、診察を締めくくった。

もともとは大人しいタイプの子どもだったな。
気がつけば、わたしの隣にいて大人の会話を聞いている。
集団に慣れるまで時間がかかることもあったが
大きく問題視するレベルではなかったと思う。

今後の人生は、何かしらの集団に属し
その中で役割を果たしていくことの連続だから
どんなことも乗りこえられる、強い子になってほしいと
母親として、そんな漠然とした子育ての軸をもっていたから
「ほら、みんなんとこ行って、遊んでおいで!」とうながしてきた。

そんな不安をよそに
息子は、その方向へと、どんどん変化していった。
高学年になるころには、なんでも全力で取り組んだ。
周囲への細かい気配りもできて、クラスメイトの信頼は厚かった。
勉強もできた。
あとで知り合いのママから聞いた話では
同級生の間で「優等生」とよばれる一人だったらしい。

幼稚園から心配なことが多かったけど、
バランスをとりながら、うまく導いてきたという、自負があった。

「どこで間違えた…」
「どうしたらいい…」

※ ※ ※

「診察室へどうぞ〜」
スッと頭が現実に引き戻される。

どんな診断が下るのだろう。
まずは、重い病気ではないことを祈りたい。
だけど一方ですでに
病気なんかではない気が、していた。

要するにストレスによる心身症の可能性。
だって、その兆候は、至るところにあったから。

親なら、子どもが重い病気でこの世からいなくなることのほうが、
きっと、何十倍もつらいはずだ。

でも、息子が「不登校」になってしまう未来を、
それと同じくらいの絶望的な気持ちで想像する自分がいた。




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