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2023年12月の記事一覧

歴史小説「Two of Us」第4章J-14

歴史小説「Two of Us」第4章J-14

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐14

 絶壁の崖の上に建立された杵築城は、現存する日本一小さな天守閣。
 それだけでなく、唯一、おんな城主が江戸時代に居城としていた時期が在る城郭。その女性こそが『ガラシャ珠子』だった。

 別府(本拠地とは別に統治する処)として細川領ではあるが、城代家老の代替えに、ガラシャ珠子が住まいとし

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐13

歴史小説「Two of Us」第4章J‐13

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐13

 二杯目の八女茶があなたガラシャ珠子の古伊万里茶碗に注がれると、与一郎忠興は、傍に居た若手の侍従に何がしかを頼み事する。
 二十歳前の彼は黙って頷いて、広間から姿を消した。

 あなた珠子は引き続き、『大坂玉造屋敷からの大脱出』を語る。
「侍女が待っていたのです。女官のシモとオクです。

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歴史小説「Two fo Us」第4章J‐12

歴史小説「Two fo Us」第4章J‐12

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐12

「たしかに。云われてみると、朝鮮半島へ出征して以降は、珠子と逢えたのはまだ両手で数えられる程だ。
 悪かったの。もう、小倉の財政難も落ち着いた。悪かったの」

 【癪持ち】用の丸薬を口に含んで白湯を飲み干す、与一郎忠興。若い時から未病の医学には造詣が深いが、40台半ばにも成ると、さすが

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐11

歴史小説「Two of Us」第4章J‐11

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐11

 ガラシャ珠子の返答に、細川与一郎忠興は条幅半紙から離れ、侍従を呼ぶ。四男立孝(たてたか)の側近をしていた侍従が、最近はあなた珠子の傍に居る。

「それがしと珠子に、茶菓子を頼む。珠子は、何が好いかの❓」
「はい。珠子は、こういう日にはやはり、胡桃柚餅子(くるみゆべし)を所望でござりま

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐10

歴史小説「Two of Us」第4章J‐10

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐10

 杵築城広間のど真ん中たたみ一畳分にて、細川忠興は、条幅半紙に極太の毛筆で書き上げた書を眺め、ひと息ついた。

『蜻蛉が出ると 蜘蛛の子散らす也
   手に蜻蛉 頭の角の凄まじき
     鬼か人か しかと分からぬ 兜也』

 その川柳は、桑名藩初代藩主本多平八郎忠勝の、葬儀に参列した

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歴史小説「Two of Us」第4章J-9

歴史小説「Two of Us」第4章J-9

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J-9

 1610年12月初旬(慶長15年10月下旬)。
 小倉藩初代藩主細川忠興は、城代家老の松井康之を中津城に呼び出した。

 江戸幕府二代将軍徳川秀忠が武家諸法度を発令する以前に、細川家は嫡男忠利を江戸屋敷に置き、忠興とは交代で領内に戻る二元統治を行っていた。

 これは、三男忠利は関ケ原

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