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農林中金の巨額損失について思うこと:時価評価を行う機関投資家の宿命

農林中金の巨額損失について思うこと:時価評価を行う機関投資家の宿命

農林中金の約5000億円の最終損益見通し(2025年3月期)と、約1兆2000億円の資本増強が私の周辺で話題になっている。

「ここ数年の株式上昇相場の中、株式に投資せず債券・クレジットに偏重した投資ばかり行っていたのは運用能力の欠如だ」などなど、とりあえず農林中金の運用能力について疑問を呈する声が殆どである。

損失の主な原因は、農林中金が投資を行い運用していた米国債等の債券価格が、ここ1、2年

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まるで故・瀧本哲史氏に”君に人脈はいらない”とでも言われたかのようなXの投稿から、人脈の有用性について考える

まるで故・瀧本哲史氏に”君に人脈はいらない”とでも言われたかのようなXの投稿から、人脈の有用性について考える

若い頃は、社内でしか通用しないような内輪の論理でガチガチに固められたお作法や業務の進め方、上司へのうまい説明の仕方や社内承認の取得方法について何の魅力も感じられなかった。そこには市場価値は皆無だと思わされたからだ。

むしろ会社の外にこそ、市場価値というものが存在していると信じ、異業種交流会(合コンではありません)やネットワーキングイベントへの参加に勤しみ、名刺交換をしてせっせと人脈を築こうとする

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他人に対してとった行動は忘れがちだが、とられた方は数十年後まで覚えているという話

他人に対してとった行動は忘れがちだが、とられた方は数十年後まで覚えているという話

この前のゴールデンウィーク中に実家に帰ったとき、母親から地元に残っている私の小・中学校時代の友人の一人であるA君の話を聞いた。

A君の家は私の実家から近いこともあり、昔から私の親とA君の親同士の仲もそれなりに良かった。今でもスーパーなどで会う際にはよく話をするらしい。

そんなA君は中学校時代後半から登校拒否になり、その後ずっと家に引きこもっていた。

彼が引きこもる前も後も、私は家が近かったこ

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大企業JTCをおすすめする理由

大企業JTCをおすすめする理由

よく、「就職するならこれから伸びる業界に行くべき。業界自体が成長しているからポストもどんどん増えていくので出世しやすい」という意見を聞く。

だが、成長している業界は全自動式で成長するわけではない。日々忙しく働きながら自分自身も成長していなければならず、またその高揚感と緊張感に浸ることを喜べなければそこでの成長は保証されない。

自ら率先して御輿を担ぎ、また新たな御輿を作り出さなければしてその業界

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人を見て「嫌だな」と感じる点は、実は大体自分もできていない

人を見て「嫌だな」と感じる点は、実は大体自分もできていない

人を見て「嫌だな」と感じる点は、実は大体自分もできていない。これは自分が20代の頃に気づき始めたことだが、30代後半になった今でも変わらない事実だと思う。

自分が誰かに対して「あの人は上の人だけ見て仕事をしている。嫌だな。こうはなりたくないな」と感じたとき、実は自分も上の人しか見ていない。

「あの人は本当に決断力がない。リスクテイクできない」と感じる時、実は自分も驚くほど決断力がなく、リスクも

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会社員に必要なコミュニケーション能力は年を重ねるにつれ変化する

会社員に必要なコミュニケーション能力は年を重ねるにつれ変化する

仕事をする上では何にしてもコミュニケーション能力が重要だと言われる。
お客さんの言っていることを正しく理解すること、上司から言われた指示の意図を汲み取り適切に行動すること、相手の意図を読んで一歩先に行動すること。

これらは会社員のみならず自営業を行う方にとっても必須の能力である。
そして、年を取るにつれてこの能力はより重視されるようになってくる。

若い頃は、特殊スキルや専門知識を習得しておけば

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ケツメイシ「海外駐在員への唄」が秀逸である理由;実際の海外駐在の経験を踏まえて

ケツメイシ「海外駐在員への唄」が秀逸である理由;実際の海外駐在の経験を踏まえて

ケツメイシの「海外駐在員の唄」を聞いた。そして私は昔、駐在員として安全・安心・快適に暮らしていたインドネシアと米国での生活を思い出した。

※ 駐在員とは、日本の会社から海外現地子会社または海外支店に派遣され、およそ3ー5年の期間、海外で業務を行う方々を指す。現地の会社で採用され、現地に骨を埋める覚悟を決めた日本人の方とは異なる。

駐在員としての海外生活は、正直言って現地で骨を埋める覚悟で挑戦す

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吉祥寺に住んでみて

吉祥寺に住んでみて

吉祥寺に住み始め早3年が経過した。

これまで住んできた街と同様、引っ越してきてから次第に吉祥寺の住環境が好きになってきた。

吉祥寺の魅力については人それぞれ意見が異なると思うが、個人的には何といっても「井の頭恩賜公園」という歴史と風情を備えた公園が生活圏内にあることだと思う。

休日に池を眺めるのも良いし、子供と水生物園や三角広場で遊ぶのも良い。また、少し南に下ればジブリの森美術館にも行けるし

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映画「タイタニック」を観れば「女は上書き保存」説は嘘だとわかる

映画「タイタニック」を観れば「女は上書き保存」説は嘘だとわかる

つい最近、久しぶりにAmazonプライムで映画「タイタニック」を観て、改めて残酷だなと思う場面を見つけてしまった。

それは、タイタニック号と共に海の中に沈んでいった無数の人々、について感じた運命の残酷さではない(この点については、若い頃観た際に痛く感じた)。映画の最後のシーン、つまり100歳を超えたローズが、最期の息を引き取るシーンである。

このシーンではローズが走馬灯のように自分の過去を振り

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D・カーネギー「人を動かす」は対人関係をよくするための名言の宝庫だった

D・カーネギー「人を動かす」は対人関係をよくするための名言の宝庫だった

本書は1936年に初版が刊行された後、世界中で読み継がれているリーダーシップ本である。日本では主にビジネス書としての位置付けで引用されたり参照されることが多いが、英語の原題は「How to win friends and influence people」であり、ビジネスの場面以外の友人関係の場、社交の場でも十分応用が効く原則ばかりが並んでいる。

以下、本書に記載されていた記述のうち、心に残った

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証券アナリストジャーナル読後メモ:AI / IoTは経済構造をどう変えるのか 柳川範之

証券アナリストジャーナル読後メモ:AI / IoTは経済構造をどう変えるのか 柳川範之

https://www.saa.or.jp/journal/eachtitle/pdf/taikai_161201_1.pdf

証券アナリストジャーナルを2010年頃からずっと購読している。著名な学者そして経営者の貴重な講演や論文を閲覧できることができ、大変勉強になっている。年会費18,000円は維持コストとして高い、という声も周囲でよく聞くが、月にならせば月額1,500円である。月一回の外食を

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「ソニー再生」を読んで、平井一夫元CEOは「貞観政要」の君主像の生き写しだと思わされた

「ソニー再生」を読んで、平井一夫元CEOは「貞観政要」の君主像の生き写しだと思わされた

ソニーの元CEO、平井一夫氏の著作「ソニー再生」を読んだ。

平井一夫氏はソニー在籍中、ソニーグループ3社の事業再生を手がけた、事業再生請負人である。

最初はわずか35歳にしてアメリカのサンフランシスコの南にあるフォスター・シティにあるソニー・コンピュータ・エンターテインメント・アメリカの事業再生を手がけた。

その後日本に戻ってからは(正確には、生活の拠点である米国か家族を残して日本に単身赴任

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自分のやりたいこと=暇な時に自然と始めてしまうこと

自分のやりたいこと=暇な時に自然と始めてしまうこと

「自分のやりたいこと・好きなことがわからない」を模索する若者がいる。結論、これは自ら意識して外の世界に見つけにいこうとしても見つからない。バックパックで自分探しの旅に出たりしても、夕日に沈むアンコールワットや朝焼けに映えるボロブドゥール寺院の中には「自分は何をやりたいのか」という答えはない。

むしろ過去の自分を振り返り、「自分は暇ができたとき、無意識にとっていた行動は何か」を思い返した方が「自分

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米国の大手プライベートエクイティの方々と仕事をご一緒した感想(投資家としての立場から見た視点)

米国の大手プライベートエクイティの方々と仕事をご一緒した感想(投資家としての立場から見た視点)

少し前に、超一流プライベートエクイティの米国本社で勤務する方(マネージングディレクター、パートナーレベル)と面談を行う機会があった。

プライベートエクイティと言えば、投資銀行やコンサルティング会社で勤務した方々の次の転職先として人気の超高給の職業である。

日本で有名なプライベートエクイティと言えば、カーライル、ベイン、KKR、ユニゾンキャピタル、AIキャピタル、アドバンテッジ・パートナーズ、C

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