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誰も言葉にしないこと

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誰も決して口にはしないような、理性を超えた心臓の奥底に眠る感覚のようなもの。
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あの子も、その子も、みんな

あの子も、その子も、みんな

幸せそうじゃん。
幸せそうに生きてるじゃん。

どこからともなく、誰かに助けられ、軽やかにアスファルトを蹴って、障害物を乗り越えていく。

そういう姿を、望遠鏡で覗かないと見えないような距離からでも見つけてしまうと、居ても立っても居られなくなる。

私は、一体何のために苦しんでいるのだろう、と。

苦しまずに生きられる人と、
苦しみから解放されない私には、一体どんな差があるのだろうと。

そして、

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被害者にさせてくれ

被害者にさせてくれ

「被害者面」とは、一体何を指しているのだろうか。

今にも泣きそうな顔をしていたら、せめて、「被害者面」を手にすることは許されたのだろうか。

いっそのこと、可哀そうな被害者になりたかった。

その条件には、きっと身内が死んでいたり、

身体の何処かが健康でなかったり、

第三者が「可哀そう」だと感じる要素が必要なのだ。

不謹慎だろうか。

しかし、不幸だ。

被害者になれない現実は間違いなく不

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「他人の子どもなんて可愛くない」

「他人の子どもなんて可愛くない」

このセリフがテレビ越しに聞こえてきたとき、身体が不意に揺れたのを覚えている。

不倫をしているドラマの中の女性が相手に向かって放った言葉である。

私は、常に心のどこかで自分の感情を消化できない限り一生子どもを愛せないのかもしれない、と思っている。

子どもが嫌いな訳ではない。

誰の子どもだろうが、

人並に、「可愛い」と感じる。

しかし、やはり他人の子どもなのだ。

このように、負の感情を持

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ウサギが死んだ時、私は友達ごっこに夢中だった話

ウサギが死んだ時、私は友達ごっこに夢中だった話

中学2年生の時、飼っていたウサギが死んだ。

その日は日曜日だった。

だから、私は友達ごっこに夢中だった。

いつも、万引きをしろと言ってくるような奴に、嫌われないように毎週ついていった。

罰ゲームでこいつに告白してみろだとか、

次学校行くときは、こんな格好で来いとか、

今日は奢れだとか、

そんなくだらない、おままごとの延長をしていた。

その日は、三人で遊んでいた。

家の近くの公園で

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スクールカースト制度

スクールカースト制度

運動部であることや、

文化部であることや、

流行りのものを持っているか、否か、

SNSのフォロワーが多いか、少ないか、

そんな人間の中身とはかけ離れた部分をもとに、スクールカーストは作られていく。

一番上に属しているのは、いじめっ子だったり、友達が多い子だったり、成績が良い子だったり、単に顔が可愛い子だったり、様々だ。

あの狭い教室の中、次は誰がこの最上層にいる人達の餌食になるのか。

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嘘だらけの To do

嘘だらけの To do

To do リストを作ると、捗るとか、

言葉にしてみれば夢がかなうとか。

私は、真逆だ。

「しなければいけないこと」書き出し、ソレをコンプリートするどころか、早起きすることも、ストレッチをしてみることも、散歩をしてみることもなく、1日が終わる。

だが、紙に「しなければいけないこと」を書いている時だけは、何故か自分が誇らしく思えた。

それで、満足感を覚える程、浅はかな気持ちでしかない。

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「不謹慎」を購入したい

「不謹慎」を購入したい

「ブーム」なのだと思った。

6月に結婚式が増えるように、

同年代の出産時期が被るように、

身内が亡くなるというのは。

悲しい儀式をする割には、私たちは他人の悲しさには介入しない。

それどころか、自分たちが悲しみの中心にいるのだと思い込んでいる。

「死」という言葉が重いとか軽いとか、

そんなことについては議論などしてこなかっただろう。

言わずもがな、重く、そして、遥か遠くにあるものだ

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即時に変わらない「今」を殴り続けてきた

即時に変わらない「今」を殴り続けてきた

「今」を変えたいと願いながら、
この行動で明日の内容が変わるのかもしれないと希望を抱きながら、

生きてきたんだ。

その願いはあまりにも儚く散ることとなり、
散った破片が、又、自身の人格形成の邪魔をした。

できるかできないかよりも、
やるかやらないか。

成功者はそうやっていつも啖呵を切る。

そして、やってもできないと主張する人間にはこんなことを口にする。

続けられるかどうか。

世の中は

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可愛い我が子は何歳になりましたか?

可愛い我が子は何歳になりましたか?

初めて喋った日、
初めて歩いた日、

可愛い可愛いと”初めて”を愛でた日のことを今でも思い出せますか?

初めて友達の話をしてきた日は?
初めて学校から帰ってきて泣いた日は?
初めて相談があると言ってきた日は?

もういちいち”初めて”なんて意識しない年齢になり、
覚えていないだろうか。

忙しなく過ぎ去る日々の中で、
あなたの中の可愛い”初めて”が何度も思い出されることだろう。

大人になってい

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優れた自分を信じたくて

優れた自分を信じたくて

簡単に泣ける人間を取り囲む輪には入らない。
何故なら、優しさを浴びせるに値しない涙だと思っているから。

半袖の体操服の先の手首の包帯、それどうしたの?なんて声をかけない。
何故なら、君はきっと教師にもう片方の手首を掴み引き止められたとしても、その喉から出てしまった欲求は満たされないと知っているから。

だけど、身体障害者であったあの子といつも登校していた。給食の時間には、特別支援学級のある下の階

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