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朧げに下る街路樹と踊りだす雨と僕

鬱蒼としてじめったい歩道にはポツポツと髑髏が転がっており、天井にはまん丸い月があって僕の街を照らしていた。

そして、僕はそんな街をのらりくらりと歩いた。

夜が次第に深くなる。
遠くのほうに聞こえていたはずの猫の鳴き声も近くなる。

今、僕は街の端を歩いている。遠くには海に浮かぶ島があって届くはずのない手を伸ばしては緩やかに手を引っ込める。次第にポツポツと雨が降ってきては雨特有の匂いが一帯を包み込んでいった。

今日、僕は雨が好きになった。

誰かに「なぜ君は雨が好きになったの?」と聞かれても答えられない。けど、僕は雨が好きになった。

ポツポツからザァァという音に変わり街は久しぶりの大雨を迎えた。街灯に雫が反射する。車のボンネットで雫が踊ってる。僕はそんな街を自分なりの雨音を響かせながら歩いた。

歩けば歩くほど靴はビショビショになっていき、
さらに靴下も濡れ始めた頃に、僕は帰路に立っていた。今日も楽しかった。

雨。雨。

せめて...明日の"夜"も雨がいいな。

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