マガジンのカバー画像

特集 アート

7
運営しているクリエイター

記事一覧

看板に偽りあり?/上野の森美術館所蔵作品展 なんでもない日ばんざい! @上野の森美術館

看板に偽りあり?/上野の森美術館所蔵作品展 なんでもない日ばんざい! @上野の森美術館

上野動物園で香香(シャンシャン)を拝んだ帰りに展覧会の看板を見つけて、心奪われた。この鬱々としたコロナ禍で明るい気持ちになるような作品が展示されているのではないかと期待して、チケットを購入。

「なんでもない日ばんざい!」は上野の森美術館のコレクション展で、1983年より行われてきた上野の森美術館大賞展で受賞した作品の中からセレクトされたものが展示されている。パンフレットによれば

「なんでもない

もっとみる
美術館だから実現した展覧会。/「古典×現代2020 時空を超える日本のアート」@国立新美術館

美術館だから実現した展覧会。/「古典×現代2020 時空を超える日本のアート」@国立新美術館

▼正直、古美術は好きじゃないのだけれど。

身も蓋もないことを書くと、古美術は好きじゃない。何が良いのかよくわからない。仏像とか器とかを見て、純粋に楽しめる人が羨ましい。今まで進んでそうした古美術の展覧会に足を運んだことは一度もない。
けれども雑誌好きとして、“作品をどういう文脈で見せるか”にこだわった展覧会は大好き。だから「古典×現代2020」という展覧会タイトルに惹かれて訪問を決意した。201

もっとみる
ビールを作るというアート……ではなかった。/Chim↑Pom 個展「A Drunk Pandemic」@ANOMALY

ビールを作るというアート……ではなかった。/Chim↑Pom 個展「A Drunk Pandemic」@ANOMALY



▼現代アートの副作用。
現代アートには副作用があると思っている。それはありとあらゆるものが現代アートであるように思えてきてしまうということだ。

Chim↑Pomの個展を観に天王洲のTerrada Art Complexを訪れたときのこと。先に訪れていた知人から、このビルは通常のエレベーターではなく、搬入用のエレベーターを使って昇るのだと聞いていた。しかしビルの前にはエレベーター故障中の看板が

もっとみる
オラファー・エリアソンの個展を見て家庭科の授業を思い出した/「オラファー・エリアソンときに川は橋となる」@東京都現代美術館

オラファー・エリアソンの個展を見て家庭科の授業を思い出した/「オラファー・エリアソンときに川は橋となる」@東京都現代美術館

美術館を訪れるのが楽しみになったのはいつからだろう?子どもの頃、自ら行きたくて行ったのはエッシャー展ぐらいだった気がする。自主的に美術館に行くようになったのはごく最近だ。

今回の「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」は特に楽しみにしていた。新型コロナの影響で移動の自由が無くなり、美術館も休館になった影響で2カ月近くリアルなアートに触れる機会が無かったためである。緊急事態宣言中に科博の「特

もっとみる
作品が会話する展覧会⁉/「フィリップ・パレーノ展」@ワタリウム美術館

作品が会話する展覧会⁉/「フィリップ・パレーノ展」@ワタリウム美術館

衝撃。まさか美術館に行ったら、作品が会話しているとは思わなんだ。森美術館「未来と芸術展」に行った時も、東京都現代美術館の「MOTアニュアル2019 Echo after Echo:仮の声、新しい影」を訪れた時も感じたことだけど、現代アートの展覧会ってこんなにも、ドキドキワクワクするものか!ディズニーランド、ハリウッド超大作映画、巨大音楽フェス、そういうものに匹敵する面白さだ。

場所は東京、青山の

もっとみる
アーティゾン美術館が雑誌好きにおすすめな理由。/開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」@アーティゾン美術館

アーティゾン美術館が雑誌好きにおすすめな理由。/開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」@アーティゾン美術館

雑誌を読むように楽しめる美術館だった。

2020年1月18日、京橋にアーティゾン美術館がオープン。運営するのはブリヂストンでおなじみの石橋財団。かつて同じ場所に存在していた「ブリヂストン美術館」(印象派や日本の近代洋画等を特徴としていた)、2016年に久留米市に返還された「石橋美術館」。この2館が所有していた古代~近代までの作品に、現代アートのコレクションをプラスし、再出発したのがアーティゾン美

もっとみる
美術館が提示する、未来の生活とは。/未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか@森美術館

美術館が提示する、未来の生活とは。/未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか@森美術館

未来を展示するって矛盾してない?「未来と芸術展」の存在を知った時、私が思ったこと。まだ存在していないものをどうやって展示するのだろう。このままでは眠れない!

美術館に行こう、とだけ伝えてあとは何も知らない友人を連れて、週末、森美術館へ繰り出した。

最初の展示「都市の新たな可能性」で、早速友人はポカンとしていた。無理もない。美術館と言えば、額縁に入った絵画が壁に並ぶ光景を想像するはず。しかし、そ

もっとみる