マガジンのカバー画像

26
書いた詩です
運営しているクリエイター

#文学

窓の色

あなたは目を閉じて宇宙を作っている
窓に座った柔らかい虹の鉛筆
頬にふれる声のように温かい記憶を見たから

水中に存在しない音色の雨を
薄い光の底に反射するペットボトルを数える
表面だけ消えている色んな空が
あなたの作る窓に浮かんでいく

春の星

指先から春になった、わたしは大好きな歌を口ずさみながら、
誰もいなくなった地球を歩いている。
夜なんてものが本当にあるとしたら、きっとこんな表情をしているんだろう。
つま先まで春になった、だけどわたしはひとりぼっちで、
生き物たちをずっと探している。人をずっと探している。
いつまでたっても、春になっても、世界は全然あたたかくならない。
誰も冬眠からさめない。
だからわたしは、夜空に指先で、
春の星

もっとみる

泥の空想

四足歩行から二足歩行へ、いつの間にか背が伸びて、視界は地面から離れていった

地面を手放して、人工的な空を話す

泥や砂にまみれた手で作った空想は、どこかで今も呼吸しているだろうか

具体的な空想は抽象的な現実に替わり、本当の空を忘れてしまった

そんな空っぽの手のひらが、懐かしい風の音色を想い出している

朝色

あなたが引き止めたかった星
色と輪郭だけ残って空になる
空っぽの果物

横断歩道は虹の影
朝の月を見ている顔が
あざやかな夢を描いた