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記事一覧
砂埃の向こうにある、野球をする幸せ:加藤弘士『砂まみれの名将 野村克也の1140日』
ノムラの空白期間
この箇所を読んだ際、少しドキリとした。高校時代に『野村ノート』を読んで以来、”ノムラ本”を結構な冊数読んでいたが、たしかにシダックス時代については知らない部分が多い。そして結論から話すと、読了後「なんでこんなに面白いテーマの本が、いままでなかったんだろう」という感想を持った。名将の社会人野球での知られざる日々を、緻密に書き表していた一冊になっている。
野村のシダックス監督
「カツカレー」のような、しあわせな組み合わせの一冊:塙宣之『極私的プロ野球偏愛論 野球と漫才のしあわせな関係』(聞き手:長谷川晶一)
この本が発売されるのを知った際、「こんな、俺が好きな要素だけで出来た本出るの!?」と思った。
野球もお笑いも大好きな自分だし、著者も漫才の名手、ナイツ塙宣之と、野球ライターの大家、長谷川晶一である。好きなもの+好きなものという、言ってみれば「カツカレー」のような状態である。そして「カツカレー」と書いて、「千葉茂」を連想する(千葉が考案したという説があるのだ)野球好きにはぜひオススメしたい一冊
孤独な野球人が語らなかった8年間の物語:鈴木忠平『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたか』
作中にも少し触れているくだりがあるが、中日新聞には創業家が二つ存在する。「新愛知」と「名古屋新聞」という二つの新聞社が1942年に統合されて誕生したため、新愛知の大島家、名古屋新聞の小山家がそれぞれ創業家となっているのである。
新愛知は名古屋軍と大東京軍、名古屋新聞は名古屋金鯱軍と、かつてはそれぞれが球団を保持していた。
この「ツーインワン」の構造はそのまま派閥争いとして残り、<歴代監督人
「奇妙」で「精神的」な野球小説:G.プリンプトン『遠くから来た大リーガー シド・フィンチの奇妙な事件』(芝山幹郎 訳)
2021年シーズンの大谷翔平はまさに「未知」の選手だった。投手として9勝、打者として138安打・46本塁打という投打双方で「ごく一握りの選手にしかできない成績」をマークしてしまった。これだけ複雑に進化した現代野球に於いて、ベーブ・ルースのような二刀流の選手が姿を見せることを誰が予想できただろうか。
20年前に筋骨隆々のマッチョマンたちを細身のイチローがしなやかに勝負したのを見て「最先端」と感じ
激戦区もチャンスに変える、伝説のゴーラーの「リアルサカつく」以上のもの:望月重良『全くゼロからのJクラブのつくりかた サッカー界で勝つためのマネジメント』
神奈川県はズバリ、Jリーグ激戦区だ。Jリーグ創設の時点で川崎V、横浜F、横浜Mと既に3クラブ存在している。吸収合併による消滅や移転したクラブもあるが、現在も6クラブがひしめき合う、他の都道府県には見られない多さだ。国際色豊かな土地柄や、「王国」静岡と東京の中間地点であるなど、この理由はいろいろ深掘りが出来そうである。
そんな激戦区に挑むのは望月重良が創設したのSC相模原だ。00年のアジアカップ
ありそうでなかった野球と鉄道の関係性を紐解く一冊:田中正恭『プロ野球と鉄道 新幹線開業で大きく変わったプロ野球』
3番“でひす”(リチャード・デービス)、4番“ぶうま”(ブーマー・ウェルズ)、5番“みのだ”(簑田浩二)。86年末に発売されたファミコンの野球ゲーム『ファミリースタジアム』(いわゆる初代『ファミスタ』)には、阪急、近鉄、南海の近畿圏の鉄道会社の球団の連合チーム、レイルウェイズが収録されていた。西武が隆盛を極めていたころだが、上記のクリンナップトリオに加え、ここに“まつなか”(松永浩美)や“やまだ
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