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過去の実体験

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記事一覧

楽園の片隅で

20歳の僕には「映画観ない?」というきっかけで家やホテルで映画を見てセックスをする友達がいた。厳密にはアルバイト先の同僚だった。

彼女の名前をLとしよう。Lは僕より1つ歳上で、附属高校から内部進学で大学へ進学し、高校2年から当時の大学3年まで付き合っている彼氏がいた。彼氏は演劇部の1つ上の先輩だったらしい。浮気はこれまでしたことがない、少なくとも僕の前ではそう言っていた。

アルバイトの終業後に

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また喉が乾くまで飲み続けた日

年に数回会う程度の知り合いがいた。仕事上の付き合いで、あるイベントの受付をしている人とそのイベントの運営が僕という関係だった。彼女は一回りほど上の人で、よく喫煙所で一緒になって出会って一年が経つ頃には愚痴を言い合う関係になっていた。

「今日もしんどいねぇ、みつばくん。早く飲みたいわね」
1度だけ、イベントの打ち上げで彼女と一緒になったことがある。彼女は長い髪でよく早口で話す人で、その飲み会でもあ

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優勝できなかったスポーツマン

例えば、銀杏BOYZのbaby babyが流れてる車内。GWあたりに大学時代の友人達と多摩川でBBQした帰りに、送って行ってよみたいな流れで乗せた女の子が助手席にいて
「当時本当に少し間だけあなたのこと好きだったんだよね」
みたいな台詞があったら、仮にそこまで好みではなくても、それをした後にかなり気まずくなるとしても、多摩川に夕陽が差し込んでいて、赤信号で止まっている時に見つめられでもしたら、もう

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数奇な出会いと別れ

Netflixでブラックミラーという作品が配信されている。世にも奇妙な物語の海外版という印象でどハマりした。中でもシーズン4ep4のHang the DJという作品がとりわけ好みだった。マッチングアプリの究極進化系みたいな、自動的にマッチングさせられてそのアプリの言う通りの期間、マッチング相手と付き合うのが常識な社会。

ストーリーについて上手くまとめられる自信が無いのと、そんな記事は山ほどあるの

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思い出す冬

人は忘れる生き物だ、とはよく言われたものだ。今日があるように、空があるように疑うことも無しに忘れていく。それでも忘れられないことというのがある。もちろん僕にも。

僕が15歳の時から愛読している村上春樹の『ノルウェイの森』という小説にこのような一節がある。

『駅の外に出ると、彼女はどこに行くとも言わずにさっさと歩きはじめた。僕は仕方なくそのあとを追うように歩いた。直子と僕のあいだには常に一メート

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明け透けな空描きたくて

個人的なことでないと信じたいのだが、過去の思い出は小説や絵画、そして音楽なんかと紐付けて過去のフォルダにしまっていることが多い。誰かと一緒に見た映画を見るとその人を思い出すし、誰かとの待ち合わせの時に聴いていた曲を聴くとその人を思い出したりする。そんな僕は[Alexandros]のSwanを聴くとこれをカラオケで歌ってくれたはつみさんという人を思い出す。

19歳の僕は横浜で浪人生活をしていた

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If I could be who you wanted

好きなものから好きなものの名前が出てくることがある。
椎名林檎からラーメンズという言葉を聞いた時、鈴木真海子からトンツカタンという言葉を聞いた時、そして村上春樹の海辺のカフカで田村カフカがRadioheadのKid Aを聴いてるシーンが出てきた時。

高校二年生の夏、Radioheadを聴きながら村上春樹を読んでいた。海辺のカフカでRadioheadという単語が出てくるとは知らずに。当時僕にはさく

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星のない夜に

今更ながら僕の略歴について話しておこうと思う。
名古屋で生まれ、大阪、茨城と転々とした後に横浜で中学を過ごしてからは殆ど東京にいる。主僕が書くことはこの横浜から東京にかけてのことだ。

比較的東京に近い横浜(最寄駅から電車で20分で渋谷)だったので、中学の時からずっと東京に行きたいと思っていた。地元に対してただ、ぼんやりとした不満だけが無限にあってその反動で東京に行けば何かが変わると本気で思ってい

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20分で半年

池袋駅東口では冬休みに入ったと思しき大学生で溢れていた。2019年の2月のことだ。PARCOも西武百貨店もサンシャイン通りも平日夜だというのに、全て若者でごった返してた。

当時21歳だった僕はもう大学を中退していて、メイド喫茶で働いていた。同世代の男女が池袋をデートスポットに選んで、サンシャイン水族館やラウンドワンに立て籠っているのを通る度に感じてた。「あー、女子大生と遊びたい」そんなことを僕が

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春といくつかの言葉について

最初の挨拶さえなければ別れの悲しみなんて存在しない。最近そんなことを考えている。気軽に知り合って、別れる時にはいつも必要以上に重く捉えているりこの季節だと卒業なんかを思い出す。

卒業式の朝の電車で聴いた曲を今でも覚えてる。
黒夢『See you』
シド『星の都』
Janne Da Arc『振り向けば』
チェッカーズ『My Graduation』
人格ラヂオ『さくら』

18歳の僕は僕なりに悲しも

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煙草の煙を燻らせて

喫煙所。そこにいる人々にはそれぞれの人生や家庭や哲学を持っていて、各々が別々の理由で煙草に火を灯してる。僕は煙草を咥えて、フィルターから吸い込んだ後に一度少し吐き出して吸い込む。その方が心地良い。

喫煙所では顔を顰めてる者もいれば、ひと仕事終えた達成感のようなもので満足気な顔を浮かべてる者もいる。僕はどちらだろう。

その日、僕はハプニングバーに行った帰りだった。そこには栗谷えりかという女性がい

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君がいない日々を超えて

熟々男性という生き物は女性によって成長させられるものだなと感心している。それというのも、自分の過去のブログを見返したりしているからなんだけど、ブログもまたノートと同じで別に原稿の締切や連載があるわけでもなく書かずにはいられないという衝動が書かせたもので生きた感情の証拠だなと思った。

例え方は様々ある中で、かなり抽象的ではあるけどきちんと話し合いをした上での失恋というのは痛いからやめて欲しいと

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