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創作以外のもの

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日記や嘆き、キッスなど
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告白することなかれ

告白することなかれ

私は思う。深夜こそ真の自由時間であると。
だって深夜ってなんの縛りも無い。朝の時刻表に追われて眠い目を擦る焦りも、昼間の授業の義務感も、夕方の塾のやる気がある生徒の素振りもいらない。深夜は、次の日を犠牲に捻出する、生産性のかけらも無い、健康と時間のいたずらな消費に過ぎないからである。
自分勝手に作った時間なのだから、何をしたっていいという道理なのだろうか。
日常から切り離された暗闇の中、外の音すら

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ニュー・源氏物語 〜桐壺更衣逝去〜

ニュー・源氏物語 〜桐壺更衣逝去〜

あくまでテスト対策用の、私用の即訳でございます……悪しからず

……


その年の夏、桐壺の奥さまはなんてことないようなご病気にかかられた。いつもはそれで安静にしていれば、しばらくするとひょいとお顔をお出しになるのだけれど、奥さまはなんだか普段と違うお顔つきで、お里に帰ろうと準備をなさっていた。しかしこんなことは天子さまがお許しになるはずがない。しかし、天子さまも鈍臭いお方である。自分が奥様を愛

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目、心の、フィルターの、嫌がらせ

目、心の、フィルターの、嫌がらせ

彼女の声は、教室によく通る。笑い声も同じであった。

私はその声を聞く度、そのわざとらしいような、まとわりつくような甘い、人工的な「かわいい女の子」のトーンがいやでも耳に入るのが不快で、鳥肌の立つような嫌悪に苛まれているのである。

あきらかに“いやなもの”、その腹黒の鱗片を見せるにも関わらず、彼女はその上からお手製の純白のヴェールに隠したつもりでいる。そのヴェールが安直でチープなものであるのに彼

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「台無し」の日が編む太宰

「台無し」の日が編む太宰

雲が厚く張って、もんやりした暗さと湿気が重いような日、
ほんとうに些細なきっかけで、機微の均衡が崩れてしまって、三時間ほどワンワンと泣いておりました。
そう長いこと伏していると、身体中の水分が絞られてしまったような頭痛と、目の痛みとが、有刺鉄線で締め付けられたようにジクジク響くのです。こうなると、もう初めにあった差し迫るような悲しみの恐怖、自責の罪状なんか忘れてしまって、惨めったらしさばっかりが勝

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『愛の渇き』に触れて-三島の根っこを覗きたい

『愛の渇き』に触れて-三島の根っこを覗きたい

矛盾を抱えた幸福追求は、罪悪なのだろうか。
信仰を持たぬ“理性の怪物”が最後に辿り着いたのは……

オチのネタバレあるよ知りたくない人はブラウザバック推奨です。

このnoteをわざわざ読むような人間は既読なんじゃねえかとも思うが、一応。

はじめに

私が初めてこの本を手にし、読んだのは全くの偶然であった。
高校の図書室で、背伸びして三島でも読もうかと適当に手に取ったのがこの『愛の渇き』である。

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布団を濡らして、声を枯らす

布団を濡らして、声を枯らす

泣いている時は、ひたすら、ごめんなさいと思っている。涙で、赦しを乞うている。情けない声を体と喉から絞り出して、“可哀相なてい”を繕っている。心配して欲しいと思っている。赦して欲しいと思っている。誰かが聞いていると思って泣いている。過呼吸や、キューと鳴く声も、所詮子羊の演出である。

もし、泣いている時に、背中に刃物が飛んだら、「ああよかった」と思う。所詮自分で死を選べない執着者であるから、無作為に

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それは鬱蒼とした

それは鬱蒼とした

どうしても、色々なことが嫌になって、「何もしない」を強行せざるを得ない日というものがあります。今月だけでも三回、計六日。

私のか細い営みを否定するような、行方も知らない自己嫌悪に苛まれる朝というのは、どうしてこうも訪れてしまうのでしょう。

肉体と精神が分裂しているような錯覚から来る自暴自棄……
いいえ、少し違います。精神のようなもの を肉体から切り離すつもりで行う自傷、とでも言いましょうか。

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