見出し画像

布団を濡らして、声を枯らす

泣いている時は、ひたすら、ごめんなさいと思っている。涙で、赦しを乞うている。情けない声を体と喉から絞り出して、“可哀相なてい”を繕っている。心配して欲しいと思っている。赦して欲しいと思っている。誰かが聞いていると思って泣いている。過呼吸や、キューと鳴く声も、所詮子羊の演出である。

もし、泣いている時に、背中に刃物が飛んだら、「ああよかった」と思う。所詮自分で死を選べない執着者であるから、無作為に訪れる突然の死だけが、私の終わらせたかった気持ちをそっと肯定するのである。これは希死念慮では決してない。死の責任を、死という途方に遠い陰影を、他者に押し付けているただの甘ったれでしか無い。「死にたく無い」という体で死にたい。予期せぬ形で人知れず逝きたい。家族も泣かせたく無い。誰の記憶にもいないまま、一人で……
理想論だ。誰もそう思っていることだ。死ね。

泣いている時だけ、神を信じている。必死に祈っている。無様に乞うている。
でも神は居ないから、赦してくれないし殺しても下さらない。虎視眈々と、こちらを見ている。
立ち上がるのを、待っている。

努力もできないのに、頑張らないのに、憐憫と嘲笑と期待を一緒くたにした視線を受けるのが辛い。こちらは何も変わらないのに、与えられたことをできないで、優しさで誤魔化された御声がけのに透ける呆れを受け取るのが辛い。怖い。こんな生徒を強いられた先生も御可哀想に。さらに恐ろしいことは、この自縛の地獄は有償なのである!ああ怖い。
でもここから降りては私はさらなる下層に堕ちてゆくのみであることだけは、明白なのだ。行くしか…ないのであるが。
なにが辛いって、私に繕う先生に、乾いた笑いの道化をしていることが、辛い。これを受ける先生の心情を御察しするのも、私がそれを実行するのも、した後の虚しさも、空気の悪さも、私を無価値にする。木偶の坊にする。こんな自分なら、塾にも学校にも世間にも存在しない方がいいとさえ思う。こうやって自分の中で自分の無価値を覚える時、或大きな手が私を握って強くそれは強く下に叩きつけるような切迫感、心臓と呼吸のキュっとちぢむ感じが、莫大な量の、自分でもコントロールしかねる量の悲しみを呼ぶ。私は冷静を失って、打ちひしがれるのである。初めはツーと一筋、静かに雫を垂すだけで済むのであるが、徐々に過呼吸が忙しくなって、終いには声を絞り上げるように泣く。身を縮めて丸くなる。まるで赤子に戻ったかのように。
こうやって無尽蔵かのような、溢れる負のエネルギーを抱えると、カミソリを取りに洗面台や、ベランダや、川へ行った方がいいのかなぁと考えるようになる。これは自分の意思とは少し遠いもので、なんとなく「やったほうがいいのかな」という微弱な強迫観念なのであります。衝動的に行うには理性が強く、理性は制御しつつも、やるなら今しかないと考えている。

病人になれば、義務感から脱せられると思っているので、私は病人になるのを目指している。積極的に、苦しみを見出している。こういう手記も、大きな泣き声も、過呼吸も、所詮五分増しなのだから。私が本当に苦しんでいるのは、自身の意思の弱さと嘘と無努力の矛盾だけだ。
身勝手に嘘ばかりついていたら、ほんとうに真っ白なものが曖昧になってしまったと思う。
時間と他人は私を待ってはくれないし、病人になっても挑戦と努力をやめる理由にはならない。全ては私の意思に依るのである。残酷じゃないか。

でも過去の自分が「やる」本当の意思を持たなかったから、今の自分が押しつぶされそうなのも、吐きそうなくらい事実で、未来の自分にとっても今日私が泣いていることが負債になってまた恐ろしい債務として取り憑いていくのだと思うと、一刻も早くその負の連鎖を止めなければと強く思うのです。
そのために勉強を続けるには、継続的な協力・連携が必要だ。明日の私も明後日の私も、ましてや一ヶ月後の私も結局別人格なのだから、それぞれが我慢をして努力しなければならない。これには大変な精神力を要する。
結局一番簡単なのが自殺なのだ。悲しさに任せて一人で完結することができる作業だから。近所の川までチャリで走って、飛び込むだけだから。電車とかに飛び入るだけだから〜!!!

「明日,『今日学校行ったら電車飛び込んで死んじゃうかもしれないから休む』って言おうかな」と思った私には早速死ぬつもりが無い。

とにかくあの塾が怖くて仕方がない
人が怖い
内心バカにされてるのかもとか考えながら話していると、死んだ方がマシにも思える。

「生きてみなきゃわからない」なんか、外野の喧しくて安っぽい誘い文句でしか無い
完全な無を見てしまう前に、終わらせたいのだからこちとら

こういう時、好きな作家が潔癖で完璧主義者だと縋るものがなくてしんどいね



(↑ 人生もこれ出来ないんですかね 欠損ですね)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?